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中央辺りを厚く耳際を薄くした碁石形をほぼ真丸形に造り込み、幅の狭く角度の急な斜に引両を、上下に花桐を微妙な均衡で配した、構成美の優れた鐔。耳の内側や各部の線を花房状に華やかな凹凸の連続とし、左右の櫃穴を大きくとっているところも構成的な魅力。地鉄は、鍛えた表面を平滑に仕上げている所々に鎚の痕跡を残し、全面に微細な石目地を加えている。鉄色黒く漆によって光沢強く、変化に富んだ毛彫も意図せぬ景色を生み出している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/c5/52791fef50e76ed980025efce32e3227.jpg)
耳の構成線に歪みを持たせることにより不安定な空間を美観の要とした、質素でありながらも華やかさが覗える鐔。鍛え強く色合い黒く、渋い光沢のある鉄地を歪みのある泥障形に造り込み、切り口鋭く透かして地に簡素な毛彫を施している。