月見舟図鍔 (鐔の歴史)
月見舟図鍔 山城國伏見住金家
空にあるのは風に流れる雲間の三日月であろう、優れた意匠の鐔。裏の山並みも低い位置に描いて乱舞する千鳥を印象深く構成している。小舟を操る人物と、舟先にあるのは笠かうずくまる人物か、笠とみたいが・・・。金象嵌が施されていない作例である。象嵌は銀の笠のみ。裏の山に加えられている毛彫が、金象嵌を落とされた痕跡である可能性がある。
金家の鐔に金象嵌は少ないものという認識があり、製作時は比較的金象嵌が多用されていたものであろうが、悲しいかなその象嵌が落とされてしまった例がある。これもそのような一つか。おおらかな竪丸形に打返耳、地面には鎚目が強弱変化を付けて施されており、地鉄の味わいには魅力がある。見たままの時代観で、それで良いのか心もとないが、金家としては比較的後期の作であろうか、月や空を大きく捉えた意匠の工夫などにもそれが感じられる。87.5ミリ。
月見舟図鍔 山城國伏見住金家
空にあるのは風に流れる雲間の三日月であろう、優れた意匠の鐔。裏の山並みも低い位置に描いて乱舞する千鳥を印象深く構成している。小舟を操る人物と、舟先にあるのは笠かうずくまる人物か、笠とみたいが・・・。金象嵌が施されていない作例である。象嵌は銀の笠のみ。裏の山に加えられている毛彫が、金象嵌を落とされた痕跡である可能性がある。
金家の鐔に金象嵌は少ないものという認識があり、製作時は比較的金象嵌が多用されていたものであろうが、悲しいかなその象嵌が落とされてしまった例がある。これもそのような一つか。おおらかな竪丸形に打返耳、地面には鎚目が強弱変化を付けて施されており、地鉄の味わいには魅力がある。見たままの時代観で、それで良いのか心もとないが、金家としては比較的後期の作であろうか、月や空を大きく捉えた意匠の工夫などにもそれが感じられる。87.5ミリ。