鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

瓢箪鯰図小柄 後藤栄乗 Eijo-Goto Kozuka

2012-07-07 | 鍔の歴史
瓢箪鯰図小柄 (鍔の歴史)


瓢箪鯰図小柄 無銘後藤栄乗

 有銘な画題であり、多くの金工が様々な意匠構成で手がけている。そもそもは足利将軍が出した禅の公案、ぬめりとした鯰を同様にすべすべした丸みのある瓢箪で取り押さえるには・・・という、即ち頓智を試すような意味合いのある質問であり、絵師如拙がこの場面を描き、同時代の三十一人の僧が問いに答える形式で賛を書き添えている墨絵の遺例がある。後の金工もこれに倣って自らに問いかけ、答えたものであろう。
 赤銅魚子地をふっくらとした高彫で大きく鯰を描き、瓢箪も大きく判り易く描いている。頗る面白い作品である。□