鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

布袋図小柄 程乗 Teijo-Goto Kozuka

2012-07-26 | 鍔の歴史
布袋図小柄 (鍔の歴史)



布袋図小柄 銘 程乗作 光壽(花押)

 大きな袋を枕にして天を仰ぎ見る布袋の姿には自然体が窺いとれる。そのようなおおらかさがある一方で、手にしているのは宝珠に他ならず、左に布置されている金色絵された杖の存在感も強く、堂々として貫禄ある画面とされている。江戸時代も下って次第に世の中も安定しており、武骨の中に妙を見出す作品より、乱を意識させずに武士の存在を示しているような作品が製作されているように感じられる。この頃には画題も多彩になっている。この小柄は、赤銅魚子地に高彫色絵された、後藤家らしい作行きで、彫刻技術は高く、絵画的構成も特に優れている。名品である。十一代光壽が極めた程乗作。□