さざえのつぶやき

音楽活動を中心に、日頃の思ったこと感じたことを日記のように綴っていこうと思います。

きんぽうげ

2008年05月31日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
彼女がどこか静かな場所に行きたいと言ったので、「ささやきの森」に来た。
車の中でも会話らしい言葉はなかった二人だが、車を降りて森の中央にある、ブランコとベンチだけの小さな公園にやってきてからも、しばらくは黙り込んだままの時間が過ぎた。 

「タバコ・・・さまになってきたね。」と、彼女が言った。

「そうか・・・」

「どうして、タバコなんか吸いはじめたん?」

「なんでかな・・・」

俺は言おうとしたけどやめた・・・「おまえが嫌いなタバコだから・・・。」


しばらくすると、彼女は遊歩道と書かれた小路をひとり歩き出した。
俺はついて行こうともせず、ただ彼女が森の中に消えていくのを見つめていた。



15分くらい経っただろうか。
彼女は、手に何かを持って、僕の後ろから歩いてきた。

「ぐるっと、後ろに路が続いてた・・・心配した?」

「ちょっとはな・・・。」

「ほら、これがキンポウゲ・・・毒草らしいけど、かわいい花。」

「甲斐バンドのあの、きんぽうげ か?」

「そう・・・」

「手、洗わんな、危ないんちゃうの?」

「ふふふっ、そうやね。 洗ってくる・・・」



戻ってきた彼女は、やっと俺が座るベンチに腰掛け、きんぽうげ を口ずさんだ。

俺は彼女の声が好きだった。 特に、こうして遠くを見つめながら歌を口ずさむ時の声が・・・

「わたしね・・・やっぱり無理なの・・・」

「え・・・?」

「わたしね・・・やっぱり・・・無理・・・出来ない・・・。」

「・・・・・うん、いいよ。」

「ごめん・・・ね、本当に、ごめんね・・・ごめ・・・ん、ごめんなさい!」



泣き崩れた彼女を抱きながら、俺はただ髪を撫でるだけで・・・それだけで精一杯だった。

何度もため息をこらえた。
悲しさと、悔しさと、そして、崩れ落ちる何かが頭の中で灰のようになって・・・ため息といっしょに、吐き出されるような気がした。





若い日・・・それは残酷な時の流れでもあり、自分をいちばん知っていた日々でもある。


明日から昼夜逆転

2008年05月26日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
今日は、朝から短期のアルバイトで務める工場に、初日の受け入れ説明とやらに行ってきた。 ま、工場の規則や作業上の注意から庶務確認、防塵服やロッカー、下駄箱の確認である。 20年以上も、営業職に身を委ねてた自分にとって、こういう工場内の仕事は、工業高校卒業してすぐのまる一年だけ・・・何が自分にとって苦痛かというと、黙々と長時間、誰とも喋らないでいること 
だから今日はちゃんと同じ部署になるだろう人と、何度か会話をしておいて、こちらに親密感を持つように仕組んでおいた。 
だって、せめて休憩中くらいは、誰かとしゃべらなければ・・・家庭内ですら会話がないのに・・・ 

さて、明日から本格的に仕事が始まる。 夜の10時30分から朝の7時30分までの夜勤だ。 立ちっぱなしの仕事もきついだろうけど、早く慣れないと、この昼夜逆転生活・・・きっとだるいだろうな。 とにかくがんばらなきゃ・・・。 

残念なことに・・・。

2008年05月24日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
残念なことに、急遽事情あって明日の「真ちゃん・和ちゃんライブ」への参加をキャンセルすることになった。 両人はじめ、僕の参加を楽しみにしていただいてた方々には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。
それに、水田氏と会う約束もしていたのに・・・本当に残念である。

そして、フォーク村の編集の日々がまたやってきた。3ヶ月に一度の会報と作品集の発行・・・今回も、力作が次々と我が家に届いている。
がんばらねば・・・楽しみにしてくれてるメンバーのために。

アイドリング

2008年05月22日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
あのチューリップの財津和夫が、大阪芸大で教授をしているらしい。
ポップス専攻の授業だそうで、へ~時代も変わったなあ~というか、もしいま自分にお金があって、大学に通える時間があるならば、ぜひ財津氏の講義を受けてみたいと思った。 チューリップも35周年の最後のアルバム?を出して、最後のツアーも終わったところ。 財津和夫はテレビの連続ドラマの撮影や舞台音楽、誰かの作曲、ラジオ番組、そしてこの教授も務めるというバイタリティー溢れる活動を続けているみたいで、フリークの僕としてはうれしい情報である。

さて、話は変わるが、なんとか身を委ねる働き場所が見つかったのを機に、6月28日の土曜日、本格的復帰ライブを企てた。 今年の2月10日に奈良市のPickでスタートしたままの企画ライブ「伝えたいこと」のVol.2を、奈良が終わってからずっと考えていたメンバー、そして僕の復帰を真剣に待っていてくれた3人と組むことにした。 竹本信幸 福岡勇八 そしてVol.1にひきつづき きりん。
きりん(弓巾 憲)さんは、最近相棒を見つけ、今回は二人組のユニットで参加してくれるらしい。 とにかく誘いのメールを送った昨夜、すぐに3人からOKの返事が返ってきたときには、涙ものであった。

まだまだ、完全に身辺が落ち着いたわけではないが、歌うことをこれからの活力として、もう一度がんばっていこうと思う。
その前に、25日の「真ちゃん和ちゃんライブ」でのゲスト出演、エンジン、アイドリング状態から、スタートだ。

娘から・・・

2008年05月21日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
娘にやられました。
寝ようと部屋に入ったら・・・手紙と、折り紙で作ったギター?とピック入れ。

「おとうさん、いつも いろいろがんばってくれてありがとう・・・」







泣きました。 今も泣いてます・・・。

ここ最近、やってしまった事、転職の事、ろくなことしてない自分が情けなくて情けなくて・・・なのに、何も知らない次女にとっては、「がんばてるお父さん」に見えてるわけで・・・それが、なんというか・・・「ごめんね、お父さん、がんばってなかった、ほんまは・・・。」って気持ちが溢れてきて・・・
ごめんな、ごめんな・・・ごめんな、ごめんな・・・って









明日からまた、がんばります。

心の中の何かがひとつ、溶けてなくなりました。

いい日になりました。

娘よ、ありがとう。

変てこりんな夢

2008年05月12日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
夢とうのは、普通熟睡している時には見ないものだと、誰かに聞いたことがある。
昨夜はめずらしく、パソコンの前で朝まで寝てしまったからなのか、また妙なというか、内容的にはうれしい夢をみてしまった。
もう、12時間以上も経過してるから、だんだん記憶が薄らいできてるのだが、
場所はどこかの大草原・・・なぜか僕は牛の群れに囲まれてギターを抱えて弾いている。 そう、プロモーションビデオ状態なのだ! そして僕の格好も、ジーンズにダンガリーシャツ、そしてカウボーイハット  そしてギターで何やら歌っていると、白樺みたいな木の陰から現れてこっちにやってくる金髪の女性・・・彼女はまさに『スティーヴィー・ニックス』本人なのだ 
いつのまにか自分の歌を歌ってたはずなのに、どうやら 彼女がメンバーでいるフリート・ウッド・マックの「リトル・ライズ」がBGMになってる・・・   そして彼女は僕と向かいあって一緒に歌っている・・・とまあ、こんなふうな夢を見たものだから・・・今日は一日中、頭の中はスティーヴィー・ニックスのハスキー声が・・・。 
毎回、こんなふうに変てこりんでもいいから、楽しい夢なら見ていたいな。

来たる、5月25日のこと・・・。

2008年05月09日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
どうやら、周りが僕を動かしてくれてるようだ。
昨夜は、あまりもの息が続かない状態に、ブランクの大きさを感じたけど、仲間の暖かい心づかいがすごく胸にしみたいい夜だった。

5月25日は、真ちゃん和ちゃん「まな板の上の恋」ライブに、友情出演で頼まれている。 本当ならば、就職もまだ決定していないのだし、申し訳ないが辞退させてもらいたい気持ちもあったのだが、自分なりに前向きな行動のひとつとして気持ちよく参加させてもらう意向を本人に今日、伝えた。

それと、水田達巳氏から電話があった。
実は僕も、奈良市内に張られてるポスターで知っていたのだが、水田氏の名曲「泣かんといてくれ」をカヴァーしてレコーディングされた 奈良のシンガーShoujiさん(まだお会いしたことがないのだが)のコンサートが、なら100年会館 でその日、それも同じ14:30から行われ、そのため水田氏も奈良に来ることになっているというのだ。 とりあえず夕方以降、水田氏ともお会いすることになった。
生駒まで来てくれる予定にはなっているのだが、これもまた、僕を動かそうとする出来事のひとつ・・・。  どうなることやら・・・

それと、応募している会社の面設日が決まった。
5月15日・・・大阪の千代崎までいかなければ・・・。
結果は5月29日・・・祈るしかない。

その前に5月20日・・・とうとう43歳となる。

よっしゃ!! 気合じゃ!!

スカーフェイスにて・・・。

2008年05月09日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
今日は本当に疲れきっていた。
梅田まで派遣会社登録といま応募しているO社の会社説明会に半日缶詰状態。
帰宅したのが8時30分・・・電車の中、今回参加出来ない山口ライブの事が気になって、そっさんにメールを打ったその返信に「これからスカフェ行くんやけど、来ませんか?」との言葉。 本当は、まだまだ歌う気力もなかったのだが、歌わなくても、久しぶりに彼らに会うのもいいかなと思い、晩飯を食ったあと店に行った。 ドアを開けると二人の女性と山川さんが来客で座っていた。 大将も山川さんも「おお~誰かと思ったら!!久しぶりですや~ん!!」と声をあげて迎えてくれた。 そしてしばらくすると そっさん到着・・・「ほんまに来てくれたんですか~!!」と久しぶりの対面。

飛び入りライブの日だったみたいで・・・山川ヒトシさんのミニステージが始まった。 久しぶりの山川節を聴かせてもらった次は、じんのゆうこさんの鍵盤弾き語り・・・もうこの時点で僕の心の中は何かがはち切れる思いだった。
そして次のステージは そっさんだ!!と思っていたところに、「ながたさん!どうですか? 歌いませんか? 順番からいくとながたさんの番ですよ~」とカウンタの中から大将。 でも、ギターも譜面も持ってきてない・・・何を歌えばいいのだろう・・・いや、それより歌うのか?歌えるのか?

そっさんのギターを借りた僕は、ステージにいた。
3ヶ月以上も歌っていない・・・頭の中が真っ白だ・・・。
「書中お見舞い申し上げます」「セプテンバーレイン」「好きだよ」
この3曲を歌った・・・声が・・・声が出ない・・・というか、息が続かないのである。 だが、歌った・・・何も考えずただひたすらに。

そして そっさんのステージ・・・そっさんは「あなたを抱きしめた夜に」を歌ってくれた。 相棒の大切な歌だ・・・
そしてブルースを歌う、堀口さんのステージへと続いた。 かっこいい・・・

まったく本調子ではない・・・でも、今夜は歌ってみた。

そして、みんなとの会話、はじめて会った二人との会話、そして大将との会話。
少しだけど、調子を戻そうとする自分がいた。
ゼロから動き出そうとする自分がいた。
自分が今回やらかした事件も、退職、求職のこともすべて受け入れて進もうとしている自分がいた。 いや、そんな自分になろうとしていた。

大将にメールを打った「ありがとう」

大将がメールをくれた「てくてく行きましょう(^^)」

スカーフェイスの内装は、行かないうちに模様替えされていたけど、みんなは変わっていなかった。 僕の行ける場所は、そのままそこにあった。


初めての出会い

2008年05月07日 | 下手の歌好きソングライターのつぶやき
今日は就職活動の予定が何もなく、家に居てるのも何か罪悪感のようなものに襲われるので、気晴らしに電車に飛び乗り、奈良公園まで出かけていった。 
別に目的があるわけでもなく、外に出て落ち着ける場所をと足を向けたのが奈良公園であって、ふと途中、頭をかすめたのが、興福寺の阿修羅像。

昔、小学校の恩師、春名氏が、「阿修羅像を見たとき、その美しい顔に見とれて、しばらく動けなかった。」と言っていたのをよく思い出しては、いつか拝見したいなと思っていた。 結構、地元の有名な歴史的建造物や、名所といったところには、「いつでも行ける」という観念でなかなか足を運んだことがないという事が誰しも多いのではないだろうか? 僕もそのひとりで、東大寺の大仏殿なんかは、小学校の遠足に欠席していたためか、最近になって初めて拝観したというのだから。

興福寺の側は、いつも仕事中に毎週のように通っていたが、境内に足を踏み入れたのは今日がはじめて・・・相変わらず、奈良公園の鹿は、ここにも「しかせんべい」目当てにたくさんいた。 猿沢池側から五重の搭側の階段を上がると、片隅に「一言観音」と書かれた立て札があったので、たまには素直な気持ちになって、賽銭を投げ込み、「無事就職が決まりますように」と合掌。  

修学旅行生、幼稚園の遠足で賑わう中、阿修羅像のある建物を探す・・・それは、「国宝館」という建物の中にあった。 「拝観料500円・・・うむ、普段なら馬鹿らしいと言ってケチるのだが、今日は特別だ!」と思い切って入館した。

たくさんの仏像が安置される館内の右端に、その阿修羅像はおられた。

「これが、先生が言ってた、美人の・・・ん?」
「胸がないぞ?」  

馬鹿である・・・そう、自分でも思った。(苦笑)  

だがよく解説板を読んでみると、どうも少年である。
眉間にしわを寄せた厳しい表情・・・だが、じっと見ているとその目に釘付けになっていく・・・。 「このことか・・・先生が言ってたこと・・・」
僕はしばらくその悩ましいお顔を見つめていた。 途中、同じように何度も立ち止まる女性がいた。
(もしかしたら、俺がおかしい姿してるのか?)
いや、そうでもなさそうだ、彼女もまたその魅力にとりつかれているに違いない。
結局、館内を出るのが惜しく思い、何周もまわり、阿修羅像の前に立ち止まっては「今度、また来ますね。」とアイコンタクトをして館を出た。  

帰宅してから、早速、阿修羅像についてあれこれ調べていると、同じような意見が書かれていた。「まるで少女のような顔」「みとれてしまう」「何度も会いに来た」・・・。 そもそも仏様の顔を見ていると、心やさしい気持ちになれるものではあるが、この阿修羅像にかぎっては、俗に言えば「くせになる」お顔をしておられる。 その魅力・・・何なんだろう・・・。

これを読んで、まだお会いになっていない方がいたなら、是非、近くに来られた時には興福寺まで足を運んでほしい。
仏に恋をしてしまうあなたがいるかも知れない。