MTVがロックの主導権を握っていた80年代、俺は初めてブルース・スプリングスティーンを知った。 「ボーン・イン・ザ・USA」のビデオクリップを観て、歌というのはそれまで「上手に、きれいに」歌うものだと思っていた観念が、歌というのは「叫ぶ」ことだとこの曲を聴いて理解した。 そしてテレキャスターを天理のコウキ商事という楽器屋まで給料のを握り締め買いに走った。そしてバンダナをつけて歌うことも・・・(笑)
彼の歌の世界は決して明るい歌が多いわけでなく、60~70年代の厳しい労働者階級の生活からなんとか抜け出そうとするような歌詞が多いが、今のわが国の不況の実態と似交わす部分があったりして・・・。 彼に影響を受けた(またはそのままやん!という)日本のミュージシャンも多く、浜田省吾・佐野元春・尾崎豊なんかが代表的で、ここにアップしてる僕の大好きな曲「リバー」なんかは、THE虎舞竜の「ロード」のハーモニカと比べてもおもしろい。
「リバー」 ブルース・スプリングスティーン
俺の故郷は谷の町だった そこで若者は親父の跡を継ぐように育てられるんだ
俺とメアリーは高校の時、初めて出会った
彼女は17歳だった ふたりで谷を抜け出し 緑の野原へドライブに行ったものだ
川のある場所まで行き 飛び込んで泳いだものだ
よく 川へ行ったものだ
それからメアリーをはらませてしまった・・・
彼女からの手紙はそれだけだった
俺の19の誕生日 俺は労働組合証と結婚式に着る上着を手に入れた
ふたりで役所に行き手続きを済ませた
結婚式の笑いも 教会での式もなく
花も、ウエディングドレスもなかった
その夜ふたりで川の場所まで行った
川に飛び込んで泳いだ
川の場所まで行ったんだ
ジョンズタウン建設会社に職を得たが
近頃は不況であまり仕事がない
大切だと思われたすべてのものが みんな空しく消えてしまったようだ
俺は何も覚えていないというふりをして
メアリーはちっとも気にしていないというふりをする
でも 兄貴の車を借りて ふたりでドライブした時のことは覚えてる
貯水池でのメアリーの日焼けした濡れた身体は素敵だった
夜・・・堤防で俺は目を覚まして横になっていた
彼女の息を感じるため 彼女を抱き寄せた
今 こんな思い出がよみがえり 俺を苦しめる
呪いのように 俺を苦しめる
かなえられなかった夢は偽りなのか もっと悪いものなのか
俺を川に行かせるほどに・・・
川は干しあがっていると知っているが
俺を川に行かせるほどに悪いものなのか
川のある場所へ
あいつと俺・・・川のところまで俺たちは行く・・・