この五年間、実質賃金は減り続け、年金もカットされ続けている。当然、貧困が拡大している。
まず、最低賃金。先進国では最低レベル。国連が「日本の最低賃金が生存のレベルを下回っている」と報告している。時給で1000円を下回るのは、先進国ではみられない。
次に労働環境。働く世代の四人に一人が、ブラック企業に勤めていると感じている。労働基準法で、残業時間には制限があるが、例外規定がある。安倍内閣の「働き方改革」で一層進みそうだ。今でさえ、日本は派遣労働が異様に多い。
三番目に子供の貧困。NHKの報道では、学校給食がセーフティネットになっているという。学校給食でかろうじて栄養を確保しているのだ。また、貧困のために食事の回数を減らししている家庭もある。
四番目に高齢者。「老後破産」「老後漂流」という言葉ができるほど。ワーキングプアという言葉も衝撃的だったが、一層悪化している。
最後に生活保護。貧困を下支えするはずの生活保護費が、10%以上削減される。
年収200万以下、120万で生活している世帯もかなりの比率に上る。貧困には相対的貧困と絶対的貧困とがあるが、絶対的貧困になっているという指摘もある。
日本国憲法の第25条には「国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるが、これがおざなりにされている。
一方で、富裕層は資産を増やし、大企業は内部留保が膨らんでいる。累進課税を1980年代に戻せば、数兆円の財源になる。株の取り引きの課税をヨーロッパなみにし、大企業の税金の負担率を中小企業並みにすれば、五兆円の財源ができる。
憲法九条もそうだが、いま、なすべきことは、憲法を変えるのではなく、憲法を活かすことと言えよう。