福島で起こっていること。
東京オリンピックの招致のプレゼンテーションで「原発はアンダーコントロール」と言われた。これがそもそも違う。福島第一原発からはセシウムなどの放射性物質を含んだ汚染水が今でも溜まり続けている。
地下水の流入が止まらないのだ。原発の敷地内に貯蔵タンクを作り、アルプスと呼ばれる装置で放射性物質の除去を試みているが、満足に除去できずにいる。タンクも満杯に近づいて来た。度重なるタンクの増設も限界に近い。原子力規制委員会では「汚染水を海水で薄めて海洋投棄する」のが検討されている。これが実行されたらどうなるか。今でさえ北太平洋の放射線汚染は広がっているのに、この上、汚染水を海洋投棄したら、地球規模での海洋汚染となる。これを調べている元SF作家のH氏が警告する。
「このままでは日本は国際的なバッシングにあうだろう。しかし大部分の国民はこの事実を知らない。バッシングが始まっても、国民にはその原因が分からない状態にもなりかねない。」
また放射線による汚染は線量が高い状態で、チェルノブイリの基準なら、避難区域に相当するような地域に、住民が帰還している。小学生の甲状腺癌が激増している。
こういう事実はほとんど報道されていない。国境なき記者団の発表する「報道の自由度ランキング」は60位をしたまわっている。
沖縄で起こっていること。
このブログで何度も紹介してきたが、「辺野古基地反対」は沖縄県民の民意だ。県知事選挙で玉城デニー氏が「辺野古基地反対」を掲げて当選したが、史上最高の得票を記録した。「オール沖縄」「島ぐるみ」と言われる状態がある。
辺野古基地反対、日米地位協定改定、オスプレイ配備反対。この三点で一致する党派、団体、個人が、これを軸に運動している。少女暴行事件を契機として、出来上がった運動。
自民党沖縄県連、日本共産党、社会民主党、沖縄社会大衆党、自由党の各党と連合、全労連という労働組合、婦人団体などの市民団体が、これに加わっている。仲井真元県知事が態度を翻して基地容認の立場となって自民党はこれから脱落した。しかし翁長たけし前知事らは自民党を除名されても「オール沖縄」にとどまった。
かつての沖縄県政は保守、革新の対立だった。それが保守革新の垣根をこえたものになっている。これが玉城デニー知事の史上最高得票に現れている。
辺野古基地が「普天間飛行場」の返還の条件だと言われが、ほかに7つの条件があるとも言われている。第一辺野古には普天間にはない機能がある。弾薬を積み込むエリアがあり、軍艦が着岸する埠頭がある。新機能を備えた基地だ。辺野古の滑走路は普天間より短く普天間の代替基地にはならない、とも言われる。
加えて、辺野古の大浦湾沿いは地盤がマヨネーズ状。このまま工事しては基地全体が沈み込む。土壌改良が必要だがそれには13年かかると沖縄県が試算している。工費も当初予算の10倍になる見込み。これは日本政府が負担する。国税が使われるのだ。
沖縄で保守も含めた運動となっているのは、沖縄経済の発展に米軍基地が阻害要因となっているからだ。基地を負担する特別交付金で、経済が動いていた時代は終わった。だから沖縄最大の企業グループも「オール沖縄」に加わっている。基地建設は本土の建設会社が請け負う。沖縄の企業には発注されない。せいぜい下請け孫請け。
辺野古・大浦湾は貴重なジュゴン・サンゴでも知られる。この豊かな自然が破壊されるのは目に見えている。「サンゴは移植されている」。これも虚偽だ。移植されたのはごく一部。それも埋め立て地域以外。
日本ペンクラブのシンポジウムで発言者が言った。
「沖縄を通して日本国憲法と民主主義が見える。」これは福島でも同じことが言えよう。
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