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『憲法の解説』」一橋出版刊:書評

2015年06月24日 23時59分58秒 | 書評(政治経済、歴史、自然科学)
「憲法の解説」一橋出版刊

 本書の特徴は、日本国憲法を日常生活、歴史と結びつけていることにある。

 例えば表紙の裏側には、人生で起こり得ることと憲法の関係が図表化されている。例えば次の様なものだ。

 「誕生」(個人として尊重される・13条)(法の下の平等・第14条)(健康で文化的な生活・第25条)、小学校入学(義務教育無償・第26条)、就職(勤労の権利と義務・第27条)、「結婚」(両性の合意・第24条)、「転職」(職業選択の自由・第22条)、「請願権」(第16条)、「健康に生きる」(第25条)、老人ホーム(社会福祉の増進・第25条)、「老年となって」(人権は永久のもの・第97条)。

 歴史との関連で言えば。次のような記述がある。

 「第二次世界大戦後、アメリカとソ連の対立が激しくなるななか、アジアでは中華人民共和国が成立し(1949年)、1950年には、朝鮮半島で戦争がぼっ発しました。この直後にマッカーサー連合国最高司令官に指令のもとに「警察予備隊」が創設されました。このとき、当時の吉田首相は「警察予備隊」は軍隊ではないという苦しい答弁をせざるを得ませんでした。」

 「私の個人的な感情としては、日本が再軍備されることは、少し悲しいことであった。・・・アメリカ及び私も、個人として参加する「時代の大ウソ」が始まろうとしている。・・・兵隊も小火器、戦車火砲、ロケットや航空機も戦力ではない、という時代の大ウソである。(米軍事顧問団幕僚長の、F.0コワルスキーの著書の引用)

 また「難解な用語の解説」も読者に親切だ。「公示」「官吏」「認証」「特赦」「批准」「人権」「信条」「門地」「社会的身分」「正当な補償」など。

 また、憲法をめぐる様々な出来事も解説される。「沖縄復帰運動」「60年安保」「薬害エイズ事件」「セクハラ」「教科書裁判」「いじめ」「死刑」「直接請求の一覧」など。

 また次の指摘も重要だ。

 「憲法第13条」:「幸福追求の権利」・・・・「プライバシーの権利」「環境権」「自己決定権」などの新しい権利を主張する根拠となっている。「加憲」としばしば言われるが、「加憲」が「改憲」への「蟻の一穴」となりかねないことを考えると重要な指摘がと言えよう。






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