岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」第8回歌会

2012年03月08日 23時59分59秒 | 歌会の記録(かまくら歌会・星座・星座α・運河)
「星座α」第8回歌会  於:鎌倉浄妙寺「無庵」2012年3月4日

    
1・歌会の方式:

 一首につき、参加者一人の批評と、選者団(三人)のうち二人が批評する。これを三首繰り返して、尾崎主筆がまとめのコメントをする。歌会の方式が定まって来た。


2・短歌の素材:

「月蝕」「白き水仙」「鈍色の空から降る雪」「雪のせて膨らむ梅の蕾」
「声明(しょうみょう)に揺さぶられる心」「手袋のハート模様にとまる天使」
「山茶花の葉むらの風に揺らぐ日輪」「如月の里山」
「物音の絶えた家の卓上の乾く薔薇の花弁」「闇に立つクレーン」
「きりぎしの下まで届く白梅の香」「リストランテの窓近く置かれた絵本のアリス」
「薔薇状星雲の吉凶」「震災復興宝くじを買う」「掌の生命線をこえて生きる」
「さりげない言葉を受けとめて庭にみるホトトギスの花」
「氷片が反転して蘇る思い」「自転車の前後に子を乗せて坂道をゆく親子」
など多岐に富んだ。


3・論点:

「天象・地象は素材としては難しい」
「上の句の大きさと下の句の小ささがアンバランス」
「読者に明確に伝わるように」
「自分だけ分かる歌は言葉足らず・言い過ぎると感動が消える」
「素材としてはよいが、やや思い込みが強い」
「「誰でも言うような当りさわりのない言葉は感動が薄い」
「言葉を選ぶときは通じる言葉を」「率直に言う。暗喩は短歌に似合わない」
「主語はなるべく始めの方に持って来る」
「どこかで聞いたことのある言葉を並べると短歌というものを形式的にしてしまう」
「上の句の印象と下の句の印象が合わない」「切り取りは悪くないが、説明的であって説明になっていない」
「意味が分からない」「読者が理解できるかどうかを考えて切り込め」
「百年後に残る歌を詠え」「条件結果は避ける」「二首できる内容だ」
「体感を好む人もいる」など、厳しい言葉が飛んだが、参加者が実力を付けて来たためだろう。


4・今回の収穫:

 神奈川近代文学館で「斎藤茂吉展」が行われる。生誕130年。その一環として尾崎主筆が講演する。テーマは「茂吉先生の秀歌とわたくし」。休憩時間の話は斎藤茂吉の話題で話が弾んだ。

 また岡井隆らの「前衛短歌は何だったのか」についても話は及び、1970年以降の塚本邦雄の作品は「自己模倣」だったと、塚本自身が言っていたことを尾崎主筆から聞いた。塚本邦雄に関する僕の見方は、間違っていなかったようだ。




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