岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲」2015年8月

2015年09月04日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
天童大人プロデュース「詩人の聲」 2014年8月



1、照井良平 8月8日(土)銀座マリーン

 照井は6回目の公演。このプロジェクトの参加数は少ないが全国各地で聲を出している。作品も完成したものが読まれる。他の詩人は新作を読んで出来を確かめたり、作品を練ったりする。照井の場合、完成したものを読み聞かせる公演だ。

 照井の作品の特徴は故郷への愛惜だ。陸前高田で生まれた照井は花巻弁でその愛惜を作品化する。そこには懐かしさがあるが、懐かしいだけではない。人間の生き方。社会のありかたへの問い。農民や漁民への愛おしさがある。

 海に関する作品が多い。釣りをテーマにした作品もある。故郷で体験が独特の詩情となって耳にとびこんでくる。

 最新作は花巻東高校野球部への讃歌だった。このへんがいかにも照井らしい。




2、田中健太郎 8月24日(月)ギャルリー東京ユニマテ


 田中は37回目の公演。聲が鍛えられ、リズムも心地よい。声量も充分だ。前回まで2回「ビル新聞」に連載されている。「私の1200字」という散文が読まれたが、今回は新作を含んだ詩作品が読まれた。

 田中の作品の特徴は生きている人間が表現されていることだ。生きる苦しさ、葛藤、意思、生きるとは何か。こういうものが次々と読まれる。


 港湾労働者をテーマにしたガントリークレーンを素材にした作品が圧巻だった。そして田中の目は社会の在り方への問い、国の将来、湾岸戦争への冷めた視線。ここへも広がって行く。

 詩集『犬釘』と傾向は同じだが、把握が深く広くなった印象が強かった。



 8月は用事が重なり、体調のこともあり、この二人の聲しか聞けなかった。9月からはいつものようになるべく沢山の「詩人の聲」を聞きたい。





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