はつおとTOKYO音紀行 1月2日 於)有楽町東京国際フォーラム
国府弘子ライヴ (藤原道山、国府弘子のコラボ)
このブログの投稿の関係で「国府弘子のライヴ」と表記したが、尺八奏者の藤原道山と国府弘子スペシャルトリオのコラボ。副題は「伝統と革新」。東京国際フォーラム開館20周年記念事業「J-CUL TURE FEST/日本・和心・初詣」のプログラムの一環。尺八演奏の藤原道山が国府弘子を招いたそうだ。国府はピアニストだがジャンルを問わずに演奏する。ジャズ、ロック、フォーク、沖縄民謡、歌謡曲、クラシック。なんでも来いだ。実力があるからどんなジャンルにも対応できる。
また共演者の良さを引き立てるのもも上手い。だからジャンルを問わずに、共演の申し込みがあるそうだ。夏川りみ、宇崎竜童、つのだひろ、サーカスとの共演も聞きに行った。僕は聞けなかったが、岩崎宏美との共演もあった。
この日も御多分に漏れず藤原道山の良さが引き立っていた。もちろん、国府の演奏も見事だった。
曲目は正月らしく「春の海」があった。しかし「アメイジンググレイス」で始まり、『サウンドオブミュージック』の「全ての山に登れ」があり、「荒城の月」があった。スピーチのなかにも今年1年が平穏でありますようにという言葉もあった。シリアを始め世界では紛争が絶えない。日本にも安保法の問題があった。
声高ではないが、平和へのメッセージがあったように思う。「アメイジンググレイス」「全ての山に登れ」の選曲にそれが現れていたと思う。
「アメイジンググレイス」は黒人差別したことを神に許しを請う讃美歌。「全ての山に登れ」は『サウンドオブミュージック』で主人公一家がナチスの迫害を逃れて、オーストリアからスイスにアルプス越えをするときに流れる曲。「荒城の月」の城は島原の乱で農民軍が地侍たちと全滅した原城を歌っている。藤原道山の尺八がフルートの様に響き、国府のピアノが音の空間を広げる。スペシャルトリオのベースとドラムスがそれに呼応する。
尺八をフルートの様に吹くには、穴の押さえ方の工夫、首を振る、吹き方の工夫の三種類があるそうだ。フルートの様に吹く尺八の音はフルートより切なく響く。ここで僕は不覚にも泣いてしまった。同行した母は目をつむって音を聞いている。耳が遠くなってきたから国府の演奏を生で聞くのはこれが最後だろう。まさに「伝統と革新」のコラボ。これを聞かせられて本当に良かった。
国府とベースの八尋洋一、ドラムスの岩瀬立飛。スペシャルトリオの呼吸もぴったりだ。互いの音を互いに引き立てている。それぞれが主役になる場面もあった。チームワークが良いのだ。これは見習わなければいけない。また「伝統と革新」。これも短歌を詠む僕にとっては課題でもある。
元旦は酷い倦怠感に襲われてふいにしたが、2日のこのコンサートで心をリフレッシュ。いい1年のスタートが切れそうだ。
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