人口水増し、東浦町職員ら任意聴取へ 愛知県警
- 2012年3月22日11時15分
2010年の国勢調査をめぐり、市への昇格を目指していた愛知県東浦町で居住実態のない調査票が大量に見つかった問題で、県警は意図的に人口が水増しされた可能性があるとして、統計法違反などの疑いで捜査する方針を固めた。関係資料を分析するとともに、調査に携わった町職員や執行部に任意で事情を聴き、立件の可否を検討する。
捜査関係者によると、県警は、刑事告発を検討している総務省と協議してきたが、真相解明には捜査を先行させる必要があると判断した。捜査には知能犯罪を担当する捜査2課が中心にあたる。
問題の国勢調査は10年10月に実施された。人口が市制移行に必要な5万人を超えるかが焦点だった。総務省が11年2月に公表した速報値は「5万80人」。その後、現地調査で調査票280人分に居住実態がないことが明らかになった。11年10月、速報値から280人分を差し引いた「4万9800人」を確定値とした。これを受け、町は市制移行を断念した。
愛知・東浦町人口水増し問題、県警が捜査 統計法違反の疑い
- 2012/3/22 10:54
市制移行を目指していた愛知県東浦町が2010年10月の国勢調査で人口を水増しした疑いがある問題で、愛知県警が、統計法違反などの疑いで捜査する方針を固めたことが22日、捜査関係者への取材でわかった。県警は、町職員らが意図的に居住実態のない調査票を作成した可能性があるとみており、職員らから任意で事情を聴き、組織的な指示の有無や立件の可否を判断する。
問題の国勢調査では、市への移行に必要な人口基準の5万人を超えるかが注目された。町は当初「5万80人」と公表したが、総務省の指摘を受けて実施した現地調査などで居住実態のない世帯が次々と発覚し、最終的には「4万9800人」に訂正した。町は市制移行を見送った。
町側は今年2月に経緯を記した最終報告書を総務省に提出。職員が「調査の根幹である居住確認の事務を怠った」と説明した上で、意図的、組織的な水増しを否定した。
平成22年国勢調査 愛知県東浦町における不適正事務 : 総務省
総務省が実施した平成22年国勢調査(調査期日:平成22年10月1日)において、愛知県東浦町において不適正な事務処理が行われていたことが判明しました。本事案の経緯と今後の対応については以下のとおりです。
1 経緯
国勢調査は、総務省から都道府県・市町村への法定受託事務として実施されており、各市町村において世帯から国勢調査員又は郵送によって回収した調査票を審査し、都道府県を通じて総務省に提出する仕組みになっています。
平成22年国勢調査に関し、当時、市制施行を目指していた愛知県東浦町から提出された一部の調査票等において、世帯の常住実態が定かでないものが相当数確認され、総務省による現地調査等の結果、人口速報集計(23年2月公表)から人口等基本集計(同10月公表)までの間に、調査期日における常住実態がないと判断された世帯員を集計から除外する事態となりました。
総務省では本件に関して再三にわたり東浦町に実態解明への取組を求めてきたところ、今般、同町から報告(概要別紙)があり、調査票の審査に当たった担当職員3名が国の定める事務処理要領を逸脱して行政資料から世帯員を追記した上、調査票等に事実に基づかない内容を記入していたことが判明しました。
<参考:東浦町の人口>
人口速報集計(速報人口) 5万80人
人口等基本集計(確報人口) 4万9800人
2 今後の対応
総務省としては、調査期日における常住実態がないと判断された世帯員を除外した上で昨年10月に人口等基本集計の結果を公表したところですが、国の最も基本となる統計調査である国勢調査においてこのような事案が発生したことは誠に遺憾です。
東浦町は、当該行為を行った担当職員及び管理監督者の処分を行った上で、町民に対して本件事実を公表し、謝罪するとともに、再発防止への取組について述べています。愛知県においても、再発防止に向けて、市町村における事務処理状況の把握徹底や助言等を通じて今後の適正な事務処理を図ることとしています。
総務省では、調査実施者として今回の事案を重く受け止め、平成27年国勢調査に向けて、都道府県・市町村との一層の連携を図り、適正な審査事務のための指導徹底などに努力してまいります。