<鉢呂経産相>「放射能つけた」発言 辞任やむなしの声も
毎日新聞 9月10日(土)2時31分配信
鉢呂吉雄経済産業相が東京電力福島第1原発の視察を終えた8日夜、東京都内で報道陣の一人に近寄って防災服をすりつける仕草をし、「放射能をつけたぞ」 という趣旨の発言をした。鉢呂氏は9日午前の会見でも福島第1原発の周辺市町村を「死の町」と発言し、同日午後にこの発言を撤回して陳謝した。
原発を所管する担当閣僚として不適切な言動との批判が出るのは必至で、政府・与党内からは「辞めざるを得ないのではないか」との見方が出ている。閣僚の一人は「こういう話が続くと厳しいかもしれない。救いようがないかもしれない」と語った。
報道陣は、鉢呂氏の福島第1原発視察の見解などを聞くため、8日午後11時過ぎに東京・赤坂の議員宿舎で取材していた。10人程度の記者が鉢呂氏を取り 囲み、鉢呂氏はたまたま近くにいた毎日新聞記者に近寄り、防災服をすりつける仕草をした。鉢呂氏はすりつける仕草をした後、報道陣に「除染をしっかりしな いといけないと思った」などと語った。
鉢呂氏は8日、野田佳彦首相に同行して、福島第1原発や原発から半径20キロの警戒区域を視察した。その後、帰京し、防災服を着替えないまま、議員宿舎に戻り、報道陣の取材に応じていた。
鉢呂氏は9日夜、報道陣に対し、「放射能をつけたぞ」との発言について、「(記者に)近づいて行って触れることもあったかもしれない。そういうこと(放射能をつけたぞ)は言っていないと思う」と釈明した。
鉢呂氏は9日午前の閣議後会見で、8日に福島第1原発などを視察した際の印象について「残念ながら周辺市町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死の町 という形でした」と発言した。野田首相は9日、訪問先の三重県紀宝町で記者団に「不穏当な発言だ。謝罪して訂正してほしい」と要求。これを受け、鉢呂氏は 9日午後、「被災地に誤解を与える表現だった。軽率だった。被災をされている皆さんが戻れるように、除染対策などを強力に進めるということを申し上げた かった」と釈明した。
藤村修官房長官は9日の会見で、鉢呂氏が佐藤雄平福島県知事に謝罪の電話をしたことを明らかにした。「ただちに(経産相としての)適格性につながるとは 思わない」と閣僚を辞任する必要はないとの認識を表明。一川保夫防衛相の「素人だが文民統制」など問題発言が続いていることを踏まえ、近く各閣僚に発言に 注意するよう求める考えを示した。
一方、野党からは鉢呂氏の自発的な辞任や更迭を求める声が相次いだ。自民党の石破茂政調会長は「経産相としてではなく人間として不適格で、間違いなく辞 任だ」と批判。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「大臣として不適格で自ら辞意を表明すべきだ。首相の任命責任も問われる」と語った。鉢呂氏は衆院北海道4区 選出で当選7回。大蔵政務次官や民主党国対委員長などを歴任している。
鉢呂経産相辞任:記者に「放射能つけたぞ」 放射線量「ひどい」説明後
鉢呂吉雄経済産業相は8日午後11時過ぎごろ、福島第1原発の視察を終え防災服姿で東京・赤坂の議員宿舎に帰宅した際、記者団に非公式の取材に応じた。
10人程度の記者に囲まれた鉢呂氏は「ひどいと感じた」と感想を述べ、放射線量が高い状況を説明。その際、近くにいた毎日新聞男性記者に近寄って防災服をすりつける仕草をし「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言をした。その後、除染を急ぐ必要性を強調した。
毎日新聞 2011年9月11日 東京朝刊
鉢呂経産相に早期辞任論 本人釈明「記憶定かでない」
鉢呂吉雄経済産業相は10日、福島県の被災地を視察後に記者団に「放射能をつけちゃうぞ」などと語ったことについて「記憶は定かでない」と釈明した。そ のうえで「原発事故の早期収束に全力でやっていく」と述べ、辞任を否定した。野田佳彦首相は同日中にも鉢呂氏と会い、真意を確認する意向だが、政権内から は早期辞任論も出ている。
鉢呂氏は8日午後11時20分ごろ、福島視察後に東京都内の衆院赤坂議員宿舎に防災服のまま帰宅。取り囲んだ5、6人の記者の一人に「放射能をつけちゃうぞ」と語り、服の袖をなすりつけるようなしぐさをした。その他、鉢呂氏は視察の感想などを語った。
鉢呂氏は10日昼すぎ、東京都内で記者団に、自身の発言について「記憶は定かでない。大半は真剣な話をしたと記憶している」と説明。「国民や福島のみな さんに大変なご迷惑、不信の念を与えたとすれば心からおわびしたい」と陳謝する一方で「今後ともがんばっていきたい」と述べ、引き続き経産相の職務に当た る考えを示した。
野田首相は10日昼、視察先の宮城県気仙沼市で記者団に「本人によく真意を確かめさせていただきたい。直接会う機会をなるべく早く取りたい」と述べた。鉢呂氏の進退には触れなかった。
鉢呂吉雄 経産相 放射能発言に関するデマまとめ
鉢呂釈明会見―品格疑われた質問記者のヤクザ言葉
「死のまち」と「放射能つけちゃうゾ!」。この2つの発言で鉢呂吉雄経産相が10日(2011年9月)に辞任を明らかにし、「野田どじょう内閣」はスタート9日目で早くもつまずいた。
「死のまち」発言―文脈見れば違和感少ない
ことの起こりは、8日の福島原発視察後に記者会見で行った「死のまち」発言。死のまちという言葉ばかりが独り歩きしていたが、実は鉢呂は次のように語っていた。
「福島のあの汚染は3回目でありますけれども、残念ながら人っ子ひとりいないまち、死のまちという形でございました。経産省の一つの原点ととらえ、福島の再生なくして日本の再生はない。それを第1の柱に野田内閣としてやっていく」
前後の文脈を繋げてみると、さほど違和感あるとは思えない。
リポーターの清水貴之が鉢呂の出身地、北海道樺戸郡新十津川に飛んで取材をすると、「几帳面でダジャレを言わず、暇があると街頭演説する真面目男。地元の人は誰ひとり悪く言わなかった」という話だ。
支援者の北海道議の池田隆一は「(死のまちという)状況をどう克服していくかということのほうが大事な発言なんで、それをちゃんとお話していたのですけどね」と、辞任は解せないという感じだ。
「放射能つけちゃうゾ!」はあまりの軽率
しかし、その後に報道された鉢呂の言動はよくなかった。視察を終えて帰宅した鉢呂が、議員宿舎前で記者たちに「放射能つけちゃうゾ!」とから かったというのだ。就任したばかりとはいえ、原発事故の責任が問われる経産省の大臣の言動とは信じがたい。まるでやんちゃな子ども。軽率だったことは否め ない。
スタジオでは司会の羽鳥慎一が「『放射能つけちゃうゾ!』はダメですね、これは論外。人として問題だと思う。ただ、これでまた野党が首相の任命責任を追及し、国会が止まったらまた繰り返し。どうなんですかね」と心配する。
たしなめられた「説明しろって言ってんだよ!」
元共同通信記者の青木理は「迂闊な発言ではあるけど、これは暴言というより失言」と鉢呂を擁護しながら、鉢呂の9日の釈明会見で飛び出した記者の品格を欠く質問をむしろ問題視した。
鉢呂の「不信を抱かせるような言動があったというふうに捉えられたわけですが…」に、記者は「何を言って不信の念を抱かせたか、説明しろって言ってんだよ!」
これに他の記者が「そんなヤクザ言葉やめなさいよ。記者でしょ。敬意を持って質問してくださいよ」
青木「会見は糾弾する場ではなく、話を聞く場。ああいう記者の態度は許せない」
政治家も記者も質が落ちたのか。それとも、誰もかもイライラしているのか……
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