*ウサギのお部屋*

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ジョルジュ・ヴィガレロ「強姦の歴史」

2014年12月31日 | 
強姦の歴史
クリエーター情報なし
作品社


ちょっとこれは、例えば電車で隣にいるおばさんが読んでたらびっくりされるタイトルよね。
フランスの歴史学者の人が書いた本。
すごい参考文献の数。
文学作品、裁判の記録、新聞、論文、法律から、商人の日記なんてものまで。
犯罪がどのように見方を変えてきたのか、法がどのように作られてきたのかというふうにも読める。
でも、やっぱり、特殊な犯罪だから、いろいろなことが見えてくる。

女性は、自分自身のものですらなかった。
父親のものであり、結婚後は夫のものであった。
そこから、よくぞ今のようになったなと感慨深いものがある。

時代のせいと言ってしまえばそれまでだけど、あのルソーでさえも、女性に対してはそのように思っていて、特に疑問も感じていなかったらしい。
そういうのがわかったら、なんか、見方が変わるね。

今も根強く残っている考え方もある。
被害者が悪いという考え方。
どんなに理想的な法律ができても、それを使う私たちがそんな考え方だからいつまでも世の中がよくならないのね。

女性が一点の曇りもない存在でなければその国の男は誰でもその女性を強姦することができる
から、
女性がだめと言えばだめなのだ
まで。
試行錯誤して歴史は進んできたんだなと思う。

子供についての記述もある。
「子供」というものが、大人の縮小版ではなくて、「子供」という独立した存在であるということが発見されていく過程というのも見てとれた。