原題はグリーンゲイブルズのアン。
松本侑子さんの新訳・全文訳。
新しいアンに出会える。
知ってた、でも知らなかったアンに。
これの存在を知って、これは読まなきゃいかんと思ったのであった。
まずは図書館で順番に読んでみます。
去年、緊急やら何やらで図書館もやってなくて、家にある村岡訳を全部読み返したところでした。まだ記憶に残ってるフレッシュな状態で新訳に当たれるのも嬉しい。
でもやっぱり、この第1作目は、孤児の少女が居場所を得る物語、というよりは、それも大いにあるんだけど、やっぱり、子供を産むことのなかった女が母親になるという物語なんだよなあ。自分が母になってからは、そっちの視点で読んでる。
マリラの、自分が悪かったときは率直に謝る、子供だからって子供扱いしないで一人前の人間同士として話す、ところはとても好き。
アンの生い立ちを聞いて、やっぱり引き取ろうとするあたりでは毎回泣ける。
「自分にも順番が回ってきた」っていう考え方はなかなかいいと思った。
神を愛さなきゃならないのに、人間の子供をこんなに愛するなんて罪深いって思っちゃうところも、まじめなキリスト教徒らしくて好き。
マリラのおひざにアンが頭をのせてリラックスしてるシーン、
村岡訳にあったかな?
すごくいいシーンだね。愛し合ってる2人が目に見えるようで。
いちご水が、ラズベリー水に変わってた。木苺水ですって。
時代と共に日本語も変化するものだから。
あとは、妖精も、フェアリーだけじゃなく、スピリットとかいろんな言葉が使われていたんだって。7種類だっけか。
あとは、「楽しい」「愉しい」、「嫌」「厭」の使い分けも、原文からなのかな?
いろいろ新しい発見がありました。
そして、巻末の注釈が細か過ぎて最高!
松本先生、めっちゃ調べてくださってありがとうございます!
何でも、翻訳をするに当たり初めて原文に当たってみて、難解な言い回しや古い英語が多用されていて、これは子供向けの本じゃない! と思ったそうです。
インターネットのなかった時代から今まで、すごく調べてくださった。
世界で一番詳しい注釈じゃないかっていうこと。
作中の人物の名前で、キリスト教的に見て、こういうことを暗示しているとか、私たちにはよく分からないからすごくありたがい。
例えば、アンは聖母マリアの母アンナ、マリラはマリアの変形、マシューはマタイの英語読みで、血はつながらなくても愛で結ばれている家族を示している。など。
ダイアナの名前が「異教徒みたい」ってマシューが言うところは、ダイアナは月の女神、ギリシャ神話の時代の多神教の名で、キリスト教の一神教とは違うという意味とかもね。
キリスト教のことがたくさん入ってるのも、いろんな詩人の詩の引用や、シェイクスピアからの引用なども多いのも知っていたけど、改めてすごく勉強になりました。
例えば、「薔薇は薔薇って名前じゃなくても香りは変わらないというけど、私はそうは思わない」ってアンが言うところ、これは「ロミジュリ」のジュリエットが「薔薇はどんな名前でも香りは変わらない」って言うところからの引用。
こんなのは私でも分かるくらい簡単(笑)
それどころじゃない引用が多くて、調べるのすごく大変だったんだろうなって思う。
だから、本当にありがとうございます。
私、全く頭になかったことがある。今回初めて知った。
当時、カナダは建国したばっかりだったってこと。モンゴメリの生年(1874年)のほんの数年前に(1867年)イギリスから独立したのだった。
2000年続く国にいるとなかなか気づかないものだ(笑)
だから、スコットランドだの、アイルランドだの出てきてたのですね。。
アンやカスバート家はスコットランド系、ダイアナのバリー家はアイルランド系など。