*ウサギのお部屋*

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最新日記は数日後に非公開にします。

パトリシア・ハイスミス「見知らぬ乗客」(1950)

2024年09月18日 | 
 
Strangers on a Train

こないだの「イレブン」から、気になってた。ヒッチコック映画の原作の本書を読んでみた。
意外と厚くて、こんなに壮大な物語があったのか? っていう感じだった。

何で、映画があんなふうになっちゃったのかな? ヒッチコックは好きだけど、どうなんだろな?
話が全然違うので意味合いも違くなってきちゃう。
一番いい場面が映像になってない。
あの、ガイの犯行後の混乱した心理状態の描写がすごい。あれこそがハイライトなのにな?
ってのは、思った。

あとは、よく考えて、原作を読んだ感じでは、ガイの妻はメガネをかけてるようなタイプに思えないんだけど、メガネだったのは、単にそのレンズに犯行の様子を映したいから、それだけに思えた。
映画を観たときには斬新な演出って思ったけど、よくよく見ると、そんな感想もあった。
やっぱ、映像化するっていろいろあるもんだな、昔から。

主人公のガイは、同じ列車に乗り合わせた若者、ブルーノに、交換殺人を持ちかけられる。
ガイの妻をブルーノが殺し、ブルーノの父をガイが殺す。
ガイは本気に取らなかったが、ブルーノがガイの妻を本当に殺してしまう。
ここまでは映画も同じ。
そこからが、オリジナルでハラハラしたなあー。

やりたくもないのに、人を殺さなきゃならない気持ちとか、やってしまった後の混乱したさまとか、だんだん追い詰められてくる感じとか、すごくすごい。
おかげで、気がふさいでしまったわ。

「ひとりのなかにあらゆる善とあらゆる悪が共存している」
ここの部分はすごいなと思う。

男同士の愛情みたいな関係も、この後の作品にも出てくるみたい。
妻を殺したい男の話も出てきたりするみたい。
この作品が、原点であり、全部詰まってるみたい。
そうなんですねー。
ほかの作品も読んでみるかい?
ちょっと、気がふさぐのはあれだけど(笑)