ワニなつノート

Niiと「わたしのものがたり」(その4)

Niiと「わたしのものがたり」(その4)

「わたし」を「わたしの基準」にすること。
「自分」の真ん中で、基準となる「自分」を持つこと。
それが前回紹介した少年の、「ぼく人格ができた気がする」
という言葉の意味なのでしょう。
そのためには、自分を大切に思えることが必要です。

「わたし」が「わたし」に自信を持つということは、
「わたし」の基準である、「わたしの身体」と
「わたしの感情」を大事にできるということです。

そのためには、まず、その「わたし」を
大切に思ってくれる人が必要です。

もし、誰からも大切にされたことがなかったら、
親から虐待され、先生からも相手にされず、友だちもいない、
そんな状況で、自分に自信を持てる子どもはいません。

だから、子どもが、ありのままの自分に自信を持つためには、
たった一人でもいいから、ありのままの自分を
受けとめてくれる人が不可欠です。

その受けとめに、「条件」はなしです。

「男の子(女の子)なら」とか「いい子なら」、
「歩けたら」「しゃべれたら」「指が5本あれば」、
「目が見えさえすれば」「もう少し身長伸びれば」、
「アザがなかったら」「ダウン症じゃなかったら」、
そんなふうに、その子どもと不可分のもの、
その子が生まれてくるために、生き延びるために、
そのことも含めて「大切」な人生の一部、
大切なその子の一部、であるものを、
大切な「3本の指」を、大切な「ダウン症」であることを、
生き延びるために闘い、そのなかで残った傷を、障害を、
その子の命と人生にとって「大切」な傷痕を、
なかったことにしたい、みたくない、というまなざしと扱い、
そうした「条件」は、一切なしです。

その子が「ありのままの自分」を、
大切に生きる「自分の基準」、
「わたしの真ん中」で生きることをじゃましてはいけません。

だから、そのためにこそ、
学校に行かない時間が必要な時もあるということなのです。
なぜなら、学校には、その「自分の基準」を
「作らせない力」があふれているからです。

ただでさえ、学校というところは、そうした力が働いている所だし、
その上、体罰や言葉の暴力、視線の圧力、などで
それを押しつけてくる先生にあたってしまったら
(外れてしまったら)、子どもはたまりません。


「Nii,わるい子になりたい!」
「ようちえん、いきたくない!」という言葉は、
まさにそういうだったのだと、
15年が過ぎてみて、はっきりと分かります。


この話は、このブログの常連さんには通じると思うのですが、
世間一般には、相手にされない話かも…、と思います。
「3才、4才の子どもが、幼稚園に行きたくないと、
わがままを言っているだけで、学校の圧力とか、
そんなことに結びつけるのは、考えすぎだ」と、
そんなふうに言われてしまうことでしょう。

でも、そんなたわ言をはね返す娘の言葉を、
いくつか紹介します。


① まずは、Niiと一緒に一泊で「会」のキャンプに参加し、
帰ってきた日の会話。

「あきらくん、あーとか、うーしかいわないね。
じゃあ、がっこうやすんでるのかなー。」
「えっ、行ってるよ」

「どうやって、字かいてるのかなー。
ぐじゃぐじゃってかいてるの?」
「そうだねー」

「じ、かけなきゃ、がっこういけないよ」
「行けるよー」

「どうしてー?」
「字なんか書けなくたっていいんだよ」

「ぐじゃぐじゃにかくからー?」
「そうだね、今度、見てみようーか」

「うん、まことくんは、だいじょうぶだけどねー」
「……そうかな~~~(>_<)」
(8月27日)

※ 「注」をつけるまでもないと思いますが、
あきらくんは、言葉を話さない、障害のあるふつうの小学生。
弟のまことくんは、障害のないふつうの小学生です。

② 次は「わるい子になりたい!」の一ヶ月後の言葉。

近所の中学校を通りかかったとき、Niiが言った。
「ヒロとケイ、いるかなー」
(ヒロとケイは近所の中学生で、ときどき遊びにきてくれる)
「そうだね、二人とも勉強してるね」

「Nii、0点とったらどうしよう…」
(10月21日)


③ こんな会話もありました。

「Nii、おねえちゃんになったら、
どんなおにいちゃん、すきになるのかなー」
「…そうだね~」

「うふふ、それはがっこうにいってからのおたのしみ‥」
「…そう」

「…そのおにいちゃんのおうちがわかったら、
おてがみかこうかな~」
「…そうだね~」
(5月29日)

4才の子どもにも、「学校」のイメージは、
かなり正確に理解されていると思います。


④ そうしたことが分かっていると同時に、
次のような会話もするのが4才の子どもです。

        ☆

Niiが押入れの中で遊んでいて何かを見つけた。
遠慮がちに、小さな声で私を呼ぶ。
「ねえ、おとうさん」
「なあに?」

「ちょっときて…」
その秘密めいた言い方に惹かれて、
「なに、なに」と押入れをのぞく。

「ほら、あれ」
一瞬、かみさんの方をチラッと見ながら、指をさす。
そこには哺乳瓶がしまってある箱があった。
「へー、よく見つけたねー」

その反応に気を良くしたのか、Niiの声がちょっとはずむ。
「これで牛乳のんでいい?」

「いいけど、ビンだけで、くわえるところがないよ」
「いいの」

「じゃあ、洗ってあげるよ」
「うん!」

「懐かしいねー」
箱を開けると、乳首もひとつだけ入っていた。

「Nii、あったよ。あったよ。これもつけて飲んでみる?」
「うん。やったー。あってよかった」

Niiは哺乳瓶で、牛乳50CCを飲んで
満足そうだった(*^^)v
(8月28日)

④もう一つ、おまけ。

「おかあさん、Nii、うんでよかった?」
「うん、よかったよ」

「Niiも生まれてよかった。おかあさんにあえたから」
(9月26日)
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