住井すゑさんと永六輔さんの対談を読んでいて、
「おんなじ、おんなじ」と思えるしあわせ。
◇
住井:子供に「こうしなさい、ああしなさい」って強制したことはなにもないしね。勉強しなさいといったことはないし。
永:でも、何かしているでしょう。こんなに自信のある母親なんだから(笑)
住井:強制はしてないですね。なるようになるんだと思ってね。
それで私は子供を最高の出来だと思っているから、それ以上に注文することはなかったんですね。
永:いまおっしゃったのは、赤ちゃんというのは、最高の人間という考え方ですね。
住井:そうそう。最高ですよね。
だから、自分の子供が最高でなければ生きている意味はないよね。
永:それは赤ちゃんが、たとえば障害を持って生まれてきても……。
住井:最高ですよ。
永:親からいったら最高でなきゃいけないのね。
住井:だから子どもが親を尊敬するんじゃなく、親は子供こそ尊敬しなくちゃいけないんですよね。
永:…うちも父がよくいっていました。
「お前たちのおかげで親にさせていただいたんだから、ありがとう」って。
子供の時にそれがわかりませんでしたけど、いま思い出しました。
子供にそんなふうにきちんとあいさつする親父でした。
住井:子供が親に恩があるんじゃなくて、親が子供に恩があるんですよ。
私はいつもそういう気持ちでしたね。
(『住井すゑと永六輔の人間宣言(じんかんせんげん)』光文社)
◇
住井すゑさんは、1902年(明治35年)生まれ。
この本は、住井さんが亡くなる2年前の1995年発行です。
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