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ワニなつノート

自分の「呪い」を解くための100のメモ(53)

《居ることを聴く》②

 

「わたしたちのたねまき」という絵本がある。

「わたしたち」というのは、「雨や風や太陽の光、鳥や獣たちや人間、そして川」のこと。

 

ページをめくりながら、ふと思う。

わたしたちが見てきたのは、「ここに居てはいけないと言われない場所」の「子どもたちのたねまき」だった。

 

「ここに居てはいけない」と「誰も言われない学校」に出会う子どもたち。

「ここに居てはいけない」と誰ひとり言われないことは、どんな感じ方も、どんな個性も、どんな主体感覚もあなただけの大切なもの、と伝えるメッセージだった。

 

それは「一部の子ども」でなく、「すべての子ども」の主体感覚のために大切なものだった。

「制度が整っていなければできない」とか「居るだけ」と言われるが、むしろ大人が道を知らない分、子どもたちの手作りのつながりの道や学びの道が拓けた。

 

道ができると、見える景色も違ってくる。

分けられて育った私には想像もつかなかった世界を、子どもたちは見せてくれた。

 

だから、大人の教えは最小限にして、ただ子どもたちのうしろをついていけばいい。

そうしてはじめて、子どもたちがまいたつながりのたねの声、まなびの声がきこえてくる。

 

【写真:仲村伊織】

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