ワニなつノート

物語としての自立生活ケア(1) 



≪物語としての自立生活ケア≫(1)
 
岩橋さんの書いたものを紹介したくて、
『良い支援?』を何度か紹介しました。

紹介した手前、私の感想をちゃんと書かなきゃと思ったのですが、
岩橋さん以外の文章は、ひっかかったり、つまづくところが多くて、
なかなか読めませんでした。

まず第一章の「近年、自閉の人に対する療育や支援の技法が
確立・普及されてきており」(41)という言葉に首を傾げました。
確立された技法?って何だろうと思って《注》をみると、
TEACCHプログラムのことでした。
私はまったく興味ありませんが、少なくとも
「自閉の人に対する確立された技法」というのは違う気がします。

ある障害に関して「確立・普及した技法」と言えば、
私は点字や手話、指点字、まばたきによるコミュニケーションの
技法等を思い浮かべますが、それらと同じ類のものだとは思えません。

少なくとも私が20数年の間に出会ってきた「自閉」と
言われた子どもたちは、それを必要とはしてきませんでした。
いえ、むしろそうでない関係や表現を求めてきたように思います。

また今の日本で、「自立生活支援」の本にそのように書かれると、
子どものときに「特別支援教育」に取り込まれる子どもが、
ますます増えるだろうと思います。
ただでさえ、ここ数年の「特別支援教育」に
取り込まれる子どもたちの数は、
「バブル」といっていいほど増え続けています。

その中には、「あきらめ」たり、「だまされ」たりして、
普通の居場所を失う子どもがいるのです。

(特殊学級に在籍する児童数)
1990年度  77162人

2006年度 104544人

(通級している児童数)
1990年度  12259人

2006年度  41448人

とりあえず上の数字だけ出しますが、子どもの数は減っているのです。
それなのに、特殊・通級だけで約6万人も増えています。


私は、「その人がどんな子ども時代を過ごしてきたのか」を抜きに、
介助や支援を語ることはできないと思っています。
そして、「どんな子ども時代」と問うことは、
結局のところ、どんな学校教育を受けてきたか、
どんな学校生活を送ってきたか、ということになります。

Hideのいる自立生活センターにも、
普通学級・普通高校を卒業した人と、
養護学校を卒業した人、施設から出てきた人たちがいます。
自立生活センターでは、両方の学校を過ごした人がいるのだから、
どっちがいいという主張はしづらいのかもしれません。

「大人」になれば、普通でも養護でも、地域で生活していくのだから、
そうした「政治的対立?」の話は避ける雰囲気もあるのでしょう。
それは、それで、私にも分からないわけではありません。

それでもやはり、「知的障害」者や「自閉症」者の
自立生活の「支援」の話を進めていくには、
「教育の問題」=「子ども時代の問題」を
同時に考えていく必要があると思います。
    
「障害のあるふつうの子ども」たちを受け入れない学校の先に、
「障害のあるふつうの大人」を受け入れる社会があるとは
思えないのです。

学校は、子どもたちの「社会」です。
その子ども社会から、「特別支援」の必要な子どもたちを
どんどん抜き出し続けていって、
その先に、ふつうの「支援」のある社会が現われてくるでしょうか。

(つづく)

コメント一覧

岩ちゃん
う~ん!鋭い!!
就学運動を担っているからこそ見える視点ですよね。
フムフムよく分かります!

「TEACCHプログラム」?と言うのがあるのをつい2年ほど前に知った私。又、たこの木の面々が自閉症と呼ばれる範疇にあると言うのも、最近ようやく「そんなもんかな?」と思い始めたくらいで、まったく専門性のない私です。

>「障害のあるふつうの子ども」たちを受け入れない学校の先に、「障害のあるふつうの大人」を受け入れる社会があるとは思えないのです。

同感!!

しかし、現実は…
就学運動や高校進学の運動を担ってきた方々が、学校と言う場を卒業すると同時に、「居場所作り」等に邁進したり、「障害者ばかり集まる場は嫌!」と言っても結局は家族が当事者の暮らしをすべて抱え込んでいたりする事の方が多いように感じます。

 「就学運動」や「高校進学運動」を担う人たちは、子ども本人ではなく大人たち。
 多摩も同様でそのような取り組みを行う大人たちの中で育った子ども達が、「自立」と言う話になっった時に「親と子がたもとを分かつ」作業をどうしていくかと言う課題にぶち当たります。

>それでもやはり、「知的障害」者や「自閉症」者の自立生活の「支援」の話を進めていくには、「教育の問題」=「子ども時代の問題」を同時に考えていく必要があると思います。

これも同感!!
でも
「教育の問題」と「自立の問題」には何らかの課題があるようにも思います。

 その辺り、長年就学運動等子ども達をめぐる課題を担ってきた方々とじっくりと話し合っていきたいですね~!

 とは言いつつ、余裕のない私ですが…
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