《「贈る能力」と「受け取る能力」》
子どもには、贈り物を「贈る能力」がある。
子どもには、贈り物を「受け取る能力」がある。
子どもは、その両方の天才だとおもう。
能力の発達とか、能力を測るとか言うけれど、なぜかその「能力」は忘れられてきた。
最近、私はこの「贈り物」の能力がとても大切なものだと感じる。
◇
きっかけは、援助ホームの子どもたちの言葉。
「あんなによくしてもらったのに」と、ホームを飛び出して二年後にわざわざ謝りにきた子がいた。
一人暮らしをはじめた子が、「ホームにいるときは、何一つ不自由のない暮らしだったから」と言ってくれたことがある。
養護施設も援助ホームも、頼れるはずの親がいない子が暮らすところ。
「何一つ不自由のない」ことなんか、あるはずがないのだ。
10代で自分を養うためにバイトして貯金して、自分の力で一人暮らしを始める。
こんな不自由な運命を背負わされる子は、不自由だらけのはずなのだ。
しかも、私があげられるもの、贈れるものはほとんどない。
3畳の狭い部屋と、一人でやっていけるまでの数年を一緒に暮らすだけ。
贈り物はたったそれだけ。
なのに、子どもたちは、勝手に、たくさんの贈り物を受け取ってくれる。
贈った覚えのない贈り物を勝手に受け取って、お守りのように持っていてくれる。
そうして、子どもたちに教えられてきたことは、その「贈り物を受け取る能力」があれば、子どもたちは自立していくことができる、ということ。
◇
昨日、届いた「ことばの贈り物」。
「ゆめちず」に紹介されていた、この春小学校を卒業する子の、卒業文集のことば。
「みんなの笑顔のために 私もみんなのうれしくなることをしたい」
そのことばを読んだとき、すぐに「みんながいて、あー、いい気持ち」という言葉を思い出した。
それも、ふつう学級の子どものことば。
障害のあるといわれる子どものなかには、この「贈り物」を受け取り、あるいは与える能力に恵まれた子がたくさんいる。
そして、ふつう学級で共に過ごす子どもたちもまた、その能力を「意識」することが増える分、その能力が豊かに育っていくように感じている。
□
かけがえのない贈り物
子どもはだれも、もらうだけの子はいない
子どもはだれも 贈り 受け取る
いっしょに参加し 支え合い
つながるという贈り物
お互いがお互いに いるだけで
お互いがお互いの
かけがえのない贈り物
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