ワニなつノート

気味悪い社説と修学旅行での死


さっきの社説を読んで、『週刊金曜日」の記事を思い出しました。

専門家がいるはずの特別支援学校の、教頭、教員、養護教諭、そして医師まで同行しながら、この経過と結果はあまりにひどいです。
しかも職員10人、生徒5人です。
この体制で、なぜ以下のような経過になるのか。

社説に、「人手不足」という言葉がありましたが、それは言い訳の一つでしかありません。

私がそれを痛感したのは、養護学校で、先生と生徒1対1の授業中に溺れて死んだ子どもの裁判の判決文を読んだときでした。

養護学校の泳げない生徒を、先生がマンツーマンという手厚い教育のもとで「指導」していながら、先生が生徒の体の横についていながら、どうして子どもが溺れて死ぬのか。

虐待をするような「素人」に対して、「専門家」が必要というのは、一面的にすぎます。
「専門家」こそが、その専門性に迷いを持たないことで、人を追い詰めている現実を同時に見るべきです。

下記の事件や、ひとりの生徒が亡くなったあとの対応は、特別支援学校や教育委員会が、子どもの命、子どもの存在、子どもの生活を、本気で受け止める覚悟がまったくないこと、
「障害児のことは障害児を産んだ親に任せっ放し」で当たり前という意識の結果です。


       ◆      ◆      ◆


特別支援学校生徒の修学旅行での死亡事故
――態度“豹変”の新潟県教委



週刊金曜日 1月25日(金)


 新潟県立はまぐみ特別支援学校高等部三年の修学旅行で、体調を崩した女子生徒Aさん(当時一七歳)が死亡した事故で、当初責任を認めていた新潟県教育委員会の“豹変”が問題となっている。


 旅行は二〇一一年六月一日、教頭を含む教員、校医の計一〇人が生徒五人を引率し出発。バス移動中、脳性マヒ障がいで車イスのAさんは吐き気が数回あったが、学校側は十分に休憩させなかった。

 群馬県の宿泊先に到着後、発熱し食事もほとんど摂れないAさんに学校側は十分な水分補給をせず、翌二日未明から嘔吐。

当初、教員だけで対応したが、午前四時に胆汁も吐き体調が悪化。
養護教諭が対応したが、校医に連絡せず、診察は同五時半頃に。

 
水分摂取量を養護教諭は記録せず、校医は「水分補給の点滴は不要。救急車で近隣の病院に運ぶと環境ストレスになる。保護者に迎えに来させ、主治医のいる新潟の病院で受診を」と診断し、
養護教諭が七時、教頭が七時半になって、保護者に迎えに来るよう連絡した。 

車で二時間以上かかる高速を往復した保護者は午後二時前、病院に娘を搬送したが、すでに「点滴する血管が確保困難」の重症。

翌朝、「脱水性ショック」で死亡した。



 県教委の佐藤昇誠・義務教育課室長は同年一二月一二日の検証作業会議で「責任は教委にある」と謝罪したが、補償問題の出た一二年三月頃から態度が変化。

一〇月二日には中島秀晴・新室長が保護者らに「県費の補償なし。日本スポーツ振興センターの見舞金のみ支給」と告げた。

一二月二六・二七両日、筆者の電話取材に中島氏は、
(1)補償なしは新潟大の専門医らの意見聴取で「教員や校医の対応は死亡と直接的因果関係なし」との見解が出たから
(2)だが教員らは十分に対応しておらず、降格した教頭を含む四人は懈怠と判断し訓告措置にした
(3)道義的責任は大、管理責任もあるが、賠償責任はノーコメント――などと答えた。


 保護者らは一二月一八日、上京し「いじめ自殺以外の学校管理下での死亡事故等発生時も、第三者委員会を設置し、公平公正な検証を行うよう教委に働きかけを」と文科省に要望。

林剛史・初等中等教育企画課係長らは検討する考えを示した。
保護者らは近く新潟地裁への提訴を検討中だ。


(永野厚男・教育ライター、1月11日号)
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