『農薬で身体を壊し…』
今どきの農家が農薬を使うのは、ごく当たり前の常識なのでしょう。
でも、農薬で身体を壊す人もいるのです。
そうした人にとっては、世間の常識に合わせることが生き辛いのだから、
自分が生きられる苦労を、自分で探るしかありません。
こうして、「分野」や「問題」は違っても、
大多数の人の常識では、生きづらい人がいるときに、
その一人の人の生き方を認めあう大切さを思います。
『まったく手をかけない「放置されたりんご園」に対しては…』
「なにもしなくていいのか」という外野からの声は、
障害のあるふつうの子どもを、普通学級に通わせるときにも聞きます。
学校に行かない子どもにも向けられます。
それは、外野からだけ聞こえるのでなく、
「Halの冒険 5」のように、
親の心の中からもわきあがってきます。
「なにもしなくていいのか?」
「子どもが何もしないのに、どうして何も言わないのか?」
「ちゃんと注意しなくていいのか?」
「ちゃんと教えてあげなくていいのか?」
「どうして、放っておくのか?」
私自身、いろんな場面で言われてきました。
「先生」としても、「介助者」としても言われたし、
児童相談所で保護された子どもたちとつきあう場面でも言われました。
児童自立支援ホームで子どもとつきあう場面でも言われました。
人に言われるだけでなく、自分自身でも、
「これでいいのか?」、「何もしなくていいのか」と迷いながら、
でも、その自分の感覚を超えて、
相手に踏み込む「正しさ」を感じることはありませんでした
『普段から見慣れた山の木々が何故病気にもならず、
害虫にも侵されずに育っているのかに目をとめるのである。』
私は23歳の時に、「重度の障害児」といわれる子どもが、
30人の「健常児」と一緒に過ごす1年間を共に体験しました。
あの1年間、子どもたちと同じ時間を味わい感じたものが、
いまもわたしの自信と信頼の基になっているのを感じます。
それを教えてくれたのは、
あの時の31人の4歳から5歳になる子どもたちでした。
言葉も話さず、歩くことも頼りなく食事もトイレも介助が必要な
「障害児」と呼ばれる子どもが、
同じクラスの子どもたちにとっては、ただの「同じ4歳の子ども」でした。
「障害」があってもなくても、
「子ども」であることになんの変りもありませんでした。
『りんごが本来持っている生命力の源は、
多様な生物体系が息づく柔らかなホクホクした「土」だったのである。』
たくさんのいろんな個性の子どもたちが、生き生きと生活している学校。
生命力に溢れた「子ども」が集まる場所。
たくさんの夢や希望や未来がぎっしりつまっている集団の空気。
柔らかなホクホクした「子どもたち」の集まる場所。
こんなとき、いつも小夜さんの声が聞こえます。
「どんなに大人ががんばっても、子どもの代わりはできません。」
その上に、子どもが育ちやすい環境を整えていく。
子どもと対話しながら、手を出しすぎないように、
自分の役割をわきまえた仕事をこなしていくこと。
『それは「りんごが主人公」だということを常に心がけることである。』
学校の主人公は、子ども。
それは、障害があるふつうの子どもも、
障害のないふつうの子どもも同じ。
『りんごは無農薬という制約の中で、
さまざまな害虫や病気に侵されるというリスクを背負いながら、
自然と調和し最も自分に適った実り方を取り戻していく。』
障害のあるふつうの子どもは、「障害」という制約を予め背負っています。
たとえば言葉が話せないことは、
自分の思いを伝えるときに、不都合なことが多いでしょう。
見えないこと、聞こえないこと、歩けないこと、計算ができないこと、
そうした「制約」をもったまま大人になるとき、
最も自分に適った生き方を見つけられるのは、本人しかいません。
私たちにできることは、
「子どもと対話しながら、手を出しすぎないように、
自分の役割をわきまえた」手助けをこなしていくことです。
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