今年の就学相談会(その2)
《思い違い》
迷子の子がいたら声をかけるのが大人だと思っていた。
小さな子が困っていたら助けるのが大人だと思っていた。
――もしかしたら、分けられる子の寂しさは見えていないのかもしれない。
親に心配かけたくない子は、自分の気持ちを隠す。
それで寂しさが見えないのかもしれない。
それなら伝えればいいと思った。
分けられたいと願う子はいない。
一人になりたい時があるとしても、分けられたい子はいない。
親や友だちや故郷という寄る辺をなくすことは、子どもを寂しくさせる。
そのことを伝えればいいのだと思った。
違った。
子どもの寂しさは守るものではなかった。
この世では、それは大切なことではなかった。
そうでなかったら、その町で生まれた子みんなが、「ようこそ」と祝福される場所から、一人だけ分けることなどできない。
そうでなかったら、席が余っている学校から子どもを見捨てることを、もっとも支持する職業が先生ということもなかっただろう。
□
虐待であれ死別であれ、親がいないなら寂しさは耐えるしかない。
障害であれ病気であれ、点数が取れないなら寂しさは耐えるしかない。
どんな理由であれ、子どもは寂しさを耐えるもの。
この世界ではそれを「当たり前」というのだった。
コロナだからじゃなく、ずっと前からここはそういう世界だった。
□
「いじめられますよ」と校長から脅される場所に、子どもを行かせたい親はいない。
私たちの就学相談会は、今もそこから始まる。
それでも、子どもたちのつながりに咲く花を、一緒に守らせてほしいと、伝えるところから始まる。
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