5月2日、自立生活センターを利用しながら「一人暮らし」をしているhideが、ヘルパーに箒の柄で殴られ、生米を食べさせられるという虐待事件が起きてからまもなく3ヶ月が過ぎようとしています。
虐待を行なったのは、一ヘルパー個人です。
しかし、hideは言葉を持たないため、自分から被害を訴えることはできません。
今回は、虐待を目撃したヘルパーの告発により、明らかになりました。ヘルパーからの報告を聞いた「親」が訴えて、初めて事業所は問題を認識しました。
事件を起こしたヘルパーは、市の「解雇要請」により、5月末に「諭旨免職」。
事件後の、目に見える「対応」は、今のところ、これだけです。
今回の事件を通して、親や支援者が気づいたことは、障害者は「虐待行為」だけでなく、その後のあらゆる「対応」に苦しめられるということでした。
①事業所は、まず最初に事件を起こしたヘルパーを「守るため」に動きました。
②県の障害福祉課では、「老人は虐待防止法があるけれど、障害者虐待防止法はまだできていないから…」という言葉が出ました。
③警察でも、hideが言葉を持たないこと、で、親は被害届を出すために、たいへんな労力を必要とします。
④新聞記事も、事業所の取材だけのものは、ヘルパーを擁護するニュアンスが強いものでした。
⑤こうした事件をhideが裁判に訴えることができないか、相談した弁護士の対応も、親を支援するものではありませんでした。
⑥7月21日(事件から2ヶ月半)の時点で、事業所と市の話し合いでは、市から「まず事件の原因と防止策」をきちんとまとめてください、と指摘がありました。それがないと、市は支援量等の対応ができない、ということでした。
⑦県・障害福祉課は、6月末まで、「改善報告」を提出するように、指示しただけで、いまだに、当事者、保護者に、なんの連絡もありません。
⑧県は事業所やヘルパーに聞き取り調査をしていますが、県議が情報提供を求めても、内容は「非公開」でした。「個人情報」が「壁」になっています。子どもが「成人」している場合には、親が情報公開することもできません。言葉がないhideが、自分の虐待事件に関する関係者の「情報」を、知る権利さえ守られているとはいえません。
障害者虐待の問題は、「暴力行為」そのもの、「権利侵害行為」そのものをなくすことはもちろんだが、それと同時に、いったん「虐待」が起こった後の、「対応」こそが、最大の問題ではないかと思います。
虐待事件で、苦しい思いをした当事者・家族に対し、その後の、事業所、行政、警察、弁護士、裁判所、マスコミ、といった本来、「被害者の人権」を守るべき人たちが、事件を起こした加害者以上に、ひどい苦しみを与えている、というこの現実を、明らかにしたいと思います。
そして、被害にあった当事者や家族が、本当に安心して相談できる場所を、私たち自身が安心できる場所を作りたいと思います。
学習会
『障害のある人への人権侵害をなくすために』
2011年10月29日(土)1時半~4時半
場所:千葉市文化センター
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