ワニなつノート

《旭川報告》⑨  《木の声を聞くように子どもの声を聞く》Ⅱ

《木の声を聞くように子どもの声を聞く》Ⅱ

 

キリンが葉を食べている場面は、私の目にもよく見える。

毛虫が葉を食べているのも、近づけば見える。

だけど、木は何もしてない。そこにいるだけ、ただいるだけに見える。

 

          □

木は、自分の身体の声を隅々まで聞いている。

自分の腹の声、葉の声、根の声を聞いている。

木は、身体の中で有害物質を生成し、葉の一枚一枚に送り、必死で身を守っている。

地下に張り巡らされた根のネットワークで電気信号を送り、仲間に危険を知らせている。

 

私たちが見えていないだけ。

1分に1センチメートルの声が聞こえるまで、ここで待てないだけ。

 

          □

子どもたちが一緒にいる場で、待つことで、聞こえてくる声がある。

子どものつながりのなかでしか、聞こえてこない声がある。

一年後、十年後も一緒にいる場で、待つことで、聞こえてくる声がある。

 

           □

『泣いている子を取り囲んで、子たちが立っている。

何にもしない。何にもいわない。

ただ さもさも 悲しそうな顔をして、友だちの泣いている顔を見ている。

なかには何だかわけも分からず、自分も泣きそうになっている子さえいる。』

『育ての心』倉橋惣三 (初版・昭和11年)

 

木の声を聞くように、子どもの声を聞く人は、いつの時代にもいる。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ようこそ就園・就学相談会へ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事