令和元年5月21日(火)
映画 羅生門
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/ef/e9a9d3206ea9f39bfda9295917437239.jpg)
この映画は芥川龍之介の短編小説「羅生門」と
「藪の中」を基に、黒澤明と橋本忍が共同で執筆、
黒澤明が大映映画で監督した作品である。
作品は、国内、殊に大映では余り評価されぬ時、
この映画を見たイタリアの映画関係者が、絶賛し
ぜひにとベネチア国際映画祭へ出品し、最高賞の
金獅子賞を獲得した。
海外では、黒澤明監督の作品として高く評価され
数々の賞を得た。当初この映画を酷評した大映の
永田雅一はその後豹変し、さも自分の手柄の様に
振る舞う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/4e/43e1100212c21f82b79f7fcf80ed922f.jpg)
物語は、戦乱と天変地異により飢餓が続く平安
時代の或る日、藪の中で昼寝をしていた盗賊の
前を侍の夫婦が通った。その妻の美貌に目を付け
た盗賊が、侍を縛り上げてその目の前で妻を犯す。
後に侍を殺しその妻と逃亡した、、、。
この事件を巡り、検非違使の前に呼び出され、
盗賊、妻、巫女の霊媒に呼び出された侍が証言。
それぞれに食い違う証言、、、、
それを目にした杣売りと旅法師が雨宿りした折り
居合わせた下人に語り掛ける。
そこに赤ん坊の泣き声が聞こえ、、、、。
小説では、朽ち果てた羅城門で老婆が遺体の髪を
抜き取り髷にして売る。そこへ下人が老婆を襲い
衣服を剥ぎ取る。
この二つを組み合わせて映画化した黒澤明監督。
「生きるために仕方なく人を殺す、罪の連鎖と
自分の保身のために、夫々に偽証する、真相は
藪の中、、、、、」
今になって、この映画の言わんとする事が少し
判ったような気がする。現代の社会にそのまま
通用する様で、、黒澤明監督の先見の明か。
生きるため止むを得ず犯罪を繰り返す人、、
忖度、保身のために平気で偽証する政治家達。
全ては藪の中(闇の中)
映画「羅生門」: 1950年、大映京都撮影所
スタッフ
監督 : 黒澤 明
原作 : 芥川龍之介「羅生門」「藪の中」
脚本 : 黒澤 明、橋本 忍
撮影 : 宮川 一夫、 照明 : 岡本 健一
音楽 : 早坂 文雄、 録音 : 大谷 巌
美術 : 松山 崇、 記録 : 野上 照代
キャスト
多襄丸(盗賊) : 三船 敏郎
金沢武弘(侍) : 森 雅之
真砂(妻) : 京 マチ子
杣売り : 志村 僑
旅法師 : 千秋 実
下 人 : 上田吉二郎
巫女(霊媒師) : 本間 文子
放免(下司) : 加藤 大介
物 語
戦乱が続き、天変地異により疫病が広がり、政治も
退廃して飢饉にさらされる平安の初期の京都、、
荒れ果てた羅城門に男三人が雨宿りしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/ae/307ee68a9a4665f90ec9f43c07d6d040.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/10/3469ebc135623db638f8ea6e3e3d23a9.jpg)
杣売りと旅法師が或る事件」の参考人として出頭
した検非違使の帰り途である。
居合わせた下人に、取り調べの不思議な話を語る。
実は、杣売りは事件」の目撃者で事実を知っている
のだが、、、。
数日前、薪を取りに山に入った杣売りは、武士の
遺体を発見した。現場には、女の笠、踏みにじられ
た侍烏帽子等が、、、、
道中で侍夫婦に出会った旅法師も出廷し、証言した。
最初に、侍の金沢を殺した盗賊の多襄丸が証言する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/0c/a8578874a62bcc37b66170aa1ad37b35.jpg)
「山中で寝ていた所、侍夫婦に出会った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/cc/e57f0d029a3e0692101b5dfe96065ab0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/81/1214eba51cc1701bfae3191621198e7d.jpg)
妻女が美しかったので、侍を騙し縛り上げ、侍の眼前
で妻女を手籠めにした。 その後、妻女が勝った方の
妻になる、と言ったので侍の縄を解き正々堂々と
戦い、勝ったが、その間に妻女が逃げた」と証言。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/6a/892b1dd5b8cbafe3446bf968c3d7c836.jpg)
次に妻女の真砂は、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/ea/c87f0b8c6c15ea16d6574f0c779e5475.jpg)
「手籠めにされた後、多襄丸は夫(金沢)を殺さず
そのまま逃げた。夫を助けようとしたが、眼前で男に
身を任せた私(真砂)を蔑む眼差しで見据えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/73/052a6d920bd9804bc5f301294fdf2d53.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/16/e5b296ae1b297a4557d3f5f13256ac5c.jpg)
それに耐えられなくなり、夫に私を殺す様に願った
が、叶わず、その後気絶した。 目が覚めると夫は
短刀で刺され死んでいた。自分も死のうと思ったが
死ねなかった」と証言した。
その後、巫女が呼ばれ、霊媒により死んだ金沢を呼び
出し証言させる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/28/796e78180c9afa1d424315f261adcfc9.jpg)
金沢の霊は、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/cb/3249cef90bc8b74dd039adaec5cd4850.jpg)
「真砂は多襄丸に辱められた後、彼(多襄丸)に情を
移し、多襄丸に同行する代わりに自分の夫(私)を殺
す事を求めた。 それを聞いた多襄丸はあきれ果て、
「女を生かすも殺すもお前が決めろ」と私(「金沢)
に告げた。それを聞いた真砂は逃亡し、多襄丸も後で
姿を消した。一人残された自分(金沢)は無念の余り
妻の短刀で自害した」と証言。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/81/319e3630cb06c12ab4b32e9f405acde6.jpg)
この話を下人に話した杣売りは「三人とも嘘をついて
いる」と言った。 杣売りは実は事件を見て居り
事実を知っていたが、事に巻き込まれるのを恐れて
黙っていた。
「多襄丸は手籠めにした後で妻に惚れ、俺の妻にと
頼むが断られ、金沢の縄を解く。亦、金沢は辱めを
受けた妻に自害をせまる、、。 真砂は笑い出し
自分勝手な男たちを戦わせ、殺し合いをさせる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/bd/8e746d6fca6af2fc41caf614788bedb7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/ab/8f0317c7196921324357db5c608eaf89.jpg)
必死の戦いの末、金沢は刺されて死ぬ、、、、。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/ae/c93d5972136614371d008152949b8dc9.jpg)
真砂は事の重大さ、恐ろしさにその場を逃げ出す。
三人の告白は、己の見栄のための虚言」である。
情けない真実に、旅法師は世を儚む、、、、。
その時、羅城門の門前の方から赤子の泣き声が、、
誰かが赤ん坊を捨てたようである。
下人は迷うことなく、赤子の着物を剥ぎ取り、赤子
を放置する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/f2/3b7de650e835fb931023efec9dda788c.jpg)
杣売りが咎めるが、下人は「遺体の現場から無くな
った金沢の太刀や短刀を盗ったのはお前だろうが、
お前に俺を非難する資格はない」と言い、その場を
出て行く、、、、、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/46/9a1b50b45fc6f699f0ffe47b8934b262.jpg)
旅法師が思はぬ成行きに絶望していると、杣売りが
近づき、赤ん坊に手を伸ばす、、旅法師が手を払い
のけると、「自分の子として育てます」と言い残し
杣売りは赤子を抱きかかえて、去って行った、、。
最後に、 人間の良心を見た旅法師は己の不明を
恥じて合掌する、、、、。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/2b/35e7122a8779ab585e651cf4ecc7d488.jpg)
今日の1句
青嵐吹き抜ける儘藪の中 ヤギ爺
映画 羅生門
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/ef/e9a9d3206ea9f39bfda9295917437239.jpg)
この映画は芥川龍之介の短編小説「羅生門」と
「藪の中」を基に、黒澤明と橋本忍が共同で執筆、
黒澤明が大映映画で監督した作品である。
作品は、国内、殊に大映では余り評価されぬ時、
この映画を見たイタリアの映画関係者が、絶賛し
ぜひにとベネチア国際映画祭へ出品し、最高賞の
金獅子賞を獲得した。
海外では、黒澤明監督の作品として高く評価され
数々の賞を得た。当初この映画を酷評した大映の
永田雅一はその後豹変し、さも自分の手柄の様に
振る舞う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/4e/43e1100212c21f82b79f7fcf80ed922f.jpg)
物語は、戦乱と天変地異により飢餓が続く平安
時代の或る日、藪の中で昼寝をしていた盗賊の
前を侍の夫婦が通った。その妻の美貌に目を付け
た盗賊が、侍を縛り上げてその目の前で妻を犯す。
後に侍を殺しその妻と逃亡した、、、。
この事件を巡り、検非違使の前に呼び出され、
盗賊、妻、巫女の霊媒に呼び出された侍が証言。
それぞれに食い違う証言、、、、
それを目にした杣売りと旅法師が雨宿りした折り
居合わせた下人に語り掛ける。
そこに赤ん坊の泣き声が聞こえ、、、、。
小説では、朽ち果てた羅城門で老婆が遺体の髪を
抜き取り髷にして売る。そこへ下人が老婆を襲い
衣服を剥ぎ取る。
この二つを組み合わせて映画化した黒澤明監督。
「生きるために仕方なく人を殺す、罪の連鎖と
自分の保身のために、夫々に偽証する、真相は
藪の中、、、、、」
今になって、この映画の言わんとする事が少し
判ったような気がする。現代の社会にそのまま
通用する様で、、黒澤明監督の先見の明か。
生きるため止むを得ず犯罪を繰り返す人、、
忖度、保身のために平気で偽証する政治家達。
全ては藪の中(闇の中)
映画「羅生門」: 1950年、大映京都撮影所
スタッフ
監督 : 黒澤 明
原作 : 芥川龍之介「羅生門」「藪の中」
脚本 : 黒澤 明、橋本 忍
撮影 : 宮川 一夫、 照明 : 岡本 健一
音楽 : 早坂 文雄、 録音 : 大谷 巌
美術 : 松山 崇、 記録 : 野上 照代
キャスト
多襄丸(盗賊) : 三船 敏郎
金沢武弘(侍) : 森 雅之
真砂(妻) : 京 マチ子
杣売り : 志村 僑
旅法師 : 千秋 実
下 人 : 上田吉二郎
巫女(霊媒師) : 本間 文子
放免(下司) : 加藤 大介
物 語
戦乱が続き、天変地異により疫病が広がり、政治も
退廃して飢饉にさらされる平安の初期の京都、、
荒れ果てた羅城門に男三人が雨宿りしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/ae/307ee68a9a4665f90ec9f43c07d6d040.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/10/3469ebc135623db638f8ea6e3e3d23a9.jpg)
杣売りと旅法師が或る事件」の参考人として出頭
した検非違使の帰り途である。
居合わせた下人に、取り調べの不思議な話を語る。
実は、杣売りは事件」の目撃者で事実を知っている
のだが、、、。
数日前、薪を取りに山に入った杣売りは、武士の
遺体を発見した。現場には、女の笠、踏みにじられ
た侍烏帽子等が、、、、
道中で侍夫婦に出会った旅法師も出廷し、証言した。
最初に、侍の金沢を殺した盗賊の多襄丸が証言する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/0c/a8578874a62bcc37b66170aa1ad37b35.jpg)
「山中で寝ていた所、侍夫婦に出会った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/cc/e57f0d029a3e0692101b5dfe96065ab0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/81/1214eba51cc1701bfae3191621198e7d.jpg)
妻女が美しかったので、侍を騙し縛り上げ、侍の眼前
で妻女を手籠めにした。 その後、妻女が勝った方の
妻になる、と言ったので侍の縄を解き正々堂々と
戦い、勝ったが、その間に妻女が逃げた」と証言。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/6a/892b1dd5b8cbafe3446bf968c3d7c836.jpg)
次に妻女の真砂は、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/ea/c87f0b8c6c15ea16d6574f0c779e5475.jpg)
「手籠めにされた後、多襄丸は夫(金沢)を殺さず
そのまま逃げた。夫を助けようとしたが、眼前で男に
身を任せた私(真砂)を蔑む眼差しで見据えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/73/052a6d920bd9804bc5f301294fdf2d53.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/16/e5b296ae1b297a4557d3f5f13256ac5c.jpg)
それに耐えられなくなり、夫に私を殺す様に願った
が、叶わず、その後気絶した。 目が覚めると夫は
短刀で刺され死んでいた。自分も死のうと思ったが
死ねなかった」と証言した。
その後、巫女が呼ばれ、霊媒により死んだ金沢を呼び
出し証言させる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/28/796e78180c9afa1d424315f261adcfc9.jpg)
金沢の霊は、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/cb/3249cef90bc8b74dd039adaec5cd4850.jpg)
「真砂は多襄丸に辱められた後、彼(多襄丸)に情を
移し、多襄丸に同行する代わりに自分の夫(私)を殺
す事を求めた。 それを聞いた多襄丸はあきれ果て、
「女を生かすも殺すもお前が決めろ」と私(「金沢)
に告げた。それを聞いた真砂は逃亡し、多襄丸も後で
姿を消した。一人残された自分(金沢)は無念の余り
妻の短刀で自害した」と証言。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/81/319e3630cb06c12ab4b32e9f405acde6.jpg)
この話を下人に話した杣売りは「三人とも嘘をついて
いる」と言った。 杣売りは実は事件を見て居り
事実を知っていたが、事に巻き込まれるのを恐れて
黙っていた。
「多襄丸は手籠めにした後で妻に惚れ、俺の妻にと
頼むが断られ、金沢の縄を解く。亦、金沢は辱めを
受けた妻に自害をせまる、、。 真砂は笑い出し
自分勝手な男たちを戦わせ、殺し合いをさせる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/bd/8e746d6fca6af2fc41caf614788bedb7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/ab/8f0317c7196921324357db5c608eaf89.jpg)
必死の戦いの末、金沢は刺されて死ぬ、、、、。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/ae/c93d5972136614371d008152949b8dc9.jpg)
真砂は事の重大さ、恐ろしさにその場を逃げ出す。
三人の告白は、己の見栄のための虚言」である。
情けない真実に、旅法師は世を儚む、、、、。
その時、羅城門の門前の方から赤子の泣き声が、、
誰かが赤ん坊を捨てたようである。
下人は迷うことなく、赤子の着物を剥ぎ取り、赤子
を放置する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/f2/3b7de650e835fb931023efec9dda788c.jpg)
杣売りが咎めるが、下人は「遺体の現場から無くな
った金沢の太刀や短刀を盗ったのはお前だろうが、
お前に俺を非難する資格はない」と言い、その場を
出て行く、、、、、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/46/9a1b50b45fc6f699f0ffe47b8934b262.jpg)
旅法師が思はぬ成行きに絶望していると、杣売りが
近づき、赤ん坊に手を伸ばす、、旅法師が手を払い
のけると、「自分の子として育てます」と言い残し
杣売りは赤子を抱きかかえて、去って行った、、。
最後に、 人間の良心を見た旅法師は己の不明を
恥じて合掌する、、、、。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/2b/35e7122a8779ab585e651cf4ecc7d488.jpg)
今日の1句
青嵐吹き抜ける儘藪の中 ヤギ爺