遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

鰯 雲

2021-09-30 16:26:50 | 日記

令和3年9月30日(木)

鰯 雲 : 鱗 雲、鯖 雲

秋によく見る鰯雲は、気象用語でいえば巻積雲のこと。

小さい雲片が小石のように並び集り、規則的に連なり、

さざ波のようで白く薄い。 

離れ離れのことも続いていることも在り、広がりの大きい

ものも小さいものも在る。

高空に出て鰯が群れるように見えるので鰯雲、鱗のように

鱗雲

見えるので鱗雲、亦、鯖の斑紋のように見える事から鯖雲。

鯖雲

 

この雲が出ると雨になり易く、鰯がよく獲れるともいわれ

漁師の間では、大漁の兆しであるとも言われているそうだ。

 

9月の「潮路句会例会」の兼題が「鰯雲」と当季雑詠で

在った。 (私は投句参加)

8月は緊急事態宣言下、盆休みとなり久々の句会、、、

今年は雨天、曇天が多く、中々青空が拝めず、、、それでも

時折の晴間、澄んだ秋空に鱗雲が、西方一杯に地平線の彼方

まで広がった。鬱陶しい世の中、久しぶりに気分佳く、、、

 

今日の1句

潮路句会9月例会より、

島かけて沖へ広ごる鰯雲      玲 子

 

補陀洛の水平線に雲の嶺      勝

 

山田守る父の背丸し鰯雲      美保子

 

振り向きもせで子の発ちし鰯雲   美智子

 

孫からの似顔絵届く敬老日     輝 子

 

桐一葉落ちて音なき大伽藍     魚 青

 

秋立つや川辺に波と風の音     政 子

 

海鳥の群るる岬の鰯雲       セツ子

 

地平線果つることなし鰯雲     ヤギ爺


萩の花

2021-09-29 16:42:51 | 日記

令和3年9月29日(水)

萩の花 

秋の七草の一つで、マメ科ハギ属の落葉低木、多年草

東アジア、北アメリカに分布するが、花が美しいのは東アジア

の種類に限られるという。

叢生して枝を分かち、総状花序に紅紫亦は白色の小花を付ける。

楚々として可憐で美しく、細い枝ごとしなやかに揺れる様や、

散り零れる様は昔から多くの人に愛されて来た。

殊に東北地方に多いとされる「宮城野萩」は、枝が地に垂れる

程長く、花弁も他の萩より大きく、その枝垂れて咲くさまは、

殊に優美である。

この花の開花時期は他の花より早いので夏花ともいわれる。

普通、仲秋頃から咲き次第に花が終りを告げる頃には自在に

伸びた枝を括るのを「括り萩」というが、それは美しさの中に

も傷ましさを感じる風情があると言われる。

 

古来より萩の花は日本人に愛され、秋の花として「萩」の字が

宛がわれ、秋の七草の一つとなって居る。

亦、萩の語源は、萩は古株から新芽を出すので「生え芽」とも

呼ばれたことに基ずくと言われる。

自生種の他に、木萩、丸葉萩、山萩、筑紫萩、蒔絵萩等が在る。

 

愛知県稲沢市に在る「圓光寺」は萩寺として有名で、見頃を迎え

いる。

名鉄線「国府宮駅」からバスで20分、矢合観音前で下車し徒歩

で約10分程で圓光寺に着く。

宮城野萩は終りを告げたが、参道の両側、境内、鐘楼周辺等に、

枝垂れ、紅紫色、白色の萩が咲き乱れている、、、、。

名古屋市内の、白鳥庭園、徳川園等の庭園も見頃を迎える、、。

 

今日の1句

枝垂れゐて離れかねたる萩の寺   ヤギ爺


添 水

2021-09-28 16:27:02 | 日記

令和3年9月28日(火)

添 水 : 鹿威し

田畑を鳥獣が荒らすのを防ぐ為に竹を用いて水の力で

音を立てる仕掛けを作り獣等を脅す道具。

竹筒の中央に支点を置き、竹の節の片方に水を受けて

溜まった水の重みで竹が傾ぎ、竹の中の水が吐かれて

勢いよく戻った拍子に受水の石を叩いて音を出す。

近年では、本来の目的の「鹿威し」というより、庭園

や料亭などの坪庭等に設えて情緒を楽しむ方が多い。

添水の仮名使いは、元々「曾富騰」(そほど)の語形

の変化である。(そほどは、案山子のこと)

熊本地方では「鬼鼓」ともいう。

この装置の有り様から、「ばったんこ」「ばった」、

「唐臼」等とも言われている。

 

普段、余り目にする(耳にする)事はないが、名古屋

の庭園の徳川園等へ吟行で出かけるとお目にかかる。

徳川園の添水、

 

以前、と在る料亭の座敷に通された折に静まり返った

一瞬に、鹿威しの音が響き渡り思わず庭に目が行った。

 

今日の1句

料亭の黙深まりて添水落つ   ヤギ爺

※黙 : もだ、黙っていること。沈黙。

 

 

 


社 日

2021-09-27 16:26:31 | 日記

令和3年9月27日(月)

社 日 : しゃにち、秋社

今日、9月27日は「社日」(しゃにち)である。

「社」は土地の神の意で春分、秋分に最も近い「戊」(つちのえ)

の日のこと。 一説には立春、立秋の後の第五の「戊の日」とも

言われている。(亦、旧暦の2月、8月の甲(きのえ)の日)

土の神を祀り、春は五穀豊穣を祈り、秋は収穫の御礼参りをする。

春の社日を「春社」、秋の社日を「秋社」という。

秋社には、初穂を土の神に供えて豊穣を祈願する。

土地の神様を信仰する日本の国土の重要な「農耕儀礼」として、

全国に広まった。

 

信州の「お社日様」は、春は神をお迎えし、秋には神送りとして

餅を搗いて奉納し祝う。

長野県の南部地域では「神送り」として、餅を搗いて祝う。

古来から伝わる神送りは「風邪の神、厄病神を追払う神事」とし

て伝わる風習のようだ。

 

福岡県の筥崎宮には、古来から「お潮井取り」と呼ばれる儀式が

あり、筥崎浜の眞砂を「てほ」という篭に入れて持ち帰り、玄関

先に下げて置く風習が在る。「災いを除き福を招くものとして、

身を清めるお祓いに用いられたり、建物や土地のお祓い、田畑の

虫除け等のために撒いてお清めをするもの」として用意する。

社日は、二十四節気の雑節として元は中国から伝わった風習。

私自身、「社日」を知らず、日本の風土に合わせた様々な行事、

儀式の多さに驚いています、、、、。

 

 

今日の1句

美味し国贅沢三昧豊の秋   ヤギ爺


唐辛子

2021-09-26 16:31:21 | 日記

令和3年9月26日(日)

唐辛子 : 鷹の爪

熱帯アメリカ原産のナス科の一年草、高さ30~100cm

葉腋に白色の合弁花を開く。

果実は初め緑色で後に紅熟しする。激しい辛味の在る香辛料

として知られている。

本来細長い卵形だが栽培変種が多く、様々な形がある。

長・短・細・太の形や赤・緑・黄橙色等と色も様々各種在る。

何れも名は違うがどれも花は清らかな白色の花が咲く。

野菜用のピーマン、パプリカ、シシ唐辛子などがある。

コロンブスがスペインに持ち帰り、100年余りの世に欧州、

東洋へと広まった。

日本へは、16世紀頃にポルトガル人が移入したという説と、

豊臣秀吉が朝鮮に出兵した際に齎したという説がある。

唐辛子の強烈な辛味は害虫を除き、邪気を祓うと昔から食用

や薬用として重宝されて来たようである。

辛口品種は香辛料や料理の付け合わせ、ソースの原料として、

甘口の品種はサラダや肉詰め、焼肉等の料理に使われる。

鷹の爪は、日本では代表的なトウガラシの品種の一つである。

実は小さく(5~6cm)先が尖ってやや曲がった紡錘形で、

その形が鷹の爪を連想させ、この名が付いた。

乾燥させた実を輪切りにしたり粉末にして香辛料にする。

唐辛子の辛味は種子の部分が非常に強く、種子を除いた果肉

には果肉成分のカプサイシンは殆ど含まれていない。

然し、鷹の爪は収穫後直ぐに乾燥させるので辛味が果肉に広

がり辛さが全体にある。

昔から米櫃に入れて置くと、防虫効果があると言われている。

 

「鷹の爪」(イモノキ)は、別の植物が存在する。

ウコギ科の落葉小低木で山地に自生。高さ5~6m

葉は三出複葉で、夏に黄緑色の小花を散形に咲かせる。

後に紫黒色の小さな果実をつける。

この木の冬芽が鷹の爪に似ているのでこの名が在る。

木材は軟らかく、箸、下駄、経木等に使われる。

 

今日の1句

唐辛子母の縁側ぶら下がり   ヤギ爺