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食欲不振:診断の進め方のポイント

2018-07-08 | 勉強会
 
みなさん、こんにちは。
 
 
前述の「偽性」の食欲不振を除外して、実際に食欲低下がある場合のアプローチについて考えてみましょう。  
 
 
 
まず、その食欲不振の時間的経過を聞き取り、「急性」と「慢性」を区別します。
 
 
「急性」は数時間~数日単位であり、「慢性」は数か月~数年単位です。
 
 
数週単位はボーダーラインとして、両方の可能性を考慮します。
 
 
 
「急性」の食欲低下ではまず、命にかかわるような重篤で緊急性の高い疾患をまず除外します。
 
 
下表にその代表的な原因を挙げました。
 
 
これは全て、見逃してはならないものですね。
 
 
表:急性の食欲低下の原因
(頻度と重篤度の高いもの)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
         感染症
 
敗血症
肺炎
尿路感染症
皮膚軟部組織感染症
肝胆道感染症
 
         急性冠症候群
 
急性心筋梗塞
不安定狭心症
 
         慢性臓器障害の急性増悪
 
慢性心不全の急性増悪
慢性腎不全の急性増悪
慢性呼吸不全の急性増悪
慢性肝不全の急性増悪
 
         体温異常
 
熱中症
低体温症
 
         中毒
 
薬物
毒物
 
         血糖異常
 
低血糖
高血糖(糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧症候群)
 
         中枢神経系疾患
 
脳血管障害
硬膜下・外血腫
 
         電解質異常
 
         脱水
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 
上記の疾患リストを眺めて、「確かにこのくらい重篤な病気であれば食欲も落ちるでしょうね」という印象を持ったかたも多いと思います。
 
 
 
問題は、高齢者や糖尿病などでは、他の症状が乏しくて「食欲低下のみ」を呈することがあるということですね。
 
 
 
 
写真   犬の昼寝

 

 

 

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