前回に続き「膠原病とその類縁疾患」について考えていきましょう。
リウマチ性多発筋痛症と巨細胞性動脈炎 体幹に近い部分の筋肉の痛みや手指の関節のこわばりが主な症状の慢性炎症性疾患。 主として40~80歳台に発症し、発症時の平均年齢は65歳程度。 男女比は1:2と女性に多い。 巨細胞性動脈炎を合併することがあるが、わが国では欧米に比べその合併頻度は低い。
RS3PE syndrome RS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema) syndrome はリウマチ因子陰性で再発性・対称性の滑膜炎で、手背足背の圧痕浮腫を伴う。 手背の腫張はボクシンググローブハンドとも呼ばれる。 高齢男性に発症することが多い。 高齢発症の血清反応陰性関節炎のなかで、末梢の圧痕浮腫を伴う場合は本疾患を考える必要がある。 多発関節炎の部位は中手指節関節、近位指節間関節、手首、肩が多い。 RS3PEはX線上骨破壊がない点で関節リウマチと異なる。 リウマチ性多発筋痛症とともにMRIで伸側の腱鞘炎がみられることから、RS3PEはリウマチ性多発筋痛症の類縁疾患とみられている。
血管炎 全身のさまざまなサイズの血管に炎症が起こる疾患の総称である。
大動脈やその主幹動脈 ●高安動脈炎:男女比は1:8で女性に多く、発症年齢は20~30歳台におおい。 ●巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎):前述、60~70歳台を中心に、50歳以上の高齢者に多発するが男女差はない。
中、小の筋型動脈 ●結節性多発動脈炎:発症年齢は40~60歳台。 欧米では男女比が3:1で男性に多いが、日本ではほとんど男女差がない。 ●Wegener肉芽腫症:稀である。 発症年齢は20~60歳台。 やや男性に多い。 ●Churg-Strauss症候群:30~60歳に好発し、男女比は4:6でやや女性におおい。 年間新規患者数は、約100例と報告されているが、医療機関を受診し治療を受けている患者数は、年間約1,800例と推定されている。 ●Burger病:圧倒的に男性が多く、発症年齢は20~40歳台を中心に青・壮年に多く発生。
細血管 ●Henoch-Schonlein紫斑病:主として小児に多くみられるが、成人や高齢例もあり。 ●顕微鏡的多発血管炎:60歳台以上の高齢者に多い。 PTU(プロピルチオウラシル)などの薬剤性は若年でもあり。
今回は以上です、次回は「膠原病以外の疾患」についてです、では。