燃えるフィジカルアセスメント

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全身倦怠感 2

2015-03-13 | 講演会

 前回からの続きです

 表のうち、糖尿病では、無痛性冠動脈虚血(silent myocardial ischemia)をきたすことが多いので注意する。

 システム・レビュー(review of systems)では、労作性の胸痛・胸部不快感を確認できることがある。また、胸痛はないが、「労作性の息切れ」を呈する患者もいる。右心室には副交感神経を刺激する受容体が多く分布しており、右冠動脈の病変による急性冠症候群では、副交感神経亢進症状(徐脈、下痢、悪心、腹痛)であるBezold-Jarisch反射をきたすことがある。消化器症状を呈することから「急性胃腸炎疑い」などと診断される場合もあり要注意である。

 診断にはまず、心電図をとることである。左主幹部病変による梗塞では、「aVrとaVlのST上昇」のみのことがあり、また後壁梗塞では「V1~V2の高いR波」のみのことがある。また、不安定狭心症では心電図異常を認めないことがあるので注意する。来院時では、血中トロポリンも上昇していないことがある。その際、運動負荷(ダブルマスターやトレッドミルなど)を安易にかけると、急性心筋梗塞や心室頻拍・心室細動を誘発することがある。病歴で急性冠症候群を疑った場合には、早めに循環器科に相談し、原則入院としたほうが安全である。

2 感染症

 急性の全身倦怠感をきたす感染症は多い。頻度としてはウイルスや細菌感染症が多いが、敗血症や敗血症性ショックの可能性に注意する。頻脈や頻呼吸などのSIRSの徴候に気をつける。体温は正常の場合もあり、正常体温値は感染症を否定する根拠にはならない。敗血症での低体温は重症で予後不良因子である。とくに高齢者の感染症の場合、全身倦怠感以外の症状に乏しい傾向がある。表3に施設入所高齢者に多い感染症をあげる。

表3 施説入所高齢者に頻度の多い感染症(頻度順)

1、気道感染(気管支炎、肺炎、膿胸、肺腫瘍、肺結核)

2、尿路感染症

3、胆道感染症(胆嚢炎、胆管炎)

4、軟部組織感染症(蜂窩織炎、丹毒、その他)

 今回は以上です、話変わって、今日の東京証券取引所の終値が15年ぶりに1万9千円台で取引を終えたそうです、株価だけが先行しているような、実態経済はどうなんでしょうか、まあ皆さんが平和に幸せに暮らせたらそれが一番ですね、では次回に。

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