Fever workup 2015 解答編です。
1. 医療関連感染症で頻度の少ないものは?
1. 尿路感染症(フォーリーカテ関連感染など)
2. 肺炎・下気道感染症
3. 手術部位感染症
4. 血流感染症(カテ感染など)
5. 肝胆道感染症
解答:5
カテ感染では、中心静脈ラインだけでなく、末梢静脈ライン感染にも注意。
その他、副鼻腔炎も多い(NGチューブや経鼻挿管チューブ留置中患者)。
感染病原体別では、CDIが多い。
2. Fever workupで「一般的・ルーチン」に推奨されていないのは?
1. 全身の診察
2. 血液培養(最低2セット)
3. 胸部単純X線写真
4. 腹部単純X線写真
5. 検尿(必要に応じて尿グラム染色、尿培養)
解答:4
腹単はルーチンではないが、腹部に症候がある場合にはもちろん適応。
3. 医療関連肺炎の症例定義に含まれているものは?
1. 30日以内に2日以上の急性期病院入院
2. 60日以内に2日以上の急性期病院入院
3. 90日以内に2日以上の急性期病院入院
4. 120日以内に2日以上の急性期病院入院
5. 365日以内に2日以上の急性期病院入院
解答:3
3か月以内の入院歴は耐性菌原因のリスク有。
4. CLABSI予防バンドル(Pronovost Bundle)に含まれていないものは?
1. 手技前の手洗い
2. スタンダードプレコーション
3. 穿刺部位消毒
4. 鼡径部挿入の回避
5. カテ留置の必要性について毎日議論
解答:2
マキシマムバリアプレコーションである。
5. 敗血症・菌血症の早期症候に含まれないものは?
1. 頻脈または呼吸数上昇
2. 平熱だが悪寒戦慄あり
3. 倦怠感・食欲低下
4. 全身外観が不良
5. 患者さんが「退院したい」と言ったとき
解答:5
「正常体温」でも否定できない。
6. 見つかりやすい感染部位は?
1. 尿路感染症
2. 血管内感染症(カテ関連以外)
3. 骨髄炎(脊椎炎・褥瘡・糖尿病足)
4. 深部膿瘍(肝・腸腰筋・骨盤内・硬膜外)
5. 前立腺炎
解答:1
一方で、尿路感染症と即決は危険。他の感染部位の可能性も常に考慮。無症候性細菌尿のことあり。
7. 医療関連感染症で問題とならない起炎菌のカテゴリーは?
1. グラム陽性球菌: MRSA, CNS, Enterococci
2. グラム陰性球菌: Moraxella catarrhalis
3. グラム陰性桿菌: SPACE(Serratia, Pseudomonas, Acinetobactor, Citrobactor, Enterobactor)
4. 嫌気性菌(腹腔内・深頸部・壊死性軟部組織感染)
5. カンジダ(長期抗菌薬, CV, FN, GI術後、免疫↓)
解答:2
Moraxella catarrhalisは市中肺炎・気管支炎の起炎菌(COPDなどの基礎疾患を有する患者に多い)
8. 発熱の原因となる非感染性疾患ではないのは?
1. DVT
2. 薬剤熱
3. 偽痛風
4. 肺塞栓
5. 体温計の故障
解答:5
1~4はつねに考慮。
9. Clostridium difficile感染症(CDI)で正しいのは?
1. 飛まつ感染する
2. 接触感染予防をおこなう
3. アルコール消毒で予防可能
4. 培養検査で検出されやすい
5. 重症例ではVCM静脈注射を考慮する
解答:2
接触感染。石鹸流水で手洗い。次亜塩素酸で環境を清拭。VCMは経口または経腸投与。