フィジカルの尤度比データは信頼できるのか
多くの臨床研究ではその方法論に問題があり(診察技術の低い人によるフィジカルの操作特性研究など)、LRをそのまま受け入れることができない。
心不全診断ための心臓の聴診でS3の有無による診断特性をみる研究が、聴診の不慣れな診察者のみで行われた場合、S3の診断特性の結果は悲劇的となる。
熟練した心臓専門医の耳では聴こえるS3を「捨てる」のはもったいないのだ。
臨床研究で扱う診察法の難易度が高いと一般の医師が実施困難なためにエビデンスが低い所見とされる。
音楽に例えると、ショパンの曲の演奏は難易度が高いとされているが、実際にショパンの曲を演奏できる音楽家は多数存在する(ショパンの法則:ジョセフ・サパイラ先生のpersonal communication)。
フィジカルはダイナミックな所見を呈するものも多く、発症からの時間経過、年齢、他疾患の影響などで所見が変化する。
一概にLRを決めることはできない。
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徳田安春 | |
株式会社尾島医学教育研究所 |
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