燃えるフィジカルアセスメント

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頻呼吸 連載 その1

2014-12-10 | 症例集

 今回から新シリーズ「バイタルサインから緊急性を読みとる」について考えていきましょう。

 症例 85歳女性   現病歴:脳梗塞症で施設入院中。 認知症なし。 前日より食欲低下あり、往診依頼となる。

 身体所見:診察中、視線合わせず。 血圧130/70、脈拍100回/分、呼吸30回/分、体温37,2度、SpO296%。 浅くて速い呼吸あり。 肺の診察ではクラックル認めず。

 画像検査:胸部単純X線写真ではとくに陰影を認めず。

 普段の体温35,2度であり、2度上昇(発熱)と判断。 肺炎疑いで治療開始となる。

 その翌日、血液培養で肺炎球菌Streptococcus pneumoniae 陽性と判明。

 翌日の胸部単純X線写真でも右下肺野に浸潤影を認めた。

 呼吸数の評価法    呼吸数の評価は胸郭運動の視診または呼吸音の聴診によって行う。 患者が意識的に頻呼吸や息こらえなどを行わないようにリラックスさせる。 胸部や腹部の聴診などの際に、胸郭の運動を観察し呼吸数をカウントしてもよい。 呼吸が浅くて胸郭の動きが評価しにくい場合には、紙片を鼻孔に当てるなどによって測定できる。 30秒間カウントして2倍としてもよいが、呼吸のリズムに異常があるときには60秒の測定が望ましい。 呼吸数は1分間の呼吸回数で表される。 健康成人の安静時呼吸数は、12~20回/分である。 一般に、乳幼児や高齢者では、安静時の呼吸数が多くなる。

 頻呼吸の主な原因    頻呼吸(tachypnea)は呼吸数21回/分以上で定義される。 ほとんどの場合で呼吸は浅くなる。 例外には、Kussmaul呼吸と過換気症候群がある。 頻呼吸の原因をあげると ・呼吸器疾患 ・心不全 ・神経筋疾患 ・代謝性アシドーシス(Kussmaul呼吸:規則的な深い頻呼吸) ・緊張、興奮、痛み刺激 ・敗血症 ・代謝性脳症(肝性脳症など) ・薬物(アスピリンなど) ・高地 などがある。

 今回は以上です、続きは次回に。

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