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2019年 8月22日開催 『 整備・セッティング セミナー 』リポート

2019-08-23 22:44:28 | 基本講座・車両セッティング

参加した人の質問や疑問に合わせて、分かりやすく少しずつ進めるのが 『 整備・セッティング セミナー 』 の特徴です。

今回のセミナーのテーマは、「 リアの車高調整と前後車高バランス 」 という、タイヤのエア調整の次に行なうべきセッティングについて、講習と意見交換を交えながらの勉強会となりました。  

<下の画像は、セミナー開始約1時間後のボードです >




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【 詳細な勉強内容 】
・・ セミナーでは、参加した人全員が一緒に理解できる様に、分かりやすく詳しい解説・説明を行ないます
・・・今回のセミナー参加の人は 理解・習熟度が高く、それに合わせた勉強内容になった事をご了解ください

 

18時に始まったセミナーの内容は、先ずリア の サスペンションの 「プリロード調整」をする事でリアの車高がほぼ決まる事を説明し、社外製のサスペンションユニットなどに装備された車高調整機構があれば更に精緻に調整が可能になる事を解説。
そして、これらの調整を行なうと、乗車時(1G’ 時)の リアの車高(スイングアームの垂れ角)は、合わせたライダーの体重に関係無く一定になる事を、図に描いてじっくりと解説して、理解と納得が得られました。
  
続いて、フロント車高の話に移りました。ここで言う フロントの車高とは、ハンドル(ステアリング)の回転軸を保持している、ステムヘッド部の路面からの高さとしました。
このフロントの車高が、調整によって決まるリアの車高に対して、ある一定の値になった時にオートバイの操縦性のバランスが取れる事を解説しました。
  
( この前後バランスについては、一般的に認識が薄いので、じっくりと時間を掛け、繰り返し解説 )
  
前後バランスのチェック方法は、10㎞/h 前後の速度で走り、一定のポイントで 右または左にバンクさせてターンをさせて確認する事を説明。
更に詳しく説明を加えて、チェックする点は 直立状態から 5~10度 バンクさせた時のフロントタイヤの挙動で、バンクの際には アクセルやブレーキを一切使わない事を説明。

そして、リアの車高に対してフロントの車高がバランスしている時には、前後のタイヤがほぼ同時にバンク側への反応を始めると説明。
リアの車高に対してフロントの車高が高い場合には、フロントタイヤのバンク側へ切れ込む動きが早く始まる事、逆に低い場合には リアの挙動に遅れて フロントタイヤはバンク側へ遅れて切れ込む動きになる事を説明。
 
( この挙動の感覚は、多くのライダーは自然に感じている事なので、その記憶や感覚を呼び戻してもらったり、車種によってフロント車高が高目のもの、低目のものも補足説明 )
 
ライダーの体重に合わせて、フロントの車高を調整するのは 「フロントフォークの突出し量」の変更で行なう事が大切と説明。
そして、このチェックと調整を繰り返す事で、バンク時に前後のタイヤがほぼ同時にバンク側への挙動を始める調整値が求められる事を説明し、フロントサスペンションが 正立式フロントフォークの場合には、乗車時(1G’ 時)のボトムブラケット上部からアンダーヨーク(ボトムブラケット)下端までの インナーチューブ長さを 「フロント車高」として扱う事を説明。
また、フロントサスペンションが倒立式フォークの場合は、インナーチューブの露出長さから上ヨーク(アッパーブラケット)上部からのフォーク突出し量を差し引いた値を「フロント車高」として扱う事を説明。  
 
続いて、最初に決まる リア車高に合わせて、バランスしてナチュラルな操縦性が得られる フロント車高(共に 乗車時)を調整で得られた、オートバイにとって自然で高い能力を発揮しやすい状態について補足の説明をしました。
前後の車高バランスが取れている場合、リアの車高はライダーの体重に関係無くスイングアームの垂れ角は一定の値になり、「フロントの車高」も ライダーの体重に関係なく一定の値になる事を説明。

( これについては、誰も思ってない様な事だったので、一度解説しても納得までいかないので、図を描きつつ、繰り返し解説 )

ここで、まとめると、ライダーの体重に関係なく、同じ車種の車両であれば、理想的な リアの車高(たれ角)とフロントの車高 の数値は一定の値になる事。
従って、車種毎に正しく求められた 前後バランスが取れる「フロント車高」の値は、同じ車種であれば、ライダーの体重が異なっていても、そのまま採用する事が出来て、前後バランス(1G’ 時)もほぼ取れると追加説明。

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テーマに沿って、参加した人の理解度や疑問・質問に合わせてしっかりと解説と勉強を行なうのがセミナーだから、時々 テーマから外れて、関連する項目の整備やセッティングの勉強へと進みます。
 
今回のセミナーでは、「 フロントサスペンション のプリロード調整 」と「 フロント スプリングによる操縦特性の違い 」についても詳しく 図解と実際の計算を交えながら進みました。
先ず、「 フロントサスペンション の プリロード 」については、フロント サスペンション に与えるプリロート(初期荷重)は、スプリングに実際に掛かっている 荷重 で管理する事が大切と解説。
スプリング組み込み時に掛かっている荷重の計算は、[ スプリングレート Kgf/mm ]×[ 組み込み時に縮めた長さ mm ]で求め、一般的に 8 ~ 9 Kgf の値が最も適している事を説明し、スプリングレート の求め方、縮めた長さの求め方 を 図解入りで詳しく説明しました。
  
それに補足して、フロントスプリング を交換する際には、交換前と交換後の 「プリロード量(荷重)Kgf 」を同じ値にする事がとても大切で、それによって スプリング変更前後の違いをより正しく比較する事が可能になると説明。
また、フロントサスペンションのプリロード調整は、8~9 Kgf に合わせるに留め、セッティングの進め方としては 最後の最後に調整するに留めるのが最短の道とも説明。

「 フロントスプリング による操縦特性の違い 」については、具体的に 3種類のスプリング候補を 講師の VTR250 の装着した場合を想定して進めました。
(講師・VTR250では 、乗車時(1G' 時)の 最適フロント車高は求められていて、装着している 非純正スプリングの スプリングレートや レート変換点 なども計算済み )

例えば、現行の講師・VTR250 の場合、乗車時(1G' 時)のスプリングレートは 0.58 Kgf/mm で、ターン時にフォークが縮む時、1G’ 車高から わずか 1.8 mm 縮んだ所で スプリングレートが 1.01 Kgf/mm へと変換する事を計算で確認。
その後、1994年型・ホンダNSR用 スプリング 「 51401-KV3-671 」と 同じく 「 51401-KV3-951 」を装着して、1G’ 車高を 基準値に合わせた場合の特性の違いを計算で求めてみました。
その結果、1G' 時車高から 約10 mm 縮んだ所で 0.63 Kgf/mm から 0.83 Kgf/mm へと変換するスプリングと、同じく 1G’ 時車高から 約 17mm 縮んでようやく 0.67 Kgf/mm から 0.85 Kgf/mm へと変換するという予測結果が出て、ターン時の挙動特性に大きな違いが出る事を説明。



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■ という具合に、解説・説明した すべての内容は、仮に正しく理解・納得できなかったとしても、【 計算によってセッティング は行なえる 】 という事と、【 セッティングには基準値が大切 】 という事は ほぼ納得してもらえたのでは? と考えています。

■ これを読んだ人にとっては、図解も無く、経験も少ないとすれば、理解すら難しい事と思いますので、『 オートバイの基本講座 』 などで 改めて解説もする予定です。

■ 一番、確実に理解を進めたい方は、ぜひ、『 整備・セッティング  セミナー 』 か  『 ライディング・セッティング  クリニック 』 への参加をお勧めします。 どんな方にも 分かりやすく解説します。( 事務局宛に、質問や疑問 を送信してもらえれば、解説・返信に努めます )  
 
■ 次回開催時には、スポット中継・動画配信を行なう企画を進めていますので、開催の際にはご期待ください。


『 整備・セッティング  セミナー 』
http://gra-npo.org/schedule/M%20&%20S_seminar/seminar_top.html

  
『 ライディング・セッティング  クリニック 』

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