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ニンジャ 1000 『 クリニック 』 参加感想文 ( 11月3日 )

2019-11-05 22:39:24 | イベント参加感想文&お便り

  
バイクサスセッティングなど乗り方に悩みが生じ、ネット検索でGRAのホームページをから「ライディング・セッティングクリニック」イベントに参加させて頂きました。
  
最初は8の字、Uターン、円周回などバイクに慣れる所から始めました。正直、実際にこのような基本動作を連続でするのは初めてで広い会場で体験できたのは非常に有意義でした。
 
その後、サスセッティングの悩みを伝えた所、直線フルブレーキでバイクの挙動、走りを見てもらい、その後、小林さん(先生と言ったら駄目だそうです)に乗って頂きセッティングを開始しました。調整は適切なアドバイスの下、全て自己責任で行いました。これにより基本的な調整が整い、ここから自分の合ったセッティングを進める事が出来ると感じました。
  
途中、自分のミスによる転倒アクシデントもありましたが、生暖かい励ましの言葉で乗り切れました(笑) 更なる転倒を心配し自分のバイクを使用するよう勧めて頂いたのは感謝の言葉しかありません。小林さんは見た目の「妖怪」印象とは違い、気さくな接し方で冗談交えながらわかりやすい説明をして頂き、同じ日に受けたHさん、Mさんも助けられながら良い日が送れたと思います。
  
バイクと私の傷が癒えたら(笑)、次回も参加したいと考えています。この度は色々ありがとうございました。これからもこの会を続くよう願っています。

 
ニンジャ1000 K ( 仮称 )

 

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【 以下、担当講師より 】

こんにちは  K さん
 
先日の、『 ライディング・セッティング  クリニック 』への 来場・受診 ありがとうございました。
  
K さんにとっては 初めての会場で、初めての 診察・講習内容でしたから、色々と面食らう事も多く、また 気疲れや体力も駆使された面も多くあったと思います。
が、それにも増して驚かされた事は、他の 来場者の方々に負けない バイタリティー と 積極性、そして 決断の早さです。
   
お蔭様で、クリニックを通して伝えて行きたいと考えている事を、遠慮無く、躊躇せず、真正面から伝える姿勢を保てましたので、この場を借りて、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。

   
また、それと同様に、実直で明朗な要請や提案、そして暖かいお心遣いによって、愛車・Ninja 1000 の 試乗チェック の一部を任せて下さるなど、多くの勉強をさせて戴く事にも感謝を申し上げます。
   
今回の クリニックで頂戴した知識や体験は、Webサイト等を通じての発信など、今後の GRA活動の糧の一つとさせて戴きます。
どうぞ、これからも オートバイとの良い関係を構築して、良きオートバイライフをお過ごし下さい。
  

< 追伸 >
来診・受付の際、「 前後サスペンション セッティング 」を要請して下さったにも関わらず、全てのご希望に応えられていない事を改めてお詫びします。
というのも、一定レベルの サスペンション セッティング を行なうのは容易ですが、受診 された方が理解と実施できるレベルに合わせて進めていくのが最善の方法だと考えているからです。
   
今回は、先ず、何もしない状態から 一歩、「 どこに、どんな調整箇所があって、どう触るのか、どう変化するのか 」を 理解して覚える 第一日目 になっています。
それは、間違いなく、最適なエリア で 適確な調整や理解 を 行なえた一日だったと言えますし、Ninja 1000 のライダー に限らず、殆どの ライダーにとって 得られていない体験だった事を保障します。


 
< 追伸 2 >
現状では、前後サスペンションは、肝心なリア の プリロード 調整を、Kさんの体重に合わせて 40クリック締めにした調整以外、調整可能な範囲で最弱にしてありますが、メーカーの想定範囲の調整範囲ですから、最弱であっても 直接に安全性などを脅かす恐れ、構造的な負荷を増やす心配、そして 使用し続ける事での早期摩耗などの恐れは無い事を伝えます。
   
ただ、最後の試乗チェックの後にお伝えした通り、来場された当初よりは ずっと 言う事を聞いてくれ、頑固さが無くなった設定ですが、フロントの 伸び側ダンパー ( フォークトップ、マイナスドライバーで調整する箇所 )は、現状よりは 1回転 か 1回転半、右へ回してあげた方が、より良い会話ができると思います。
   
それ以外の場所についても、公道でのサスペンションチェックは 危険でお勧めできませんが、可能な範囲で、一カ所ずつ、少しずつ 会話を繰り返してあげる事をお勧めします。
何と言っても、来場された当初のセッティングは、全て記録されていらっしゃいますし、必要であれば、元通り( 新車時 )のセッティングに戻すお手伝いも可能です。

 
 
< 追伸 3 >
他に頂戴した 「 乗車姿勢の正しい位置 」と 「 アクセルグリップの正しい持ち方 」については応えられませんでしたが、次回、来場された際、よろしくお願いします。
その代わりと言っては変ですが、セッティングの基本をお伝えする際に申し上げた 「 硬い とか 柔らかい は誤解を招き、正しい判断や調整を妨げる 」という事柄については、近々、公式Webサイト の “ オートバイの基本講座 ” の コラムで取り上げるべく、資料や画像の手配を進めておりますので、是非、ご期待下さい。

  
  
                                     クリニック 担当講師(先生ではなく)     小林 裕之

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【 当日の 全ての記録は 】

http://gra-npo.org/document/record/2019/20191103.html





Ninja 250R 『 クリニック 』 参加感想文

2019-11-05 22:27:01 | イベント参加感想文&お便り

   
小林様へ

 M(仮称)( ニンジャ250R )です。

昨日も参加させて頂きありがとうございました。


【今回の課題】

 ・8の字。

   右回りと左回りで上半身の動きが異なる感覚があったので
   どこが違うのか試行錯誤していました。

【その結果 】

 1.小林さんから指摘のあった、そもそもバイクの動きが左右で異なる状態で
   正しい姿勢を探求するのには無理がある。

 2.安定した正円の体勢ができていないと余計に分からなくなる。

ということになりました。


【練習メニュー】

 安定した正円軌道走行の練習をする。
 

【練習結果】
 
 1.目が回って、自分の姿勢まで気が回らなかった。

 2.視点移動が安定しないと、安定した姿勢を保てない事を体感した。

以上、今回の課題と結果でした。
 

【感 想】
 前回参加させて頂き、もっと練習したいと思い南港や北港などで適当な空き地が
    無いかさがしましたが発見できず
 今回の参加となりました。

 のため、また振り出しに戻った感覚でしたが、何となく感覚は戻ってきた感じ
   でした。

 あと、今回はセッティングの時間が多くあり勉強になりました。

 ただ、自分のバイクの変化に気付けないのは、まだまだバイクに慣れる必要性を
    感じました。

 とりあえず、エアゲージはamazonで購入しましたので、今後も必要工具は
    揃えていきたいと思います。

 次回も宜しくお願いします。

 

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【 以下、担当講師より 】

こんにちは   M さん


GRAの 小林 です。
昨日(11/3)は 大変にお世話になりましたし、色々と体験と勉強をさせて貰える機会を作って下さり、ありがとうございました。
  
また、Mさんも、整備に練習にと、お疲れさまでした。
前回以上に、オートバイとの会話量が増えて、お互いの理解も増して、とても羨ましく見えました。
  
そして、早速に 「 感想文 」リポート を 送って下さり、ありがとうございます。
内容は、多くの人の生きた参考になると思いますし、近日中に 公式Webサイトなどに掲載させて貰いますので、是非、お待ちください。
  

     *****

  
昨日 簡単な試乗で指摘させてもらった事ですが、いつもながら、私の簡単過ぎるコメントだったと反省しています。 申し訳ありません。
   
コメントの内容に誤りは無いと、その時の車両の動きや感触を思い出しながら、確信はしていますが、こうして 時間を置いてみると、追加で別の提案ができたと感じているのです。

それは、フロントフォーク周りの “ コリほぐし ” です。

これは、どんな車両でも発生している事ですが、人間の身体と同様に、毎日毎日を 過ごしている内に、“ コリ ” が溜まった状態になります。
オートバイの場合も、車体各部に “ コリ ” は 溜まり続けていて、特に、人が直接 “ 手 ” で触れている フロント( ハンドル )周りの “ コリ ” や “ ゆがみ ” は、 神経感覚が敏感な “ 手 ”(脳の中で 手の感覚エリアが広い )ですから、とても 大きく影響を受けてしまいます。

そこで、 “ コリほぐし ” の 提案となっています。
  
コリほぐし と言っても、様々なレベルがありますが、現場 で 出来る事と言えば、フロントフォーク各部を 締め付けている ボルト を、一旦、少しだけ緩めた状態にして ( 人間で言えば、身体を充分に温めた様な状態 )、それから 車体を静かに 直立させて、ゆっくりとフロントフォークを伸縮させて ( 人間で言えば鉄棒にゆっくりとぶら下がり、腰を左右にゆっくりと同じ量だけ回転させる様な )その後で、直立させたまま、緩めていた ボルト を正規の締付けトルク で ゆっくりと 締め付ける事を提案します。

もちろん、一人で行なうのは 少し難しい事もありますし、トルクレンチ の 準備も必要ですが、関心をもって貰えるなら、いつでも 対処が可能な作業です。
    
現場レベルで、この “ コリほぐし ” を行なったとしても、その 効果 がどれ程体感できるかは、人間の場合と同様に、お約束はできませんが、“ コリほぐし ” や “ 整体 ” は オートバイ にとっては (人間も、ですが)とても 大切な事で、実際、整備の作業の 半分 は その為に行なっていると言って過言ではないと私は考えています。
   
どうぞ、次の機会、もし 関心や時間がおありであれば、また 要望として出してください。 お待ちしています。

 


                                                                      クリニック 担当講師    小林 裕之

 
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 【 当日の 全ての記録は 】

http://gra-npo.org/document/record/2019/20191103.html

 

 


クリニック日誌 ・ 11月 3日

2019-11-05 22:10:45 | イベント開催終了後発...

2019年 11月 3日、『 ライディング・セッティング  クリニック 』を開催し、そこで感じ、考えた事をここに書き留めます。
  
 

『 最初は、ぼやきから 』

日本は世界を代表するオートバイメーカーが 4社も存在しているが、それ相応に豊かなモータリゼーション、オートバイ環境が整えられているとは言えない。
特に、メーカーの販売至上主義によるイメージ戦略に冒されたメディアや販売店の対応に毒され続け、ライダーのオートバイの移動機械としての本質的な理解が育っていない事は大きな懸念として存在する。

 
 
 
『 公正な評価機関が必要 』

長年、この現場で、様々な車両を、実際に試乗を交えて診続けているが、“ 危ない車両 ” は数多く存在している。
“ 危ない車両 ” と言っても、単に、整備不良や構造部品が破損したままの車両も存在しているが、一番の問題は新車状態から オートバイとしてのバランスが崩れていたり、部品の組み付け方法が妥当でなかったり、本来あるべき整備がなされていない “車両” が数多く存在し、その殆どが一般公道を走っている事が問題だ。
  
そんな車両のまま、ライディング技術を磨く講習を受けたり、安全運転指導を受けても、決してあるべき技術を磨けず、安全とはならない。
   
本来なら、販売至上主義に冒されていない、メーカーや産業界の圧力が及ばない、個々のオートバイをチェックする公正な機関 があるべきだろう。
戦後、暮らしの手帖社が、家電製品を自費購入して、メーカーを問わず公正に試験し、その結果を雑誌に掲載して、家電製品の品質向上や生活者への啓発に繋げていったのが良き先例の一つだ。
   
いや、家電製品以上に人々の生死に関わるオートバイだからこそ、産業界や政府から独立した、公正な検査機関や組織が必要とされると改めて思わされる。
メーカーの圧力に押され、メーカーの広報データやアピールポイントを鵜呑みのまま、新車の不都合な事実は決して書かないメディアばかりで、メディアに奉られた “ 名車 ” の存在ばかりが目立つ環境では、販売側だけが利益を得て、ライダーは不利益を被っていると言っても過言ではない。
そういう意味で、ライダー(消費者)にとって、公正で有益な情報を提供する組織や仕組みは必要だと思うし、現代のIT環境では不可能ではないと考えている。




『 フロントヘビーだから、重いハンドリング? 』

当日の会話の中で、「 この車両はフロントヘビーだから、ハンドリングが重い 」という言葉があった。
これは、物理的な事象と力学的なバランスとをゴチャ混ぜにした、三流評論家がよく書いている解説で見かけるフレーズとそっくりだ。
   
確かに、前輪に掛かっている荷重が大きな車両は存在しているが、問題にすべきは その荷重の大きさではなく、前後の荷重割合になる。 単に、リアの荷重が大きくても、リアサスペンション等の設計次第で 重いハンドリングになるからだ。
恐らく、それら評論家や俄か評論家が指摘しているのは、少しバンクさせただけでハンドルが強く切れ込もうとする現象だと思われる。実際、その様なハンドリング・操縦性をみせる車両は存在しているし、体験した事もある。
   
が、それは、前輪に掛かる荷重が最大の要因ではなく、そういう設計やセッティングになっている事の方が一番の要因だ。 つまり、前輪荷重が大きくても、設定次第、セッティング次第で 軽快な操縦性にする事が可能だ。
だから、その車両の前後荷重分布データを示さず、その分布データと同じ他車の実例も示さず、まして 試乗時の前後のタイヤのエア圧さえ開示せず、メーカーパンフレットや外観の印象だけで “原稿料” を得ている人の解説を鵜呑みにしてはいけない。
   
私の印象では、ヨーロッパ向け、超高速でのロングツーリングの用途を第一に考慮された車両は、多少の外乱を受けても、直進安定性を失わないように、前輪が向いている方向へと進ませる設定にしてあり、それが街中交差点などで重いハンドリングとなっている例は少なくないと実感している。
が、これも、当然、設定の結果なので、修正は可能だと考えている。




『 硬い? 柔らかい? 』

オートバイは、どんな場合であっても、ライダーにとって扱いやすい状態に保たれているべきで、それが安全で快適なオートバイライフの実現に繋がる。
そんな状態に保つ為には、適切な整備と適確なセッティングが必要だ。 しかし、その整備とセッティングの理解が不足しているのが大きな問題だ。
  
例えば、サスペンションのセッティングについて、ライダーからの 問題提起 の際には「 硬い 」とか 「 柔らかい 」というインフォメーションしかない。 が、それだけでは セッティングを進められないという事実を理解してもらう事さえ難しいのだ。
何故なら、雑誌やネットなどの記事でさえ、「 硬い時にはこうして ・・・ 」などと、対処は簡単な事の様に書かれていて、それも 名の知れた 二輪専門のライターや評論家が書いている状況だから仕方ないというか、深刻だ。
    
「 硬い 」という症状は、スプリングへの初期荷重(プリロード)の調整で “ 硬く感じる ” 場合や、ダンパーの縮み側設定を ハード側にして “ 硬く感じる ” 場合、サスペンションの組立部のストレスが溜まったままで “ 硬く感じる ” 場合、そして 潤滑の整備がされていなくて “ 硬く感じる ” 場合、更には 構成部品が破損していて “ 硬く感じる ” 場合がある事を無視しては困る。
   
更に言えば、「 硬い 」「 柔らか 」の表現は、本来は スプリングのレート( ばね常数 )の違いによって使い分けるべき言葉だから、説明は簡単ではないし、正しい理解は更に難しい。でも、その理解が正しいセッティングには必要だ。
だから、サスペンションに関するセッティングの理解について、新コラム『 硬い? 柔らかい? 』(仮称)で解説を試みる予定なので、興味のある人は是非、期待していて欲しい。
   

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