『 重症者数 1,020 人 』
一週間毎の感染者数や治療者数の変動のグラフが示す通り、3月下旬からの感染者数の増加度を示す青色線のグラフは留まる事を知らず上がり続けています。同時に、赤色線で示した治療者数の増加度も右肩上がりに伸び続けています。
これらのグラフを一見すると、1月中旬にも迎えた感染ピークより若干レベルが低い様に見えるが、実際には “ 変異株 ” の影響の為か、重症者数の割合が高くなっている。これは、現在の医療現場状況から見ても明らかです。
4月30日現在、全国で重症者として報告されている方の人数は 1,020 人で、1月22日の 1,009 人を超えている。しかも、1月22日 時点での治療者患者数は 65,152 人と較べて、4月30日現在での治療者数は 57,119 と 8,000 以上少ないにも関わらずです。
重症、しかも感染症となれば、当然、より多くの 医療従事者の方が必要になるし、専用の病床が確保されていないと 治療さえ出来ない事は誰もが知っている事だし、これから、このまま感染力が高くて重症化率の高い “ 変異株 ” による感染者が増え続けた場合、どうなるか誰でも想像できるだろう。しかし、国・行政トップは想像していない様にも見えます。
『 最悪想定しない行政 』
現在の日本での新型コロナウイルスによる【 感染密度 】(人口あたりの新規感染者割合)は、昨年のイタリヤや米国、現在の フランスやドイツよりずっと少なく、世界的に見れば 感染が深刻な状況になっている国ではありません。
【 感染密度 】が深刻なレベルに陥っていないからこそ、例えば 今の日本の 10倍近い 【 感染密度 】を記録し続けた 米・NY市 の状況を参考にして、“ 最悪 ” を事前に想定した準備は可能だった筈。 一年近く前の事で、日頃から情報交流が可能な米国の事案であれば、日本も同じ状況になった事を想定して、その状況でも国民の命をより多く救う為の対策を進める責任を負っているのが国家行政であり、行政担当者である事は間違いありません。
しかし、入荷までに充分な時間があったワクチンでも、接種に必要な期間を事前想定せず、世界主要国の中で最低レベルの接種率に留まっています。その上、接種開始してから 2ヶ月経ってから、緊急対処策として「大規模接種」構想を進めて、開設されるのは 5月下旬と遅く、接種想定数さえ不明のままになっていて、明らかに “ 泥縄 ” の後手対応です。
米国では、バイデン新大統領の1月就任後 100日で、事前に公約していた 倍以上の 2億回を超える接種を実現させています。同じ政治システムではないとは云え、国民皆保険制度で米国以上に充実している事を知っている者にとっては、「本当は守られない国民の命」と思ってしまっても不思議はないでしょう。
事前に最悪想定をしない事は、昨年のパンデミック宣言以降に始まった事ではありません。自治体を通じて国が認定した防災センター内に避難していながら、多くの方々が津波に飲まれて命を無くした例を挙げるまでもなく、最悪を想定せずに、目先の対応に留まり、国民の命と生活を守る気概に欠けていると言えるでしょう。
『 人々に求められる事前想定 』
医療従事者の方でも、2回の ワクチン接種率が 50% に達していない状況と、高齢者の接種さえ 8月にならないと完了しない見込みを知っている多くの人が、「 来年にならないと接種できない 」と考えても仕方ないでしょう。
更に、インドで話題になっている “ ダブル変異型ウイルス ” の様に、ウイルスは次々と変異を繰り返すものなので、インドからの来日者を制限していても日本国内で新たな “ 変異株 ” が発生する事は充分に想定できます。
そして、その “ 変異株 ” に対して、現行のワクチンがどこまで効果を発揮できるかは断定できず、インフルエンザの様に、変異型に合わせてワクチン開発と接種を進める必要がある事も想定しておく必要があります。
人々の命を守る責任を負う者にはその責任を追及しつつ、人々は最悪の想定を事前に想定しつつ、単に怖れて萎縮に陥らず、人間らしい生活を取り戻す努力が各々に求められていると思われます。
出典 : 厚生労働省
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