今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

着物の日

2005-11-15 | 記念日
今日(11月15日)は「着物の日」
全日本きもの振興会が、1966(昭和41)年の設立の時に制定。七五三の日に、家族そろって着物で出かけてほしいとの願いから。
江戸の武家の間でには、3歳の髪置、5歳男児の袴着の習俗があり、これに7歳女児の帯解が加わり、正月または11月15日に子供の祝いをした。これらが、江戸の庶民に広まったのは江戸中期以降のこと。現在にこの形が受け継がれ、七五三の祝いとなったのは明治以降である。
今は、女児は3才と7才・男児は3才と5才で祝う。男女を問わず3歳に三つ身の着物を着せる祝いや髪置といっておかっぱを結髪ににしたり、7歳につけ紐のつかない大人同様の着物着せる祝いがある。これらの祝いは、子供の成長を着物の変化によってあらわしているといえる。昔は子供の死亡率が非常に高かったことから七五三詣でが始まった。
七五三のお祝いには、子供たちは着物に身を包んで神社にお詣りをし、両親は子供たちが健やかに成長しているという感謝の気持ちを神様に伝える。
そして、20才になると、大人の仲間入りを意味する成人式がある。このとき女性は袖の長い振り袖、男性は紋付の羽織袴(はおりばかま)を身につけて神社にお詣りする。
このときに女性が着る振り袖は、その長い袖が大きな特徴。かつての日本人女性は、その長く垂れ下がった袖を振るという、”袖振る”しぐさをすることにより、男性への愛の告白を表現したという。振り袖は未婚女性だけが着る着物である。結婚後は、振り袖の袖を短くした留袖(とめそで)を着る。
着物は「日本人の民族衣装」である。しかし現在では、日常生活の中で着物を着ることは少なくなり、一般的に着物は晴着(はれぎ)という意識になり、結婚式やお茶やお花の席などの改まった時、また夏のお祭りや七夕などの機会にしか切ることはなくなっており、多くの女性は一生のうちに何回着物を着ているだろうか・・・?
結婚では、結納金である小袖料に対しては、「袴料(はかまりょう)」(結納返し)と言っていたように、昔は着物は女性の大切な嫁入り道具でもあった。我が家人も、多くの着物を持参してきた。これらの着物は、お披露目会で披露される。
しかし、折角、持参してきた着物のうち、実際に着たものはどのくらいあるだろうか?古い世代の親に育てられ、自分自身も着物が好きな家人は、結婚当初こそ普段でも着物をよく着ていた。しかし、その当時でも、世間では、もう、普段着物を着ている人は少なかったので、次第に着なくなった。この頃は、正月でも着ることはない。数えたことはないが、全く着ないままのものが相当あるだろう。もったいないことだ。私も、着物は好きで、結婚当時は、正月など着物を着ていたが、家人が着なくなってからは、私も着なくなった。
子供の七五三詣で、若者の成人式や正月の衣装を見ても着物姿がめっきりと減った。
「きもの離れ」などと言われて久しい。呉服業界なども、その原因が時代の変化により人々の考え方や、ライフスタイルが変わったから仕方がないなどと諦めているように思われる。
確かに、生活の洋風化やあわただしい生活の中で、手間がかかるきものうを着るゆとりがなくなったとか、着た後手入れが大変だとか、高価だからとか・・・きものを着ない理由を挙げたらきりがないかもしれない。
しかし、私が、一番感じるられることは、そのような理由よりも、戦後、日本人が日本の伝統や文化を大切にせず、何でもかでも欧米化に走ったからではないだろうかと感じている。
日本独自の文化をもっていた日本も、明治時代になり、外国の文化の影響を強く受けるようになった。そして、西洋化を進める政府は、官僚や軍人などに対して「正式の場では洋服を着用せよ」という衣服令を出した。その洋服が官僚や軍人に間で一般化した。その後、一般の庶民も文明化に乗り遅れないようにと洋服を着るようになり、次第に着物は晴れ着として結婚式などあらたまった場でしか着なくなった。しかし、それも、その後の近代化の進展によって、次第に、ハレの場ですら、着物を着る人が少なくなった。
楽で、行動的で、手軽に扱え、安く買える洋服は、普段着としては便利な衣服である。しかし、もう少し、日本人として、日本の伝統的な着物への関心をもち、愛着を持って欲しいものと思う。ただ、私など、今の人の着物の着方を見ていると、見ただけでも息が苦しくなるほど窮屈な着方をしているように感じられる。私の持っている古本や、幕末の頃などの写真集などを見ると昔の人は今の人からすれば少しだらしない着物の着方に見えるかもしれないが、本当に楽なくだけた着方をしている。胸元も余りつめていないし、帯もゆったり締めている。着ている着物も今は、昔のものよりゴージャスなものになっており、昔のような着方をそのままには出来ないかも知れないが、もう少し、楽に着れるようにしたほう良いのではないかな~。この頃の若い子は洋服でも、我々の年代からすると、だらしないと思うような着方をしているのにね~。
(画像は、幕末の「通詞とその妻」。写真は日本の写真家第1号とも言われている上野彦馬が撮影。写真集「蘇る幕末」朝日新聞社刊より。それなりの身分のある武士の妻であるが、昔はこのような着物の着方が普通なのである)
参考:
日本人と着物
http://web-japan.org/kidsweb/virtual/kimono/top-j.html
きもの生活情報サイト*きものネット/社団法人全日本きもの振興会
http://www.kimono-net.or.jp/
日本の着物
http://www.rindo.com/105/kimono/