今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

クレープの日

2010-01-29 | 記念日
日本記念日協会の今日・1月29日の記念日に「クレープの日」があった。
記念日の由来を見ると“クレープをもっと身近なおやつにしたいとの願いから、さまざまなケーキ、スイーツを製造販売している株式会社モンテールが制定。日付は数字の9がクレープを巻いている形に似ていることから。毎月9日、19日、29日と、9の付く日を記念日とすることでより多くの人にクレープの美味しさを知ってもらうことが目的。 ”・・・とあった。
クレープは、パンケーキの一種で、フランス北西部のブルターニュ地方が発祥の料理で、元になったのは、そば粉で作った薄いパンケーキのガレット(galette)だそうだ。
ブルターニュ地方は土地がやせていて気候も冷涼であるため、小麦の栽培が困難でそばが常食とされていた。古くはそば粥やそばがきにして食べていたが、そば粥を偶然焼けた石の上に落としたところ薄いパン状に焼きあがることを発見し、そば粉を焼いてパンの代わりに食べるようになったといわれている。石で焼いたことからフランス語で小石を意味するガレ (galet) にちなんでガレットと名づけられたというのが通説だそうだ。
その後、伝説ではスペイン王フェリペ3世の長女でルイ13世ブルボン朝第2代のフランス王)の妻であったアンヌ王妃が、ルイ13世に伴ってブルターニュ地方へ狩りに訪れた際、現地の庶民が食べていたガレットを偶然口にして気に入り、宮廷料理に取り入れたといわれているそうで、生地はそば粉から小麦粉へ変更され、粉と水と塩のみであった生地に牛乳やバター、鶏卵、砂糖などが加えられるように変化してゆき、名称も焼いた際にできるこげ模様が縮緬(ちりめん)を連想させることからクレープ(「絹のような」という意味)と呼ばれるようになったという(Wikipedia)。
少し前まで、日本ではクレープといえば小麦粉で作られた甘いデザートというイメージであったが、最近では、そば粉で作られた生地に様々な材料が載ってボリューム満点の「ガレット」も出すレストランが増えてきているようだ。残念ながら、私は、デザートとしてのクレープは食べたことがあるが、デザート以外の「クレープ」や「ガレット」は食べたことがない。
ところで、前にも書いたことがあるが、最近は、日本記念日協会に登録されている記念日にも、このような企業の販売促進用のCM的記念日が多くなったね~。
アメリカのリーマンショック以降の世界的大不況の中で、日本はかってないデフレスパイラルに入っており、企業が生き残りをかけた熾烈な値下競争の時代に入っている。雑誌等の廃刊や休刊にも見られれるが、経済成長期のように、テレビ等マスコミを利用した広告にも費用を使える余裕のある企業は少なくなくなってきているようだ。最近のテレビ局など、広告収入が減り、局の経営が大変と聞いているが、そのせいだろう、これは、番組なのか?それともCMなのか?区別の付かないような番組が増えてきている。旅番組や食べ物に関する番組は以前より多くあったが、最近特に多い。どこどこの店の料理が美味しい、ここの旅館が安くてよいなどといった番組だが、そのほか、これが安くて便利、使い勝手が良いといったものなどアイデアグッズやこれが美味しかったなどと、番組の中で盛んにその商品のメーカーやブランド名、価格などを露骨に示し紹介する番組が増えている。これって、本当に番組と言えるの・・・?恐らく、紹介している店舗や旅館、メーカーなどから、CM目的で、番組での紹介を名目に金銭を要求しているのだろうと邪推をしたくなるものが増えた。こんな番組を作っていると、ますますテレビ離れが進むのではないかと心配しているのだが・・・。同じ様に、記念日協会の記念日を見ていても、記念日を装ったCM的なものが非常に多くなり、記念日とは、企業の製品PRの寄せ集めか?といった感じになってきたね~。
それはさておき、今日の「クレープの日」は、クレープを巻いている形が数字の9似ているからと言うだけ、だからどうしたの?といった記念日だが、クレープ発祥の国と言われるフランスの代表的な菓子のひとつであるクレープは、家でも手軽に作られ、街のあちこちには屋台があり、フランスのストリートフードの一番人気としてよく食べられているもののようだが、そんなクレープが一番食べられる月が2月のようだ。
クリスマスという大イベントが終わっても、キリスト教の世界ではイエス誕生にまつわる行事がいろいろ続くが、その各々の祭りには特色のある祝い菓子が使われる。
先ず、フランスでは1月6日の公現節には、王冠がのった折りパイにアーモンドクリームが入ったパイ菓子で中にフェーヴ(ソラマメの意)と呼ばれる陶製の小さい人形が入ったガレット・デ・ロワを家族で切り分けて食べるという。フェーヴが当たった人は王冠を被り、祝福を受け、幸運が1年間継続するといわれ、フランス人はこれを食べないと一年が始まらないといわれているようだ。
次に、イエス・キリストの誕生を祝うノエル(クリスマス)から40日目にあたる2月2日の「La Chandeleur」(シャンドリュール)というカトリックの祝日にはフランスの家庭ではクレープを焼いて食べる習慣があるようだ。
「Chandeleur」は英語のキャンドル(Candle)であり、日本語では「聖燭祭」と訳されているようだが、キリスト教の豊作を祈るロウソクの祭りに由来したものだそうだ。しかし、他にもクレープが太陽の形に似ているとかクリスマスから40日目にマリアが幼子イエスを抱いて神殿にお清めに行った日に由来するなどの説もあるようだ。
なにか、良く分らないが、3つぐらいの古くからあるローマ時代の祭りやキリスト教の祝日などが混在しているようだが、このクレープの日には、左手に小銭を握りしめ、右手でクレープをひっくり返し、うまく焼けるとその年は、「よい年になる」とか「お金に困らない」とか「健康で過ごせる」など地方によっていろいろな謂れがあるそうだ。
この日は休日とはいっても、仕事や学校が休みになるわけではないが、現在では、家族や親しい仲間たちが集まって、ワイワイとクレープを焼いて楽しむ日となっているようで、この日は「クレープの日」などともいわれているようだ。
続いて、「マルディ・グラ」と呼ばれる謝肉祭の最終日にクレープを食べるようだ。
フランス語のマルディ・グラ(Mardi-Gras)の「マルディ(mardi)」は「火曜日」、「グラ(gras)」は「フォアグラ(「フォア(foie)」は「肝臓」)、の「グラ(gras)」と同じで、「脂の多い、肥大した、太った」を意味しており、「肥沃な火曜日」の意で、謝肉祭の最終日、灰の水曜日(Mercredi de Cendres)の前日であり、英語の「Shrove Tuesday」(告解火曜日、懺悔の火曜日)に相当するそうだ。
2月3日から3月9日の間の各年のイースター(復活祭)の日に影響を受ける移動祝祭日(2010年の場合は2月16日だそうだ)で、節欲と悔改の期間として肉食を禁じる四句節(しじゅんせつ。四旬とは復活祭前の40日間のことであるが、日曜日を除いて40日を数えるので46日前からとなるようだ)の1日前の日である。復活祭はキリストの復活を祝い、四旬節は、聖週間(復活祭前の1週間)を準備するものであったが、四旬節に入る前に祝宴を行う習慣が、カーニバル(謝肉祭)として現代に至っているようだ。肉食を禁じる四旬節に入るのに先立ち、こってりとした脂の多いものをたっぷりと食べて盛大に楽しむ1週間が謝肉祭、つまり、かって四旬節の節食(大斎)の前に行われていた祭りであり、その最終日のマルディ・グラには、無理なく節欲に参加できるようクレープを食べるのが習慣になったもののようだ。兎に角、しっかりと食べてカーニヴァルを楽しみ、翌水曜日には、厳粛なカトリック教徒は教会へ参拝するのだという。
これらフランスの伝統的な祭りや食べ物については、以下参考の、※:(社)日本洋菓子協会連合会「ベルギーの街角から七」や※:MATOの“グルメ・ガーデン”[伝統や祭日にまつわる食とその由来]が詳しく書いてあるのでそこを見られると良い。
いずれにしても、歴史や文化、伝統等を大切にするフランスのクレープを食べる日は、形は変わっても、古くからの宗教や祭りと関係のある日であり、商業ベースで出来た記念日ではない。近年の日本では、割と伝統や文化が大切にされず、国民の祝日に関する法律なども、「第1条 意義」では、高尚な定義づけをしているものの、祝日そのものを大切にしてしていこうとすることよりも、振り替え休日などを設けることにより連休を増やし、家族での旅行などに結び付けようとの魂胆が丸見えの感じ。又、事実そのようになってしまっているように見えるのが情けない気がする。
(画像は、積み上げられたクレープの皮。Wikipediaより)
※:MATOの“グルメ・ガーデン”[伝統や祭日にまつわる食とその由来]
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/1113/tradition/tradition.html
※(社)日本洋菓子協会連合会「ベルギーの街角から七」
http://www.gateaux.or.jp/g/news/008-belgium.html
株式会社モンテール
http://www.monteur.co.jp/
クレープ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%97
Sweet Cafe
http://www.sweet-cafe.jp/chihougashi/top.html
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
デフレーション - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
公現祭- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E7%8F%BE%E7%AF%80
マルディグラ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B0%E3%83%A9
辻調グループフランス校[クレープ / Crepe]
http://tsuji.fr/diary/france.cgi?2007,02,02
祝祭日 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9D%E7%A5%AD%E6%97%A5