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「吉展ちゃん誘拐殺人事件」の日

2007-03-31 | 歴史
1963(昭和38)年の今日(3月31日)は「村越吉展ちゃん誘拐事件」のあった日。
「吉展ちゃん誘拐殺人事件」は、1963年3月31日に、東京都台東区入谷(現在の松が谷)で起きた男児誘拐殺人事件である。3月31日、入谷の自宅前の公園に遊びに出かけていた村越吉展(当時4歳)ちゃんが消息を絶った。犯人より身代金50万円の要求があった。この事件では、警察は人命尊重の観点から、報道機関に対し報道の自粛を要請「報道協定」が初めて行なわれた。しかし、母親が犯人から指定された場所に身代金を持参したが、警察の不手際で金だけ奪われ、犯人を取り逃がした。そして、結局、4月7日公開捜査に踏み切り、初めてテレビを使った公開捜査が行われ、吉展ちゃんの写真を画面で流し、一般からの情報を求めた。
5月のメーデーには、「吉展ちゃんを両親に帰せ」の似顔絵のプラカードまで登場。この誘拐事件は日本中の関心が集まり、多数の情報が寄せられた中には、酒に酔っ払った者などからのいたずら電話なども多く、悪質ないたずら電話で捜査に障害をもたらした者2名が逮捕までされているが、この種のいたずら電話はエスカレートしついには、吉展ちゃんの自宅へ11回もの脅迫電話をして恐喝未遂で逮捕される者まで出ている。そのようなことから、、事件の捜査は困難を極め長引いた。
この事件では、警察庁科学警察研究所の鈴木隆雄氏へ犯人からの身代金要求の電話の録音の声紋鑑定依頼もしたが当時は技術が確立されておらず、刑事の地道な捜査から犯人からの電話の声が刑務所に服役中の容疑者の1人、小原保と良く似ているとされたことや、小原のアリバイに不明確な点があることを理由に事情聴取が行われ、2年後、小原保の自供から、自供どおり、荒川区の円通寺の墓地から白骨化した吉展ちゃんの遺体が発見された。円通寺の遺体の発見現場には供養の為、「よしのぶ地蔵」が建立されている。
この事件で、最終的に小原を自供に追い込んだのは、当時、府中署の「3億円事件」の特捜本部にいた刑事で、平塚八兵衛による、徹底的なアリバイの洗い直しと供述の矛盾を突くねばり強い取り調べの結果であったとう。犯人が自供したきっかけは、事件とは関係のない日暮里の大火だった。取り調べ期間の最終日、平塚らが、東京拘置所に行き”最後の調べをした。その中でたまたま話題になったのが、日暮里の大火で、小原はこの大火を「電車に乗っていて窓を通して”原子雲”のように真っ黒く立ちのぼる煙を見た”と、当時の、模様を得々としゃべったという。この火事は吉展ちゃんが誘拐された日の直後、4月2日午後3時過ぎに起きた。小原は、アリバイについて、「3月31日を中心に1週間ほど、郷里の福島に帰っていて、東京にいなかった」と言い張っていたが、平塚らは、日暮里の火事の日時、状況、規模をはっきりと覚えており、小原の嘘がぴんときたと言う。そこで、矛盾点を追求、小原は弁明に苦しんだが身代金と同額の50万円を持っていたこともあって遂に自白したという。(朝日クロニクル「週間20世紀」)
犯人には、死刑の判決が下り、1967(昭和42)年上告棄却、1971(昭和46)年12月死刑が執行された。
小原の処刑間際の言葉として、「今度、生まれてくるときは真人間に生まれてきますからと、どうか、平塚さんに伝えてください」と言い残した事が知られている。平塚は、犯人に自白させるテクニックの持ち主で「おとしの八兵衛」の異名をとった名物刑事であったそうだ。
この「戦後最大の誘拐」と言われたこの事件が起こったのは3月31日の事であったが、その約1ヵ月前の3月1日、黒澤明監督の映画「天国と地獄 」が公開されたが、この映画は、身代金誘拐事件を描いた作品であった。
エド・マクベインの推理小説『キングの身代金』に描かれていた「誰をさらおうとも脅迫は成り立つ」という着想に感心し映画化したという。また、黒澤は当事の、誘拐罪に対する刑の軽さ(未成年者誘拐罪で3ヶ月以上5年以下の懲役(刑法222条)、営利誘拐罪で1年以上20年以下の懲役(刑法223条))に憤っており、劇場公開時のパンフレットでも誘拐行為を批判していたという。
映画は、製靴会社重役権藤の1人息子と間違われ、運転手の子供が誘拐される。犯人は誰の子供でもかまわない、とにかく、身代金3000万円を払えと権藤を脅迫。経営権をめぐる社内抗争に巻き込まれていた権藤にとって3000万円は今払いたくても払えない金だったが・・。誘拐事件に社内抗争を絡めたこの映画は大ヒット。映画は興行的には大成功するが、一方で公開後の3月31日には吉展ちゃん誘拐殺人事件が発生し、誘拐事件にヒントを与えたのではないかと噂され、その1月後には、「狭山事件」として有名になる中田善枝さん誘拐事件も発生した。黒澤監督宅に「事件を助長する」といった意味の脅迫電話まであり悩ませたという。映画が公開中止になることはなかったが、国会でも問題として取り上げられ、この事件を一つのきっかけとして、1964(昭和39)年に刑法の営利誘拐に「身の代金目的略取」という条項が追加され、通常の営利誘拐よりも重い刑罰を課すように改められた。
この当時、本当に、警察の不手際な操作が相次いだよね~。当時黒澤の映画が余りにも衝撃であった事から、それを真似る誘拐が相次いだ。このようなことは、現代のマスメディアの時代になると、例えば、いじめや自殺、放火といったTVなどでのマスコミ報道が、次の新たな事件を生み出す引き金になるといった形で見られるよね~。マスコミは視聴率を取るために、悲惨な事件などになると、より悲惨な状況を伝えようとする。しかし、世間やマスコミが騒げば騒ぐほど同様の事件を起こして、喜んでいる輩がいるのも事実である。報道の難しさだろうね。
(画像は「1963年5月メーデーに登場した「吉展ちゃんを両親に帰せ」のプラカード。画像は朝日クロニクル「週間20世紀」より)
参考:
誘拐-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%98%E6%8B%90
戦後の主な誘拐殺人事件
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/yuukai.htm
円通寺
http://www6.plala.or.jp/entsuji/
吉展ちゃん誘拐殺人事件
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/yosinobu.htm
略取・誘拐罪 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%A5%E5%8F%96%E3%83%BB%E8%AA%98%E6%8B%90%E7%BD%AA
刑法
http://www.ron.gr.jp/law/law/keihou.htm
狭山事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AD%E5%B1%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6
事件史探求
http://gonta13.at.infoseek.co.jp/index.htm
エド・マクベイン『キングの身代金』 - 本の虫クラブ
http://www.honnomushi.com/review/2004_07/0009.htm

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2 コメント

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模倣犯 (Linda)
2007-03-31 07:47:54
よーさん、お早うさんです。
天国と地獄はイブだけカラーの映画でしたね。面白い映画でした。

確かにマスコミが騒ぐと模倣犯が出ますね。
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模倣 (よーさん)
2007-04-01 09:09:35
Lindaさん、何か事件があるとすぐに模倣するバカが多い。よいことは真似しないのにね。
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