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スティーブン・スピルバーグ監督の映画 「未知との遭遇」が日本で公開された

2009-02-25 | 歴史
1978(昭和53)年の今日・2月25日は、スティーブン・スピルバーグ監督の映画 「未知との遭遇」(以下参考に記載のgoo映画参照)が日本で公開された日である。
映画は、世界各地で発生する未確認飛行物体(UFO)との遭遇事件と最後に果たされる異星生命体(宇宙人)と人類との接触を描いたSF作品であり、ラストのデビルズ・タワーに舞い降りた不夜城を思わせるUFOの巨大なマザーシップ(母船)が壮麗、圧巻である(冒頭の画像)。空前の大ヒットで、日本での配給収入は32億9千万円にも上ったという(アサヒクロニクル「週間20世紀」映画の100年より)。この映画は、以後のSF映画ブームの火附け役になった。
映画の原題は、『Close Encounters of the Third Kind(第三種接近遭遇)』。接近遭遇とは、空飛ぶ円盤とその関係のものとの目撃、接触で、この映画製作のスーパーバイザーを務めた元アメリカ空軍UFO研究部顧問のアレン・ハイネック博士の分類によるものだそうで、接近遭遇には大きく分けて4段階あり、第三種接近遭遇は”空飛ぶ円盤の搭乗員と接触すること”を言うのだそうだ(フリー百科事典Wikipedia 接近遭遇参照)。つまり、初めての異星生命体(以下宇宙人という)との遭遇を言うのだが、なにか、UFOについての専門知識がなければ判らない難しい原題よりも、日本で翻訳した題名”未知との遭遇”の方が、ずっとこの映画の内容を上手く表現しているし、観客にどのようなものかと興味を引かせ、夢がある。翻訳レベルの高さには脱帽だ。
スピルバーグは、ロシア系ユダヤ移民の3代目で、ユダヤ系であったため、いじめを受けたこともあり、両親も離婚しており、これが後の作品に大きな影響を及ぼしているという。
この映画は、スピルバーグの初期の代表作であり、1975(昭和50)年公開の「ジョーズ」(Jaws)の大ヒットを受けて、彼が少年時代から暖めていた企画を基に制作された作品だといわれ、彼は監督だけではなく自ら脚本も手がけるという力の入れようである。
この作品のストーリーの骨子になっているのは、1956(昭和31)年に「旧約聖書」内の2番目の「出エジプト記」を原作として制作されたセシル・B・デミル監督のスペクタクル映画「十戒」だという。映画『「十戒」では、預言者モーゼが、エジプトの圧制からヘブライ人(ユダヤ人)を救い出し、シナイ山十戒を授かるが、彼が不在の間にそのヘブライ人達は信仰を忘れ、偶像崇拝を初めとする享楽に耽っていた。それを見た神は“紅海が真二つに割れて道ができるなど、神による数々の力を見、その奇跡に救われてきたというのに、まだお前たちは神の存在を信じられないのか」と、モーゼを通じて罰を与えられる。そして約束の地カナン(神との約束の地)を目指すといったストーリーである。
「未知との遭遇」では、“山”が非常に重要な意味を持っている。フランスのヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督の一人でもあるフランソワ・トリュフォー演ずるラコーム率いる調査団がメキシコの砂漠で第二次大戦時の戦闘機を発見。それは、消失当時と変わらぬ姿で残っていた。一方アメリカのインディアナ州では、町一帯の停電を調べていたリチャード・ドレイファス演じる電気技師ロイがUFOのような光を発見。以来、彼はこの不思議な光にすっかり魅了され、その正体を探っていく。やがて、ラコームがインドの群集の叫びから採取した、天から聞こえてきたという五音階のメロディを分析した結果、どうやら光が行き着く先は、ワイオミング州のデビルズ・タワーという山だと判明する。ロイをはじめ何らかのケースでUFOに遭遇した者が何かに導かれるような形で、その山に集まってきた。この山はいったい何なのだろう?映画では、“山”に向かうことになる主人公の家族が家のテレビで「十戒」を観ているシーンがある。ワイオミング州に実在する「デヴィルズ・タワー」はアメリカ最初の国立記念碑である。以下参考に記載の「※アメリカの国立公園 デビルズタワー国定公園」の写真をみていると何となくモーゼが十戒を授かったというシナイ山とイメージがダブってくるような気がする。
スピルバーグの父親は電気技師だといわれているが、映画の主人公である電気工事員のロイ又、ラコーム博士はスピルバーグの分身ともいえるものかもしれない。
彼は、単にSF映画として、宇宙人がやってきたということ自体を描くことよりも、そのことが引き起こす社会的な問題自体を描きたかったのでは・・・。彼には、純粋に神のような絶対的な存在があることを信じているふしがある。
イギリスの作家H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説『宇宙戦争』は、宇宙人による侵略をテーマとする世界初のフィクションであるが、これを、1938年アメリカでラジオドラマとして放送された「宇宙戦争」が全米で聴衆にパニックを引き起こしたことは、以前にこのブログ「ニュースパニックデー」でも書いたことがあるが、この後1953年には同名で映画化もされている。このような、かっての映画や漫画・小説などのフィクションにおいては、地球を訪れる宇宙人の来訪目的は地球侵略である場合が多く、地球人にとって宇宙人は恐いまた悪い存在であったが、スピルバーグのこの映画は、従来の宇宙人=侵略者といったイメージを完全に覆すものであり、スピルバーグにすれば、光に先導されながらデビルズ・タワーへと導かれてきた者は、宇宙人と何らかのコンタクト(接触)をもった者の中でも、特に宇宙人の力の凄さを知り、なお、彼らが必ずしも敵ではないのだということを体感したものだけが選ばれてきたということになるなのだろう。そして、マザーシップから降りてきたグレイ(宇宙人)との対面に感動と衝撃を受けた人たち。ラストシーンはそんな宇宙人と地球人の交流を音と光によって壮麗(壮大、おごそかで、でうるわしいこと。)に描き、そのような地球人の中から宇宙人に選ばれたロイがUFOに乗り込み、そして上昇し、宇宙へと旅立って映画は終わる。
このようなスピルバーグの宇宙人に対するスタンスは、後に製作し、大ヒットした「E.T.」に結実されている。 
ただ映画「未知との遭遇」に出てくる宇宙人が裸のようなグレイであるなど、スピルバーグの映画にしては、少々子供っぽいところが多いと批判する節もあるようだが、幼い頃から、ディズニー映画に影響され、娯楽性を重視していた時代の映画であるが、その中にしっかりと、旧約聖書のシーンをも織り込んでいるなど、流石・・といえるのではないか。第50回アカデミー賞8部門にノミネートされ、残念ながら監督賞などは受賞できなかったが撮影賞特別業績賞(音響効果編集)の2部門で受賞している。
参考:
未知との遭遇 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AA%E7%9F%A5%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%AD%E9%81%87
未知との遭遇 - goo映画
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD8750/
※アメリカの国立公園 デビルズタワー国定公園
http://dreamswan.com/home3/ryokou/wdrive/USACO/WY/NPS/Devil/Devil.htm
国士舘大学/文学部/今月の衛星画像デビルズ・タワー 「未知との遭遇 マザーシップが降りる山」 
http://bungakubu.kokushikan.ac.jp/Chiri/EarthWacht/Dec2003/RSgazou.htm
きょうのことあれこれと・・「ニュースパニックデー」
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/1cd1637cced212c8b1dd0d3b1b1753d6
宇宙戦争 - goo 映画(1953年)
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD935/
Yahoo!映画 - 未知との遭遇
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id22811/

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