ドロテの踊りは1幕から空気に漂うよう。
真実を知ったあとは狂気より
悲しみに押し潰されたかんじ。
2幕は、無重力かと思うような浮遊感でありながら、
足も手首も細かい動きを疎かにせず
しっかり正確に踊りつつ、
登場時は無機的なウィリーだったのに、
アルブレヒトに会ってからは
暖かい愛を持った人間だった。
とても素晴らしかった!
少しモニクを思い出した
マチュー君は王子様そのものだ。
恋に酔う能天気坊ちゃんでもなく
チャラい遊び人でもなく
破滅を感じるわけではなく、
真っ直ぐに王子様。
新世代しか知らなければブラボーなんだろうけど、
彼以降のダンサーはそんなに気にならないんだけど、
彼だけは、エトワールとは、
Pデュポン、イレール、ルグリぐらいでなければ、
の先入観が蘇ってきちゃうんだ。
いつも少し物足りなさを、
つい感じてしまう。
ごめんね。
ドロテとは芝居も、
踊りのタイミングもとてもあっていた。
各所でピッタリすぎるユニゾンの動きにゾクゾクした。
真摯なアルブレヒトは彼にピッタリなんだけどなー。
※過去のパリオペダンサー比では
チャラさ無しの真面目系だと
5階席から見たかんじでは思ったんだけど、
遊び人と言う人もいるみたい。
真摯、は、あくまでも私の受け取りかたで。
ミルタへの懇願は、彼独自パターンかと思ったけど、
ツアー仕様の簡素版という意見も。
ダンサーの見せ場というほどではなかった。
2幕冒頭でアルブレヒトにも
ライトが当たらないのはデフォだっけ?
せっかくの芝居が見辛かった。
ベザール君はマチューと同じ系統のイケメンだからこそ、
差がつく悲劇。
もっと髭で粗野の方が良いと思うんだけど、
そうでないのに選ばれないのは、
それはそれで辛いね。
黒髪もみあげで、
もしかして1階席で見たら充分粗野なのかな。
巻き添えが気の毒すぎる。
ペザント、マリーヌはマチュー君の妹かな。
確実な踊り。
男性のミュラも細かいジャンプを的確に決める。
オニールさんは出てきた時は非有機体だったけど
ウィリー達が出てきたら
威厳たっぷりの女王だった。
迫力の演技だった。
ジャンプも高かった!
ツインウィリーも浮遊感。
群舞は揃いきらないときもあるけど、
パリオペだしな。幽玄さはないけど、
凄みはあった。
今回は若手精鋭が本国のバランシンで、
日本公演はベテランが多いらしいけど、
なんというか、
これぞパリオペ!
って雰囲気が充満していて良かったよ!
男性陣の踊っていないときの
小芝居が多く目が足りない!
ドンキと違って、
ジゼルは他版よりアップテンポなかんじかな。
人数もステップも詰め込みすぎだけど
いつもの時間に収まっているよね。
公爵御一行登場のファンファーレ以外はオケも良かった!
特に2幕の弦は歌うようだった。
【配役等】
ジゼル:ドロテ・ジルベール
アルブレヒト:マチュー・ガニオ
ヒラリオン:オドリック・ベザール
~第1幕~
ウィルフリード(アルブレヒトの従者):アドリアン・ボデ
ベルタ(ジゼルの母):ニノン・ロー
クールランド大公:ヤン・シャイユー
バチルド姫:エミリー・アスブン
ペザント・パ・ド・ドゥ:マリーヌ・ガニオ、フランチェスコ・ミュラ
ジゼルの友人:
ナイス・デュボスク、エレオノール・ゲリノー、
ビアンカ・スクダモア、ポリーヌ・ヴェルデュザン、
セリア・ドゥルーイ、アンブル・シアルコッソ、
ウジェニー・ドリオン、アメリ・ジョアニデス
~第2幕~
ミルタ(ウィリの女王):オニール八菜
ドゥ・ウィリ:エレオノール・ゲリノー、ポリーヌ・ヴェルデュザン
◆上演時間◆
第1幕 18:00 - 18:50
休憩 20分
第2幕 19:10 - 20:00
指揮:ベンジャミン・シュワルツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
台本:テオフィル・ゴーティエ、ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー(1841)
改訂振付:マリウス・プティパ(1887)、パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)
装置:アレクサンドル・ブノワ
装置製作:シルヴァノ・マッティ
衣裳:アレクサンドル・ブノワ
衣裳製作:クローディ・ガスティーヌ