本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

日本人の本性~「敗北を抱きしめて」ジョン・タワー著

2012-03-08 01:10:10 | 本・雑誌、読書
ピュリッツァー賞を受賞した、日本では2001年に出版された「敗北を抱きしめて」、まだ上巻半分ほどを読んだだけなのですが、この本を読んで、日本人がけっして今自分たちで思っているような良き国民ではないことを思い知らされています。
日本人は自分に都合の悪いことは忘れてしまう国民なんだなとも思います。

この本は、第二次世界大戦後、敗戦国日本がアメリカに占領され、アメリカの監視の下、復活を果たした過程をつぶさに記録しています。

戦後、占領政策を実行するために日本に来たアメリカ軍に対し、終戦の日まで敵国であったことを忘れたかのように、あたかも救世主のように歓迎した日本人。
終戦時のどさくさにまぎれ軍用品を私物化し、売り払い暴利をえた政治家、政府高官、軍関係者、加担した企業経営者。
必死で生きようとしている人たちが生きていくために必要な食糧や物資を法外な値段で売って、良心の呵責もなく富を築いた闇市の人たち。

あまりにもみにくい日本人の姿が描かれています。

外国人が悪意を持って記録していると言うには、詳細で鮮明で、自分が断片で知る事実と合致していて、これが事実であることを認めざるを得ない内容であり、日本人とはこういうものだったのかと絶望的な気持ちになります。

そして東日本大震災後の日本、
復興政策を自身のPRに使おうとしている政治家や知識人、
復興資金に群がり、一儲けしようとする企業や個人
日本の危機を論じ、様々な政策を無責任に批判することで、お金を稼いでいる学者や評論家

本に書かれた状況と震災後の今の状況があまりにも似ていて、たまたま手に取ったのですが、読むべき時期に読んでいるように思います。

戦後70年近くたっても変わっていない日本人。日本人はいま自分たちが思っているほど美しくない、過去も美しくなかった。
海外から未曾有の災害にあっても秩序を失わなかった日本人と評価されたと喜んでいるけれど、それは戦後、全てを失って必死に生きた一般の国民と同じように被災して何もかも失い、絶望しているけれど、必死で生きたいと思った被災者と呼ばれる人たちだけへの評価だと考えるべき。
震災後も震災前と同じように暮らしている者は、油断をすれば醜い本性が現れる可能性があることを自覚して、できるだけ美しく、本来人間としてあるべき生き方を探すべきかと。

たぶん日本人だけでなく、人間すべてが同じようなものだと思います。逆に言えば、日本人だけ美しいなんてことはなくて、世界中の人間と基本的に同じ。自分たちをあんまり美化しないほうが賢明ではないでしょうか。

ところで、終戦直後と今の違い。
終戦直後、何もかも失くした人たちが、どこかに頼ってもしかたないと早めに政府や支援機関を見限って、自分たちで立ち上がり、見事に経済成長を達成したのに対し、いまは・・
したたかな強さを失ってしまった。。
ここは変わるべきではなかった。。
悲観的になっては駄目ですね。
・・変わっていないことを信じて、前を向いて進むしかないですね。
誰かがやってくれると期待するのはもう止めて、自分たちでやるしかないと覚悟しなければいけませんね。


コメント (1)
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