夢七雑録

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稲荷百社詣その一

2007-11-19 12:05:32 | 稲荷百社詣

【1】
 (番外)東伏見稲荷  (保谷市東伏見1)

 今回は、都内のお稲荷さんを巡る積もりなのだが、その前に、京都の伏見稲荷の唯一の分社で、関東の稲荷社の総社でもある東伏見稲荷を番外として訪ねてみる事にした(実を言うと、訪ねたのは今年の春の事であったが)。

 西武新宿線の東伏見の駅を降りると、大鳥居が横向きにずしっと立っている。鳥居は神社の方向を指し示す筈だから、安心してその方向に歩きだしたが、人通りが何時のまにか無くなって、おまけに神社の森らしきものも行く手に見当たらない。誰かに道を聞くのも面倒なので、向きを少し変えて勘を頼りに歩いて行く。それでも、この日は勘が正常に作動していたとみえて、それほど遠回りもせずに神社の裏参道とおぼしき所に行き当たった。参道と云っても山道のようなもので、土の感触を楽しみながら上っていくと、神社から下って来たらしい老人とすれちがった。なにかの荷物を振り分けにして担いでいる。妙な老人だなと思ったが、振返ってみるのは止めにした。

 東伏見稲荷は、京都の伏見稲荷を昭和になってから分霊したもので、新しい割には貫禄がある。玉砂利を敷き詰めた境内は整然として、お稲荷さんらしい雰囲気はまるでない。季節は春、時は昼下がり。今は桜もオーラを引っこめたままだ。ともかく賽銭箱に百円玉を放り込み、形ばかりの参拝をする。これでお稲荷さん詣も無事に運ぶだろう。

 それから、神社の裏手に回ってみた。すると、背の低い朱塗の鳥居が行列しているのが見えた。はじめは、東伏見稲荷創建以前の古墳の主を鎮める仕掛けかとも思ったが、どうもそうではないらしい。入り口の看板からすると、都内の各地から稲荷社を分霊し、ここに集めただけのようである。つまり、ここの稲荷を巡れば、都内の稲荷を回る必要がないという事なんだろう。お稲荷さん巡りなんぞは取りやめにして、ここから帰れというメッセージかも知れないとも思ったが、そうはいかない。やはり、お稲荷さん巡りは続けることにして、稲荷社に黙礼。では、帰ろうかという時になって、先ほど通ってきた裏参道が見当たらないことに気がついた。仕方がないので、正面の大鳥居から外に出た。

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