稲荷百社詣の序 「お稲荷さんについて」
ある日、突然、お稲荷さん巡りを始めてみようと思った。その前に、お稲荷さんについて少々調べてみた。
お稲荷さんは、一般的には、秦氏による伏見稲荷の創建が起源だと言われている。伏見稲荷の祭神ウカノミタマは、「稲の神」(稲魂)とされ、稲荷と言う言葉は稲稔から来たという。一方、東寺の伝承では、空海が翁の姿をした稲荷神を東寺の守護神として要請したのに始るとし、翁が稲を荷っていたことから稲荷の名が起きたとする。また、稲荷鎮座由来の一つである龍頭太を、製鉄に従事していた者と考え、いなりは鋳成りとする説もある。このほか、時代は下がるのだが、豊川市の妙厳寺(豊川稲荷)に始るダキニ天信仰が稲荷と結び付き、伏見稲荷系とは別の稲荷信仰の流れを生みだしたとされている。
お稲荷さんは、本来は稲の神(田の神)なのだが、地の神と結びついたり、都市部に広がったりした結果、商売繁盛や病気平癒など庶民の願いを入れた、雑多なご利益を提供するようになり、訳が分らなくなってしまったようだ。
お稲荷さんと言えば、狐がつきものだが、伏見稲荷と狐との関係は諸説あって、はっきりしない。一方、ダキニ天は狐に乗った形で表される事から、こちらの方は、狐が稲荷神の使いだと言う事になっている。伏見稲荷の狐は、豊川系の稲荷の狐が浸透したという説もあるくらいである。また、田の神として狐を祭る風習が古くからある事から、お稲荷さんと狐が結び付けられたと言う説もある。余談だが、天皇の病気平癒の為、稲荷社に神階を授与した事があって、これが後に正一位を授与するきっかけとなったという。
ここまで分かったところで、いよいよ、お稲荷さん百社詣に出発である。
(注)下記の文献を参考にさせていただきました。
・松前健 編「稲荷明神」筑摩書房
・笠間良彦著「ダキニ信仰とその俗信」第一書房
・吉野裕子著「狐」法政大学出版局
・塚田芳雄著「江戸のおいなりさん」下町タイムス社
meをやっと諦め、Vistaに買い替えましたが、移行に手間取っているうちに、季節が冬に向かって転がり始め、庭のホトトギスももう終わり、代わってツワブキが咲き始める時候となりました。さて、Vistaへの更改を機に、誰もがすなるブログを吾も試さんという事になりました。ただ、日記の類を投稿するのは好まないので、読み捨ての連載ものを投稿することに致しました。結末を先に読まれる欠点はありますが、仕方ないでしょう。最初のテーマは、「稲荷百社詣」。ただし、ガイドブックとしての機能はなく、単なる与太話ですので、コメントなどはご無用にという事でお願いします。では、次回。 夢七