夢七雑録

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東京文化財ウイーク(3)

2011-11-19 16:42:13 | 東京の文化財
(8)根津神社

 根津神社の造営は1706年。本殿と拝殿を幣殿でつなぐ権現造りの社殿で、唐門、西門、透塀、楼門も含めて7棟が現存しており、重要文化財に指定されている。文化財ウイーク中の3日間、時間を決めて有料で社殿内を公開しているが、以前、内部を拝観したことがあるので、今年はパス。屋外については通年公開になっている。所在地は文京区根津1-28-9。最寄駅は千代田線根津駅である。 

(9)求道会館

 求道会館は、浄土真宗大谷派僧侶の近角常観が公衆に信仰を説く場として、建築家の武田五一に依頼し、1915年に建てた建物である。この建物は、戦後、使用されないまま放置されていたが、都の有形文化財に指定されたのを機に修復工事が行われ、平成14年に修復を終えている。求道会館は煉瓦造り2階建て。1階の会堂部分は吹き抜けで、木製の長椅子が並ぶ様子は教会のようだが、正面に置かれた白木の厨子が仏教施設である事を主張している。厨子は親鸞の故事から六角堂の形になっており、その前に演壇が置かれている。また、後ろの壁面には光背を表す唐草文様の半円が作られている。半円は黄色で下部はピンクになっているが、漆喰の混合物の違いで色を出しているという。費用面から会堂の上には天井を張らず、小屋組をそのまま見せている。小屋組は木製の部材を鉄板とボルトで固定する構造。また、2×6の建材を使用している。建物全体は、機能性重視、コスト重視になっているが、曲線部分を設け、手すりや窓枠の部材の面取りをするなど、細部には工夫が見られる。会堂の両側と入口の側に2階席が設けられている。当初、2階は畳敷きだったそうだが、現在は板張りである。2階席を支える柱はガス管を利用している。2階に上がって先ず目につくのは、仏教建築には珍しいステンドグラスで、釈迦がその下で悟りを得た菩提樹を図柄にしている。2階の欄干は手作りの卍模様を並べたものだが、鳥が並んで説法を聞くデザインになっている。暖房はストーブを使用していたが、煙突を引き回して全体を暖めるような工夫をしていた。なお、会堂部分の裏手にも部屋が設けられている。文化財ウイーク中の公開は解説付きで1日のみだが、毎月第4土曜にも公開されている。所在地は文京区本郷6-20-5。南北線東大前が最寄駅。


(10)徳田秋声旧宅

 徳田秋声旧宅は、自然主義文学の徳田秋声が、明治38年から38年間居住した家で、都の史跡に指定されている。主屋や書斎は明治の建築だが、洋室は大正時代の増築である。平成4年に解体修理を行っているが、基礎も変えたという。公開日は文化財ウイーク中の1日だけである。以前の公開日に内部を拝見させて頂いた事があるが、昔のままの雰囲気があって、落ち着く住まいであった。文京区本郷6-6-9。 

(11)水道歴史館

 東京都水道歴史館は、玉川上水や神田上水に関する江戸時代の記録で、都有形文化財に指定されている古文書「上水記」を所蔵しており、これを文化財ウイークの期間中に公開している。今年は、東京の近代水道の創設に功績のあったバルトンについての展示も行っており、また、水道の歴史展も同時開催されている。入場料は無料の上に東京水のおみやげ付きで、少々得した気分になる。3階には水道関係の図書を揃えたライブラリもあり。所在地は文京区本郷2-7-1。最寄駅はお茶の水駅。 

(12)ニコライ堂

 この聖堂を建てた聖ニコライ大主教の名から一般にはニコライ堂と呼ばれているが、正式には東京復活大聖堂と呼び、日本ハリストス正教会の聖堂である。1891年に建設された最初の聖堂は、関東大震災で鐘楼が倒れ、ドームが崩壊したため、鐘楼を低くするなど設計を変更して1929年に再建。1998年に修復工事を行って現在に至る。聖堂は、大ドームを有するビザンチン様式の建築で、重要文化財に指定されている。去年までは文化財ウイーク中の1日に限り無料で内部を公開していたが、今年からは通年公開となり、維持費としての献金が必要となる。入れるのは聖堂入口から啓蒙所と呼ばれる場所まで。内部の撮影は禁止されている。正面入口の上の画には、日本語で「太初に言あり 言は神と共に有り」と書かれた聖書が描かれている。聖ニコライは日本語と日本文化を積極的に学び、聖書や祈祷書の翻訳を進めたと伝えられている。ニコライ堂の十字架は、八端十字またはロシアン・クロスと呼ばれ、一般の十字架とは形が異なっている。ドームや鐘楼の上も、この十字架である。聖堂の所在地は千代田区神田駿河台4-1-3。最寄駅はお茶の水駅である。 


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