夢七雑録

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東京文化財ウイーク(2)

2011-11-10 19:34:01 | 東京の文化財
(4)明治学院
 明治学院のインブリー館は、例年、文化財ウイーク期間中にチャペルや記念館と併せて一般公開されている。今年は11月1日~3日が公開日であった。明治学院は1863年、横浜に開設されたヘボン塾が起源となっている。1880年には築地に移転。築地大学と称したという。この頃すでに野球部があったらしい。1887年、明治学院の設置が認可され、現在地にて開校。1889年には、ヘボンが初代総理(学長)に就任している。インブリー館が建てられたのは、この頃という。所在地は港区白金台1-2-37。浅草線高輪台が最寄駅である。

 インブリー館は宣教師のために建てられた住宅で、インブリー博士が長年居住していたことから、インブリー館と呼ばれるようになった。建物は屋根裏部屋付きの木造2階建て。19世紀後半に流行したアメリカの住宅様式だが、外国人の指導のもと日本の大工により施工されたと考えられている。1964年、道路の拡幅に伴い、曳屋すなわち建物を壊さずに現在地に移動。平成7年からは、2年間かけて解体修復工事を行い、その結果、当初の姿を取り戻したという。ただし、屋根は瓦葺から銅板葺に変えられている。宣教師館としては都内最古とされ、重要文化財の指定を受けている。

 現在のチャペル(礼拝堂)はイギリス・ゴシック様式で、旧礼拝堂の木材を再利用して1916年に建設されている。2008年に耐震修復を終え、翌年には新しいパイプオルガンを設置している。このパイプオルガンは古い工法をもとに製作されており、バッハ時代の音色を再現しているという。近々リサイタルの予定あり。

 明治学院の記念館は、1890年頃に建設されたアメリカ・ネオゴシック様式の建物である。1964年、曳屋により現在の場所に移動。煉瓦と木造が組み合わせられた構造だが、当初の姿とはやや異なるようである。館内に置かれているメイソン&ハムリン社のリードオルガンは国内唯一のものではないかという。

(5)高輪消防署

 明治学院から桜田通りを渡って坂を上がって行くと、灯台を上に乗せたような古風なビルが見えてくる。この建造物が高輪消防署二本榎出張所で、建てられたのは昭和8年。灯台のように見えるのは望楼である。都内に残っている望楼付きの消防署は、ここだけという事で、2010年の東京文化財ウイークからは、東京都選定歴史的建造物の公開対象の一つになっている。公開は通年だが、現役の消防署であるので、火事など災害出動の場合は邪魔にならぬよう要注意。

(6)瑞聖寺

 明治学院を出て、前の道を右に行き桑原坂を上がっていくと、左手に瑞聖寺の石段が見えてくる。現在は目黒通り側が正門のようになっているが、桑原坂の方から入るのが本来の参道である。瑞聖寺は禅宗の一派、黄檗宗の寺で、1670年に創立されている。本堂に相当する大雄宝殿は石段を上がったところにあり、1757年の建立。重要文化財である。大雄宝殿は裳階付き入母屋造りで本瓦葺。黄檗宗の建築様式で、前面に月台と呼ばれる基壇を設け、建物の正面左右に丸窓、屋根中央に宝珠を設ける。正面は吹き放ちで、時刻を告げる魚梆がある。本尊は釈迦如来で、脇士として阿難と迦葉の像を安置する。今年の内部公開は11月3日のみだが、以前、堂内を拝観したことがあるので今回はパス。瑞聖寺の所在地は港区白金台3-2-19。南北線・三田線の白金台が最寄駅である。なお、瑞聖寺は山手七福神の布袋尊を祭っている。山手七福神については、当ブログのカテゴリー「寺社巡拝」にも記載がある。

(7)都中央図書館

 東京都立中央図書館は、江戸城の建築を担当していた大棟梁、甲良家に伝わる図面や記録類を保有しており、文化財ウイークの参加企画として、毎年、テーマを決めて公開展示を行っている。これまでに行われた企画展では、西の丸、地震と復興、大奥、お能、黒船がテーマとして取り上げられたが、今年は、重要文化財の江戸城造営関係資料による「江戸城・天下人の城」をテーマとして取り上げている。江戸城に関心を持つ人にとっては、必見の展覧会かも知れない。企画展の期間は11月3日~11月17日である。中央図書館は、図書の貸し出しを行っていないが、閲覧は可能であり、当ブログの記事を書くにあたって、偶に利用している図書館でもある。所在地は港区南麻布5-7-13。有栖川宮記念公園内。最寄駅は日比谷線広尾駅である。


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