夢七雑録

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東京国立博物館の庭園

2016-12-04 16:44:51 | 公園・庭園めぐり

“秋の東京いい庭キャンペーン”の対象になっている東京国立博物館の庭園が公開されていたので行ってみた。庭園入口から先に進むと右側に築山があり、その北側の日の当たらない場所に、綱吉が法隆寺に奉納したという銅製の五重塔が置かれていた。

日影の中にある春草蘆に行く。この茶室は河村瑞賢が淀川改修工事の際に建てた休憩所に始まり、三渓園を経て所沢の柳瀬荘に移築され、柳瀬荘が東京国立博物館に寄贈された時に、春草蘆は現在地に移築されている。所沢の柳瀬荘は日時限定で公開されているそうである。

春草蘆から転合庵に行く。転合庵は小堀遠州が京都伏見に建てた茶室で、大原寂光院に移築されたあと、何人かの所有者の手を経て東京国立博物館に寄贈され、現在地に移築されたという。転合庵はまだ日溜りのうちにあるが、茶室の前の池はすでに日影の中にある。

池沿いに次の茶室へと向かう。シルエットとなった燈籠の向こうに、紅葉が輝いて見える。

六窓庵の裏手に石塔を転用した手水鉢があった。銀閣寺をはじめ多くの所有者の手を経て明治時代に国立博物館の所有になったという。

六窓庵は奈良の興福寺にあったもので明治になって国立博物館に移築され、後に解体されたあと再建されている。この茶室は、素人目には風変わりな建物のようにも見えるが、付属している待合の方も少し気になる。

六窓庵から、薄と紅葉と池の眺めを楽しみながら先に進む。

応挙館は、尾張の明眼院書院に始まり、品川に移築されたあと、現在地に移されている。応挙館のなかには、円山応挙の揮毫と伝えられる墨画の複製が設置されているというが、戸は閉じられて見ることは出来ない。建物の存在感も薄れ、傍らの公孫樹が目立つばかりである。

赤坂にあった九条邸から当地に移築された建物で、外から内部を見る事が出来る。九条館の前に造られているのは石庭だろうか。あまり目立たないのが残念な気もする。

九条館の裏手にまわってみる。日差しがあれば、より美しい庭の姿を見る事も出来ただろう。

池の南側から、まだ日差しの中にある転合庵を眺める。

池の畔の木々も既に影のうちにあるが、それでも紅葉の鮮やかさは失われていない。

庭園を出て、本館で開催されている特別展「平安の秘仏」を見に行く。鑑賞のためだけではなく頭を垂れて祈りたい気分。そのあと、本館の中を見て回るが、残りは次の機会にして、前庭のユリノキを横目に、帰途に就く。


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