ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

交錯恋愛53(終)

2010-11-27 13:05:47 | 交錯恋愛(4人組長編/完)
「交錯恋愛52」の続きです(´ω`)
今回が最終回です!

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俺は、欠伸を噛み殺した。
「...遅い」
「あんたが早すぎんのよ」
リナが横でクスリと笑った。

冷たく空気が張り詰める12月。
街角でリナと二人で佇む。お互いに違う相手と待ち合わせだ。
リナの赤いコートはなかなか似合っていた。

「...でもアイツは遅すぎ」
ぼそり、と言うリナに思わず笑いそうになる。
「まぁ、あの旦那じゃなあ」
時間を忘れてた、とか言い出しそうな男を思い浮かべた。
「あのさあ、その『旦那』って言うのやめてくれない?」
頬を掻きつつリナが言う。
「なんでだ?」
「あらぬ誤解を招くでしょ」
「...ああ、なるほどな」
少し赤くなるリナに、ようやく理解出来た。
「まだ夫婦には早いか」
「あんたね!」

「あっ、リナ!ゼルガディスさーんっ」
いつにもまして元気な声に振り返る。
「アメリア!」
手を挙げると、向こうは手をぶんぶん振り回した。
...危ないだろ。

「おはよーございます!」
「...おう」
アメリアは、暖かそうな毛糸のワンピースにコートを羽織り、ブーツをかつかつ鳴らして歩いて来る。
「暖かそうだな」
「えへへ、すごく暖かいですよ」
そうは言いつつ、アメリアの鼻の頭は赤い。

「...あれ、ガウリイさんはまだですか?」
「らしいな」
「アイツ、どうせ遅刻すると思ったから時間早めに言っといたのに」
頭を掻きながら言うリナ。
「お前、そんな小細工を...」
「そうでもしなきゃちゃんと来ないんだもん」
リナがべぇっと舌を出す。
アメリアは朗らかに笑った。

「...ああ、雪が」
アメリアの言葉に空を見上げると、確かに白い粒がひらひらと降りてくる。
「初雪...か」
「そうね」
街を行く誰もが立ち止まり、空を見上げる。

──あの日。あの暑い夏の日はもう4ヶ月前の事なのだ。
アメリアと出会ったのもこの街で。

「...にしても、またダブルデートとはね」
リナが肩を竦めた。
「良いじゃない!記念よ記念!」
アメリアは嬉しそうに目を伏せた。
「わたしとゼルガディスさんの、それからリナとガウリイさんの4ヶ月記念日。....記念日が同じって、素敵じゃない?」
「んー...」
リナは照れ臭そうに口をもごもごさせた。
「ガウリイさんだってそう思うわよ!」
「そーかしら...」
まぁ、その日はお互い『別れた日』でもあるわけだが。

「おーい...」
遠くの方から聞き覚えのある声が聞こえて、声の主を捜す。
──噂をすれば、だな。

「リナー!アメリア、ゼルガディス!」
長い金髪を束ねて、ガウリイはにこにことやって来た。
コートがひらりと風に舞う。

「ゼルは久しぶりだなぁー」
白い息を吐きながら、ガウリイは小さく手を挙げた。

「あんたね、遅刻した自覚あんの?」
尖った声を出すリナに、ガウリイが手を会わせる。
「すまんリナ!肉まんおごる!」
「肉まん...三人分だかんね。あと餡まんも...」
ぷい、と顔を背けるリナ。
「おう、わかった!」
無邪気に笑うガウリイに、なんだか気が抜ける。
──なんというか...
「なんかお似合いですよね、あの二人」
アメリアが俺の耳元で小さく囁いた。
「....ああ、そうだな」
ふっと笑うと、俺達に気付いたリナが声をあげた。
「そこ、何二人でいちゃついてんのよ!」
「...どっちがだ」
ため息をついて見せれば、リナがちょっと赤くなった。

「...じゃ、そろそろ行きますかーっ」
リナが手を挙げて注意を促す。
「どこに?」
アメリアの質問に、リナはにやりと笑った。
「冬と言えば...」
『冬と言えば...?』
「しゃぶしゃぶ食べ放題!!!」
『おおお~!!』
俺以外の二人が歓声をあげた。

....全くこいつらは。
「色気より食い気か..」
「良いじゃないかゼル!一緒にいっぱい食おうぜ!」
ガウリイにぽん、と肩を叩かれて、苦笑した。

──ああ、これはこれで楽しいかもしれない。
「な?」
「...まぁ、いいか」

四人でまたこの街を歩けるだけで、まぁ幸せなのだろう。

「ゼルガディスさんっ」
「なんだ?」
「...腕、組んでも良いですか?」
「.....」

小さく呟いて微笑むアメリアに、俺は黙って左腕を差し出したのだった。


終わり

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これで『交錯恋愛』は終了です。
今まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました><
まだまだ書きたい所はあったんですが、それは私の力不足でなんとも...。そして思った以上に長くなってしまい、挫折しそうに何度もなりましたが、その都度皆様のコメントや拍手に助けられました。

番外編は書くか分かりませんが、これからも「ゆるい感じで。」をよろしくお願いします(´ω`)


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